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いろんなバレンタイン



バレンタイン。現在恋人がいない私にとっては、何もない1日になるはずだった。

けれど、今年のバレンタインは、誰かにチョコをあげるわけではなく、誰かにチョコを売るバイトをした。

1月末からの3週間弱、百貨店のバレンタインフェアの会場でチョコを売った。


お母さんと一緒に自分用の可愛いチョコを買う小さい子

好きな人にあげるらしきチョコを悩みながら買う学生

恋人と一緒にチョコを買うお姉さん

領収書下さいと言いながら何十個もチョコを買うOLさん

悩みながら孫のためのチョコを買うおばあさん

自分用の洋酒入りのチョコを買うお酒好きっぽいお兄さん


老若男女、いろんな人がチョコを買っていた。私は売り場に立ちながら、チョコを袋に詰めながら、お会計をしながら、誰にあげるチョコなのかな、相手はどんな人なのかな、どんな思いであげるのかな、そんなことを考えて、想像していた。



バレンタインデーとは、そもそもはキリスト教圏において聖ウァレンティヌスに由来する記念日として、恋人や家族などの大切な人に贈り物をする日とされてきた。

キリスト教徒は日本ではマイナリティで、その由来を把握している人は少数であるのにも関わらず、イベントの趣旨は守られていて、「大切な人にチョコを送る日」として毎年多くの人にとって特別な意味を持つ日になっているという事実になんだかほっこりする。


大切な恋人に、大切な友達に、大切な家族に、大切な同僚・上司・部下に、大切な自分に。

大切な誰かに渡すチョコを売るという形で、誰かの大切な瞬間に私が一瞬でも関われたことが、なんだか嬉しい。暇でお金が欲しかったから始めたバイトだったけれど、やってよかった。



そんな私も、チョコを買った。大切な自分に。

バイト頑張ったね、就活頑張ったね、卒論頑張ったね、卒業おめでとう、これから社会人頑張ろうね。そんな意味を込めて。


ハッピーバレンタイン。

今日が誰かにとって少しでも特別で、嬉しくて、楽しくて、幸せな日であればいいな。


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