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楽になるための告白


昨日、彼氏とデートをした。昼から外でお酒をゆるゆると飲んで、カラオケに行って、お寿司を食べて、夜も何軒か居酒屋をはしごして飲み歩いた。

お酒が大好きな彼と私が出かけると、だいたいいつもこんな感じで昼から夜まで飲み続ける。2人とも夕方くらいにはそれなりに酔っ払って、真剣な話もたくさんしたけど所々しか思い出せなかった。


途切れ途切れの記憶の中で、はっきり思い出せた話が、彼が元カノに怒られた話だった。異性と遊んだら嫉妬するのか、みたいな会話の流れから出てきた話だった。

彼が昔、浮気をしてしまったことがあったらしい。その時、罪悪感や彼女に対する後ろめたさから、彼は自らその事実を告白した。そうしたら、彼女は、「本当に悪いと思ってるからじゃなくて、自分が楽になりたいから話したんでしょ」そう言って怒ったらしい。

彼はその言葉を聞いてハッとしたし、すごく納得したと言っていた。私も同じだった。というか、多分、彼以上にハッとした。

恋人のことを本当に大切に思っているならそもそも浮気なんてしない。少なくとも私はそうだった。多分、浮気をした時点で、悪いと思うこと自体が偽物の取り繕った感情なのだと思う。

2年前に付き合っていた元彼のことはすごく大切に思っていたから浮気という考えをしたことすらなかった。でも、昨年末に付き合った元彼の時は、最後まで好きになることができず、何度か浮気をした。

ある時、急に罪悪感が湧いてきて、その事実を自分の口から言ったことがあった。言わなければ知られることもないのに、自分の中に留めておくことが苦しくなって、自ら話した。今考えれば、あれは自分が楽になるための告白だった。

相手に対して申し訳ない、後ろめたい、そんな上っ面の言葉で誤魔化した感情の本質は、もっとどす黒いものだ。隠し事という重荷をおろして自分を楽にしてあげたい、ただそれだけだ。いわば自己愛から来る自己防衛のための行為だ。そこに相手に対する思いやりや配慮はない。

浮気をした上で真に相手を思いやる気持ちがあるのならば、その事実を口にすることはしないだろう。

実際、私が浮気を告白した時、彼はかなりショックを受けていたし、ものすごく怒っていた。彼にとっては突如降りかかった災難で、悲劇で、腹立たしい出来事でしかなかったはずだ。でも、私は肩の荷を下ろすことができて気持ちが軽くなった。なんて卑怯だったんだろう。


彼が元カノに怒られた話の記憶がしっかりあって良かったと、二日酔いで回らない頭で思った。この話を思い出せなかったら、私はまた卑怯なことをしてしまいそうだから。


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