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時代を逆行するオーダーメイドアトリエを続けるワケ

noteを始めて、大学の全科共通のワークショップで「文章を書く」みたいなものを選択していたのに、一度も「C」判定以上取れなかったことを思い出してしまった。でも、しばらく続けていきます。

頭の中の整理も兼ねたい、というのは、noteを始めた理由の1つ。小さなアトリエの「中の人」の頭の中に興味を持つ人は、なかなかレアだとわかっていつつも、いつかこのnoteを振り返る時に成長を感じられるように。

オーダーメイドアトリエを始めて、6年が経ちました。本当に小さく小さく、でも(自分としては)長く続けていられていると思っています。

まず、オーダーメイドとは、改めて。

ファストファッションの真逆? オーダーメイド

ファストファッションに、「プチプラ」アイテムの充実。モノが溢れる時代、と言われたり、断捨離が流行ったり。これ以上、衣類を増やす必要がないような世の中。さらに、「今日頼んで明日届く」もはや「待つ」という概念が消えそうなECの本格化。

かたや、オーダーメイドは、(うちの場合ですが)製作に早くても3ヶ月かかります。主に扱っているのはウェディングドレスなのですが、そうなるとスムーズにいって4〜5ヶ月、平均は半年で、お客様の中には1年近くかけてくださる方も少なくない。

昔ながらのオーダーメイド方法を(頑なに)続けており、採寸から原型を引いて、そこから欲しいデザインの型紙に展開して、まずはシーチングと言われる綿100%の生地に型紙の線を写し、丸縫い(1着まるっと縫うこと)をします。ダミーの生地で1着を縫うわけです。

そこで、お客様に来ていただき、フィッティング。100%修正はあります。それはもちろん悪いことではなく、より精度を上げていく、よりパーソナルにしていく作業です。

そのあと、最初の型紙を修正し、最終パターンになるように仕上げます。縫製の仕様も考えます。生地によって、欲しい仕上がり方によって、仕様を変えます。そして、ようやく縫製。

(OPEN当初は、上記全ての工程を1人で行なっていましたが、今はありがたいことに一部の縫製を職人さん、工場さんにサポートいただいております。)

でも縫って終わりではなく、お客様に仮縫いにお越しいただき、微調整することも少なくないです。もしくは飾り付けなどのお仕上げをします。

ちなみに間には、また細かい作業がいろいろあって、生地選びはもちろんお客様と行いますが、そのあとに在庫確認や用尺を出す作業、仕様書を書く作業など、多岐に渡ります。

書き出したらキリがないほど、1着が仕上がるまでに時間がかかっています。効率の「こ」の字もありません。でも、この「オーダーメイド」をどうしても続けたい訳を自分なりに考えてみました。


顔の見える仕事がしたい

前職は企業パタンナーだったのですが、どのお洋服が売れて、どのお洋服が売れなかったか、知れるのは「数字」を通してでした。どんなお客様が購入してくれたのか、もしくはどんなお客様に選ばれなかったのか、気になるところでした。

もちろん、デザイナーさんからフィードバックを得られるケースもありましたし、組織の形によるところが多いのですが、個人的には自分の作ったものをエンドユーザーが着ているところまで見たい。直で感想が欲しい。そう思っていました。ポジティブなものはもちろん、たとえネガティブなものであっても。(改善あるのみ。)


ボディーポジティブ

欧米では「ボディーポジティブ」が広まっていて、深く賛同しています。ZARAの「There is no Beauty, only beauties」(「(画一的な)美があるのではなく、多様な美が存在する」という意)はとても好きなスローガン。

かたや、日本文化の良さでもある「奥ゆかしさ」なのか、日本では自身のことを謙遜することが当たり前となっているような節も。もしくは、どうしてもないものを欲してしまう、いわば無い物ねだり、は(自分自身も含め)本当に多いなぁ、と感じます。言わなくてもいいから「自分の身体(もっと言えば)自分のこと、結構好き!」と思って欲しい。(余計なお世話感もありますが…)

ご存知、オーダーメイドの1つの醍醐味は、サイズに縛られないこと。このデザイン着たいけど、ちょっとサイズが、、、と断念しなくても良い。小柄でも、長身でも、華奢でも、ふっくらしていても、スレンダーでも、グラマーでも。それぞれの良さがある!と「オーダーメイド」の世界は肯定してくれている気がしています。

急に個人的な話ですが、私は10代〜20代、残念ながら自分の身体の様々な所にコンプレックスを抱いていて、短所にばかり目がいくような性格でした。(当時の自分が今しているお仕事を見たら、絶句するだろうな、といつも思っています。)30代になり、気になる所をカバーする服選びも習得、お化粧も上達、自分の見せ方も上手になり(笑)心からお客様の「綺麗になりたい」「自信を持って結婚式を迎えたい」という気持ちをサポートしたい、と思うようになりました。

自分に合うドレスがなくて…、自分に自信がなくて…、ドレス姿に自信が持てなくて…、そんな声を聞かなくなる世の中になることを願っています。

ちなみに欧米では、『ウェディングドレスはオーダーするもの』というのが共通概念です。ヨーロッパのウェディング事情についても、今後書いていきたいテーマの1つ。

*どんなレンタルドレスでも着れちゃう!という方にお越しいただくことも、もちろん、少なくありません。(みんながみんな、サイズを理由にオーダーされているわけではないです!)その場合は『どうしても実現したいデザインがある!』など、こだわりを反映させていただく、という理由でオーダーいただいております。


単純にこの仕事が好きすぎる

一番最初に「服作り」を、仕事にしたい、と思ったの時はまだ12,13歳くらいで、どんなポジションがあるかは知りませんでした。なので、デザイナーは基本的に縫わないこと、逆にパタンナーはデザインには関わらないこと、を知った時はかなり動揺した記憶が…。なぜならどっちもしたいから。

そこで、いつしか子供ながらに、「40代くらいで自分でアトリエを持って、1人で全部やる。」という夢を持ち始めました。(40代の根拠は謎で、たぶん、何か映画なのか、小説か何かでそんな存在を知ったのか、、、その辺りは不明ですが、、、)

ここでは、フリーランスになったキッカケは割愛しますが、言って見れば、単純に今のお仕事は、自分の「夢のお仕事」です。


そんな理由から、いくら時代と逆行していようと、非効率的な生産であろうと(でも、必要な分を必要な方にだけ作るというのはサスティナブルである、と思ってます)オーダーメイドは、需要がある限り、そして続けられる限り、続けていきたいと思っています。

次は最近、また新たに挑戦したいことについて書いてみる予定です。ここまでお読みいただき、ありがとうございます!A bientôt !


Emilie

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