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私は多分、まだ本当の愛を知らない


今日は「紙の月」という映画を観た。


お金を横領する女が出てくる映画は
いつだって面白いに決まっている。(持論)



女の犯罪は怖いよねぇ〜という話の流れで
お客さんに教えてもらった映画だ。



犯罪に手を染める女性というのは
なんかこう… 言っちゃアレだけど



心が惹きつけられるというか
記憶から消えないというか
心に爪痕を残していく…


銀行員の主人公(宮沢りえ)が
お金を横領するという話なのだけれど


仕事きっちりな同僚は
私の好きな小林聡美さんが演じてて


えっ!早川基子じゃん!
まだ銀行いたんだ!と言ってしまった。


小林聡美さんは「すいか」という
ドラマでも銀行員を演じていて


そのドラマでも同僚の馬場ちゃんが
3億円を横領して逃亡するのだ。


小林さんは横領する女と縁があるのか
しかも役柄も早川基子と非常に近くて


人の金でやりたいことやり尽くす女
とは対照的に「堅実で真面目で正しい女」
として存在していた。


すいかファンとして
再び銀行員の小林聡美さんに会えるとは!
という謎の感動も味わる映画である。





普通の主婦であり銀行員の主人公に
ある日、年下の恋人ができて


その恋人の借金を返済させるため
横領したお金を渡すところから
少しずつ歯止めが効かなくなる。



その額はどんどん増えていき
恋人はどんどんダメになるが
そうなるのが当然だと言える。



満ち足りない生活を送ってた女性が
若い男と不倫し、初めて朝帰りをした時
とても幸福で自由を感じたという。


枠からはみ出ないように生きてた彼女が
自分の欲に正直になり、枠から出たのだから
その開放感は分からなくもない。


美しくなり、男に愛され、贅沢をし
退屈な人生からも、退屈な自分からも
解放されるのだ。


その幸福と自由は自分を満たしてくれ
永遠に続いてほしいと思うだろう。



それは彼を繋ぎ止めておくことで
叶うと思ったのかもしれない。


愛する人ができたら尽くしたくなる
という女性は多いのではないかと思うけど


相手に尽くし、満たし、与えることで
自分の不安を解消してるようにも見えた。


あなたに幸せになってもらいたいから
という一見優しく見える行為の裏に


あなたを幸せにすることで
私はあなたに必要とされる存在になり
もっともっと愛されるかもしれない

という彼女の寂しさが見え隠れする。


愛してくれる人ができた時
やっと心の穴が埋まった!と感じるけど



心の穴を埋めてくれる存在を失う恐れ
に次第に支配されるようになる。


心の穴を埋めるものが
自分以外の何かであればあるほど
それを失ってしまえば空虚になるから。


その穴を何としてでも埋め続ける!



と、その穴をお金で埋めようとした
彼女の執念がこの映画の面白いとこ
だと私は感じた。



永遠にこの幸せが続けばいいのに…
そのくらい幸せに飢えていた彼女は
お金を手にして仮初の幸せにしがみつく。


私のこと惨めだと思ってるんでしょ!


そう叫んだ彼女自身こそ
もう随分と前から自分のことを
惨めな存在だと下に見てたのだろう。


そんな惨めさから抜け出したくて
お金をたくさん使ったのかもしれない。


あなた、惨めなの!?


早川基子… じゃなくて
小林聡美がそう言うけれど
惨めな人間はいないと私も思う。


世間的にはダメなんだろうけど
自分の欲のために利己的に生き
自分の枠をぶち破った彼女を
少し羨ましく感じたりもする。


彼女に足りなかったのは
お金ではなく愛だったと私は感じる。



足りないものは
お金や恋人や仕事や趣味で
埋められると信じていたのだけれど



自分以外の何かでは決して埋まらない
ということを知らなかったのだろう。


自分の寂しさや孤独感
無価値感や劣等感を埋めたくて
必死で誰かや何かを求めたり
必死に役に立とうとしてる時


私の動機は愛ではないのだと
いつも気付かされる。


自分の心の穴を埋めるために
どれだけのことをしてきたのだろう…
そう私はいつも感じる。


愛ではないものに気づいたら
本当の愛が見えてくるのかもしれない。


ただただ純粋なものに私は触れたい。


華麗なるギャツビーとかもそうだけど
大金を得て欲しかったものは
本当は何だったのだろうか…


私には彼らの中に
愛に飢えた孤独で寂しい心が見える。



だからこそ、狂気の存在たちは人の心に
大きな爪痕を残していくのかもしれない。


彼らの姿は自分自身の姿でもあるんだと
そう感じてまうのかもしれない。


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