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仏様と桑村さん

今、世界中の人が日本に遊びに行っている。
円安の影響も大きいと思う。
近場なので韓国人も沢山訪日している。



日本に行った韓国人の笑い話を娘から聞いた。
これは沢山の人と分かち合いたい!と思ったので書いている。



韓国姓の林さんは日本語で「イムさん」と読む。
日本のレストランのウエイティングボードに
日本語のカタカナを書けるある韓国人が自分の名前を書きつけた
「イム・〇〇〇」と。
席が空いたらしい、日本人の店員さんがアナウンスした。
「仏様(ほとけさま)いらっしゃいますか~」
笑笑笑笑笑笑



イとム微妙に近かったのだと思う笑
「ほとけさま」と呼ばれるなんてすごく良いなあと思った。
間違いであっても。



娘とキッチンでケタケタ笑いながら思い出すことがあった。
名前間違いによるbluegrayな記憶。
それはもう30年近く前のこと。
私は実家の商売である花屋を姉と一緒に手伝っていた。




宅配便ではなく、花屋同士のネットワークで、遠く離れたお母さんに近場の花屋からお花を届けるというサービスがあった。(今もある)



ある時、どうしても配達先がみつからないことがあった。
それは一年で一番忙しい母の日の夕方のことだった。
注文も来客も殺到し、金・土・日と睡眠時間削って働いて、この配達さえ終えれば休めるというのに、どうしてもその家が見つからない。
でも宛先の番地の地図には「幸村」がない。おうちの電話番号も書いてあるが外出中なのか掛からない。送り主の番号もあったが同様だった。携帯の無い時代の話だ。




私の故郷徳島には神山町という町がある。田舎すぎて花屋は一軒もない。
山が奥深く配達にはありがたくない。そこから一番近いのが私の働いていた店だったので、神山町の配達はほぼすべて来た。車で往復三時間位掛かる場所もあるという山の深さ!(現在では色んな意味で全国的に有名になった神山町だが、当時は「ド田舎」の代名詞だった)




その配達できないお花は、神山町への配達だった。
母の日当日はとうとう配達できず、翌日わかったことには「幸村さん」ではなく「桑村さん」だったということだ。元々のファックスを書き写した私の姉が「桑村」を「幸村」と書いたのだ。(ふりがな欄もあったはずなのだけど)ちなみに「桑村」が俗字の「桒村」で書かれてあったのが間違った大きな理由だ。お客様の言い分としては、その「桒村」の方が昔から使っている由緒正しい字なのだそうだ。でもきっと間違われやすいことでしょう。




というトラブルがあったのだけど、なんとその翌年!全く同じことがまた母の日に起こってしまった。それも同じ宛先の配達で。なんで一年前にあった事を姉はすっかり忘れてたのかが謎だ。配達伝票の管理は姉の仕事だった。二年連続でそんなことがあり、今も覚えている。姉は果たして覚えているだろうか。 一緒に働きながら姉のミスによるトラブルは他にもあった。当時の私は「お姉ちゃんとは一緒に働きたくない!」と何度も思ったものだった。そのうちお互い結婚で家を出たので、私の願いは叶った。



「探しても探しても見つからなかった」配達ミスのイメージは、ブルーグレーのクレヨンで何度もぐりぐりと円を描くけれど、どんどん絵が濁っていくような重い感じがした。夢の中で厚い雲に阻まれて、見たいのに向こうがみえないような、そんなもどかしい感じでもある。なんだか悲しい



歌で言えば「時をかける少女」の 
ただずむあなたのもとへ走ってゆこうとするけれど
もつれてもつれて涙枕を濡らすの
 という感じ



それに比べて、イムさんを「ほとけさまいらっしゃいますか~?」て
なんてシンプルで可愛らしくて笑えてしまう間違いなのだろう。
こんな間違いなら大歓迎じゃない?
かわいい丸い桃の花がぽこっと咲いたような微笑ましさを感じる~。


https://www.youtube.com/watch?v=f02v3VwmTmI&ab_channel=koichihozan



思い出の塗り替え時だ!
これからは「名前間違い」があったら
この「ほとけさま~」が良い!
だって瞬間的に笑顔になる。
30年前の桒村さんの思い出はもう結構です~(こんな字読めないよ!)
大体私の失敗でもなく姉の失敗なのになんで私が覚えてる?
しつこいぞ!自分。
桒村さんは銀河系の彼方にさようなら~
笑顔のほとけさまに吹き飛ばしていただこう、と思ったのでした。



ちなみにそのサービスも今やパソコンの文字入力で行われてるので
そういう間違いはもう起こらないことでしょう~。
20世紀末にはそんなこともあったとさ、の昔話でした。
ありがとうございました。



























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