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最後の夏

7月が始まった。雨の月曜日だった。蒸し暑いし身体はだるいけれど、いよいよと思うと背筋が伸びる。私がやってるわけでもないのだけれど、きっと高校球児の母はみんな一緒だろうなあ。すでに背番号をもらっている学校もあるだろうけれど、うちはまだ。だからドキドキしたりソワソワしたりが続いている。

こんな母の心持ちとは正反対に、息子は「そんなものどうでもよい」らしい。実際にどっちでもいい、ではなくて、自分で決められるものではないし、自分は毎日毎日精一杯全力で練習し打席に立っている、出来ることはやっている、という潔さなんだと母は感じている。

学童野球から8年、そんな息子の成長ぶりに驚くほど感心している。かっこよすきないか?とも思う。もらえなかったときにショックを受けたくないから伏線はってるの?なんて馬鹿なことを思った時もあった。だけど、そんなレベルの低い子ではなかったようで。「やれることはやってる。」「誰よりも魂削って練習してる」らしい。

そんな息子のそばにいると私も背番号にこだわっていることが小さなことに思えてきた。背番号へのこだわりが、私自身をやたらとしんどくさせてると気づいた6月初め。ベンチには入れるだろう。入れない子もいる。ベンチに入る息子は十分頑張っているし、実際のところ背番号は指導者の胸のうちで決まる。ここまできたら息子には気持ちよく野球してほしい思いがわいてきた。私だって最後は気持ちよく応援したい。背番号へのこだわりを捨てたら少しずつ楽になってきて頑張ってる息子を結果が出ても出なくてもそのままあったかい目で見られるようになった。思えばひどい母だったなあ。息子が打てずにライバルが打った日は、やる気がなさすぎる!負けて悔しくないのか!と責めまくっていた母だった。そんな日は学校でも指導されているのに家に帰ってきても責められて。ごめんね。息子。だ。

そんな我が家の6月が終わり、いよいよ7月。笑って笑って笑いしかない夏を過ごす!
そんな明るい気持ちでスタートした。

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