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負けを負けのまま終わらせない

 三回戦、準々決勝と勝ち進み息子も試合に出続けた。ところが次の試合でまさかの敗退をした。勝負事はやってみなければわからない。そうはわかっていても、多分勝つと思っていた。もっともっと息子も経験を積めると考えていた。
 
 思うような試合展開に持っていけなかった選手たち。それでも最後の最後まで粘って粘っての内容だった。粘り強さや負けたくないという強い気持ちを感じた。けれどもなにかが足りなかった。

 負けた瞬間呆然自失。「どうして・・・」大きくため息がでた。全身から力が抜けたみたい。ひどい倦怠感が襲う。言葉が出ない。負けるということはこういうことか。ひしひしと実感できた。

 野球の技術や戦略的なことはわからない。だけど、応援していて素人ながら感じることはやはりあるもの。

 「あの時に一本ヒットが出ていたら」という場面が思い出せるだけでも三回もあった。やはりそれでは勝てないのだ。その場面の打席に息子が立っていたときもあった。それがまた私の疲労感に追い打ちをかけた。「なんであそこで・・・」とこみあげてくる悔しさ。たまらない。

 帰りの車でもため息がとまらなかった。ここまで悔しさを感じることは日常生活にはない。スポーツって本当にいろいろな体験をさせてくれる。その日は寝るまでため息がとまらなかった。

 息子はというとものすごく落ち着いて見えた。もちろん焦燥感はあるけれど淡々としているというかすでに終わってことになっているようで、また私は置いてけぼりをくっているようだった。思わず聞いていまう。「悔しくないのか?」と。

 「悔しくないように見えるのか?。それなら、そうなんちがうか。それでいいやん」と言う。ついさっきまでグランドで戦っていた選手はこんなものなのかしら。

 そして気づく。「悔しい、悔しい。オレがあそこで打っていたら勝てたのに…悔しい。」そう落ち込んでほしいのかな、私。そういうわけじゃないはずだけど、負けたらしばらく落ち込むというのが当然だと私も思い込んでいるのかもしれない。


 負けた翌日には私も切り替わり前を向いた。いろいろな課題も見つかった試合だったと思う。息子にラインを送った。

「オレのバットで勝つ。
オレが守って勝つ。

一人ひとりそんな気迫とそれに見合うチームやったら
勝てたはず。まだまだ伸びていけるということ。
あなたもチームも。

みんなを笑顔にしよな。頼んだよ」



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