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スープストックの薄氷

鶏肉をゆでたあとのゆで汁をタッパーに入れ、冷凍しておきました。
使おうと思って冷蔵庫に移し、半日ほどすると、上の方だけ溶け残って、表面に氷が張ったようになっています。

それを見て思い出したのが、中学生のときのこと。
女子の体育に「創作ダンス」という授業がありました。
毎年、それぞれの学年に課題のテーマ、「春」とか「巣立ち」とかが与えられ、クラスごとに曲や振り付けを考えます。全学年の前で披露する発表会もありました
(それが、わたしの数少ない「踊りのキャリア」なのです。詳細は以下記事)。



たいてい、一年生の頃は真面目に、曲はベートーベンのピアノソナタか何かを選んで、テーマに沿った振り付けをおそるおそる考えました。

が、三年生ともなると課題そっちのけ。
ビヨンセが体育館に鳴り響き、舞台上で激しく踊りまくる生徒たち。
リーダーは大体ダンスを習っている子たちがやっていたので、おのずと振りはヒップホップ調になっていきます。
あの頃はヒップホップが体育の授業に取り入れられるなんて思いもしなくて、先生がたはみな渋い顔を作っていたように思います。
とにかくみんなが楽しんでいたのは事実で、発表会に向けての準備にも熱が入っていました。

わたしが三年生の頃、我々のクラスは近所の公園でダンスの朝練をしようということになりました。
日が上りきらず、夜のように暗い冬の早朝。
基本的に呑気なクラスだったため、がたがた震えながら適当に練習するとあとは始業時間までてんでんばらばら遊び始めます。

きゃあきゃあ言いながら小さな池のまわりをめぐっていた、次の瞬間。
ある子がバランスを崩し、池の上へ足をつくと、勢い余ってそのまま飛び出し、池の中央付近まで歩いて行ったのです。


おおおおお!!


池に張った氷は割れそうで割れない、ギリギリの強度。
突っ立っているわけにもいかないので、彼女が意を決して池のふちまで歩くと、歩いたところにピシピシとひびが入りました。
中学生で体重が軽かったこと、運動神経の良い子だったことが幸いでしたが、氷が割れていたらどうなっていたことか。。
寒くなってくるとよみがえる、なんとなく忘れられない思い出です。


鶏のゆで汁を鍋に入れると、氷ががこんと音を立て、火にかけたらあっという間に溶けました。
炒めた玉ねぎと、熟れすぎていたトマトで慌てて作ったトマトソースを入れ、余り物の赤ピーマンも投入したら、おいしいスープになったのでした。

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。