フラットなネットワークの技術的実装

全世界をフラットに繋ぐWWWのインターネットは理論的バックグラウンドがしっかりしていれば理想ではあると思うが、すでに述べている通り、個人的にはそれは人の脳や関係性というものに強く依存した仕組みで、むしろフラットなネットの仕組みのために現実社会を構造化し、人の脳を社会の部品としてしまうような、私の主観では、人間にとってはあまり望ましいものではない方向に向かいかねない、いやすでに向かいつつあるのではないかと危惧している。そこで、よりフラットなネットワークをいかに技術的に実装するのか、ということが大きなテーマとなって浮上するのではないかと考えている。

三階層のネットワーク

一つの提案として、ネットワークをグローバルネット、ミドルネット、プライベートネットに切り分けて、通信の負担を極小化するようネットの再構築を行う、という考えがある。これは、音声によるデータ転送までは技術的に説明がつくのではないか、という私の立場での提案となるが、データ転送をなるべく音声データのやりとりで収まるような、つまり有線の電話線を最大限に活用しその範囲内でできることを拡張してゆくという考え方をベースにしたものである。

プライベートネット

まず、プライベートネットは、相手のIPアドレスがわかっている時の通信で、そこのIPに向けて直接データの転送を行うものである。これは個別通信なので、電話と同じような仕組みでできるのではないかと思われ、個別のメールのやりとり、そして常に更新情報を得たい時の更新情報の自動取得、あるいは相手先IPのわかっているWebページへの接続のような仕組みで、定常的に得たい情報をネットワークの負担にならないような形でやりとりできるようにすることで、基本的なネットワークへの負荷を極小化することが期待される。

ミドルネット

次いで、ミドルネットであるが、特定地域内で、すぐに調べて行動に移したいという情報の扱いになる。特定範囲内ならば、限定的にデータベースを効率良く構築できると考えられるので、ミドルネットサーバーを打ち立てて、そこに地域内で検索できると便利な情報を集約し、そこの内部での検索機能を充実させて、そのミドルネットサーバーに検索情報を飛ばし、ミドルネットサーバー内で検索を済ませてIPを返してそこから先はプライベートネットで行うことにするということが考えられる。

グローバルネット

グローバルネットについては、それぞれが公開しているWebページなどについて、タグや要約などを辿る形でゆっくりと検索することとし、検索ワードなり何なりを飛ばしておくと、ネットワークに負担のかからない、自然な検索結果が一日とか時間を置いて少しずつ集まってくる、というような、ここは技術的には私は明瞭には説明しきれないが、まあタグ検索程度なら多分音声データマッチングくらいでできるのではないかという感覚的なもので、技術的には更なる進歩が期待できると思われるが、それは私の考える限度では音声データマッチングの範囲内でできることであり、それが広がってゆけば、検索精度も上がるのでは、という考え方である。

鍵となるミドルネットの情報集積

おそらくミドルネットへの相互接続などが強化されれば、音声データのみのやりとりでもかなりの精度は確保して行けるのではないか、という気がしており、だから、地域の情報競争力(!)の鍵として、どれだけミドルネットのデータを充実させられるか、ということが問われてくるのではないか、という感覚を持っている。

持続可能な通信

とにかく、光や無線のような通信手段をできるだけ排して持続可能な通信を打ち立てることが、安定的な通信ネットワーク構築のために急務であると言え、そのためにもなるべくデータ通信の交通整理を行い、渋滞が起こりにくくする必要があるのではないだろうか。

P2Pからプライベートネットへ

フラットなネットワークの基本は、直接データのやり取りをするプライベートネットであると言え、これは現状P2Pとして実装されているが、IPを業者が一括管理するやり方ではさまざまな困難が発生するので、一人1IPを実現することによってこのP2Pの利便性を大幅向上させ、それによって業者間をつなぐバックボーン回線への負担というものを考慮する必要がなくなり、通信も飛躍的にスムーズになるのではないかと想定される。インターネットによるデータ転送の中心がこのプライベートネット、すなわちP2Pネットワークに変わってゆくことで、インターネット自体にかかる負荷も極小化されてゆくだろう。

分散的ミドルネット

ミドルネットというのは、現在プラットフォーマーと呼ばれる大手ITが担っているような役割を、もっと分散化させ、それによって小回りのきく情報検索を行うことができるようにするものだと言える。これは、個々のエッジが自分の必要とするデータを整理・蓄積してゆくことでミドルネット的な役割を担うことにもなってゆくだろう。機械に検索させるよりも、情報整理の達人の整理に従って検索した方が確実に効率が良くなる。このミドルネットの棲み分けが、情報社会における社会的分業のようなものを形成すると言えるのかもしれない。そうなると、情報の収集・整理能力がこれまで以上に問われてゆくことになるだろう。

軽くなるグローバルネットで実現するフラットなネットワーク

こうしてプライベートネットとミドルネットが充実すれば、グローバルネットはほとんど存在意義を失うと言えるのではないか。ネット上を闇雲に検索するよりも、充実したミドルネットで目的の情報を探した方がはるかに効率が良くなるだろう。これは、インターネットの姿を大きく変えることになると考えられる。次世代インターネットを切り開くフラットなネットワークの構築が急がれる。

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