Netflix『13の理由』を心理カウンセラーの目線で観た
自分の感情が奥底から揺さぶられる強い感覚を得て、その感想を残してみることにしました。
それはなぜ起きたのか。
10代が直面するさまざまな問題をアメリカの高校生に凝縮したヒューマンドラマです。
登場人物各々が抱える心の問題という、元は一本だった糸が、個々の考え方や立場を守る行為によってもつれ、絡み合っていき、取り返しのつかない結末を引き寄せます。
10代だからこそ抱える、永遠に終わりが無いように思える恐怖や心の危うさがありました。
13人の理由
このドラマで非常に優れた点は、すべての登場人物に丁寧に焦点を当てていることです。多角的に立場を提示し、個々の行動には背景があり理由があった、ということがしっかり見えるようになっています。どの登場人物にも感情移入できるストーリー展開が用意されていて、正論や個人的感情のみで人を判断しない視点と理解を持たせてくれます。
登場人物全員に心の問題があった
自分で解決策が見出せないのに、恥や葛藤から周囲へ声を上げられなくて、孤立した心は行き場を失っていきます。悩んで、苦しんで、いつのまにか、心は閉ざされてしまいます。防衛の先には暴力が、他者や自分自身を傷つける行為が待っていました。
いじめや暴行の加害者と被害者にまつわる問題
被害者側にも問題があったのではないか、という議論が時々なされますが、恥ずかしながら、今まではそれがどうして間違っているのかはっきり分かりませんでした。心理を学んで初めて、それは加害者の問題であると知りました。被害者は悪くないのです。加害者が自分の問題と向き合い、解決するべきことなのです。
ですが傷ついた被害者もまた、その傷と向き合っていかなければなりません。
スクールカウンセラーの存在意義
このストーリーの中でスクールカウンセラーが力量不足であったことはとても残念な事でした。カウンセラーへの課題を感じました。安心して本音を出せない10代の難しさも感じます。日本においても学校で何か問題が起きた時、子どもたちはどれだけ安心感を持って学校のカウンセラーや先生に伝える事ができているのかなと、気になりました。
最後に
自分の物差しのみで作品を楽しむことを許さない説得力といいますか、誰しもの行動には背景があるということ、またそれらを偏見なしに受け入れることの必然性を伝えているように思います。
仲間との信頼や絆が自身の問題へ向き合う勇気や心強さを与え、いっそこのまま完結して欲しかったと願う、エンディングでした。シーズン4がファイナルのようです。
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