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ウサギのぬいぐるみで姉妹大げんか……の写真、家族の思い出

(すみません、写真は実家に置いてきて、アップはできませんでした)

我が家には、昔 撮った写真をみんなで時々見る習慣がある。
30代の半ばごろだったと思う。ある大掃除のとき 数年ぶりに家族全員で、アルバムを開いた。

私が、2階で窓を拭いていると、母の声が階下からした。
「みんな、来て、来てー! 」
その声に、父、兄、私、妹の家族全員が「何ごとか」と、次々に、1階居間に集まった。

居間のテーブルの中央には、こんなとき、毎年、毎回、開くアルバムがあり、必ずというほど、家族全員が「見たい」と言う写真が一枚貼ってあるのだ。
それは、私が5歳、妹が3歳のときの写真。

私は、そのとき、古いウサギのぬいぐるみに飽きたので、妹にあげようと思っていた。そして、私が「〇〇子、これ、あげる」と言って、そのウサギのぬいぐるみをあげると、妹は……
「お姉ちゃんが、初めて私にプレゼントしてくれた! お姉ちゃん、ありがとう! お姉ちゃん、ありがとう! 」
と、意外なほど 大喜び。顔を紅潮させてニコニコして、もう大はしゃぎに! 大騒ぎして、喜びを全身で表し、家中を走り回る。
私は、呆気にとられ、
「まさか、ここまで喜ぶとは……」と。

しかし、妹の予想外の喜ぶ様子を見るうちに、幼い私はウサギのぬいぐるみが やたらと価値の高いものだったような気がしてきた。だんだん「やっぱり、ぬいぐるみをあげたくないな」と、ブラックな感情に駆られてしまった。

そのときの私の心の声は、

「なんで、あげてしまったんだろう。私のウサギのぬいぐるみなのに……」

とうとう、ウサギのぬいぐるみを取り返したい感情が抑えきれなくなり、
「やっぱり、ウサちゃんは 私の!! 」
と、言って、ウサギのぬいぐるみを妹の腕からぐいと引き抜き、乱暴にとり返してしまった。

その結果、可哀想な妹は大泣き……。
それを見た私たちの母親が、なぜか、私を叱るのではなく、私たちを写真に収めたのだった。

ニコニコし、ご満悦な私の隣に、涙で顔をぐしゃぐしゃにした大泣きの妹が並んで立っている。

私たち姉妹は、やはり女の子なのか、カメラを向けられると いつもすましていた。けれど、このときの写真だけは、なまなましく、飾らない姉妹の上下関係を表していた。感情も大爆発! これを見て、毎年 家族は大爆笑するのだ。

私「子供だったねー。羨ましくなっちゃったのよ。私、お姉ちゃんいないし、お姉ちゃんからもらったことないし」
母「えみ(私)は、まったくお姉さんらしくないんだから」
父「ちゃんと、あげたものは あげないと」
兄「今は、〇〇子(妹)のほうが、背が高いのに、この頃は、えみのほうが背が高かったね」
と、このウサギ問題に触れると、兄は私が可哀想と思ったのか、少しぬいぐるみとは離れた話題に変えてくれる。
妹「……」
妹は、今は大人になって、あまり文句は言わないし、優しい子なので、恨み言を言うと、私が傷つくと思うのか何も言わない、けど、根に持ったことはあるかも。
母「可愛かったねー、あの頃は」
父は、苦笑する。

それぞれの思い出として、この写真を大事にしてくれているようだ。

あるとき、私は「お母さん、よくこんなシーン撮れたね、カメラ出すのに時間は掛からなかったの? 他の写真より全然リアルだね! 」
と、聞いた。
「その写真を撮ったときは、お母さん手作りの、お前と〇〇子のお揃いのガウンを着ているところを写したくて構えていたら、この大騒ぎが起こったから」と、母は言う。そのとき聞いていた家族も撮れた謎を納得した。

「カメラ用意してなきゃ、多分、撮れなかったよね!! 」と、妹。
「撮影のタイミングも奇跡的!! 」と、兄。
「後々まで、この喧嘩のこと言われることになっちゃった」と、私。
「えみと〇〇子の喧嘩が、この一枚で表されている! 」と、父。
「あの頃、よくこんなふうに喧嘩してた!! 」と、母。

ちなみに、妹はこんなとき、優しいところがあるから、黙っているときも、たまに笑うときもある。

そして、最後に、
「旅先のすました写真より、こう言うのが好きだなー」
と、全員での意見。

けれど、私はこう思う。
「お母さん!写真撮影はいいけれど、こう言って!『お姉さんなんだから 譲ってあげて』と。言われてたら そのあと 姉妹仲がもう少し良かったかも……! 」



画像は、メイプル楓さんの
  「みんなのフォトギャラリー」より
   いつもありがとうございます🍀🍀🍀

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