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十数年ぶりの小説
今日、十数年ぶりに小説を読むことができた。
大学2年生の時に文字が上滑りするような経験をしてから、「もうわたしは本を読んでも読んだそばから忘れていくんじゃないか」と怖くなってしまって、あれほど行っていた図書館からも遠ざかった。
それと、感情移入しすぎて泣いてしまい、涙でぼろぼろになるのが怖かったこともある。
読んだのは、森絵都さんの『カラフル』。
今日テレビで紹介されていて、ふと、読めるかもしれないと手に取った。
あらすじは忘れている。
ただ、「いいことがいつまでも続かないように、悪いことだってそうそう続くもんじゃない」ということばだけ書き留めたのは覚えている。
大学生の頃の記憶。
いざ読んでみると、ぼろぼろと泣いたけど、最後まで辿り着くことができた。
そのことにほっとして、また泣いた。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
この前退職してから、わたしはずっと迷ってる。
だからこの文が、ずしっと響く。
あした、また別の本を読めるのかはわからない。というか、小説が手元にそんなにない。現実問題。
でも、明日のことは置いておいて、
わたしは今日十数年ぶりに小説を読めたということを噛み締めたい。
そしてそれが、自分を勝手に重ねられる箇所がある『カラフル』という作品だったことも、何かのご縁なのかもしれない。
読めたよ、読めたんだ。
うれしい。とてもうれしい。
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