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あの人はわたしなんだ

お仕事である人に少し困っていた時のお話です。仮にAさんとしましょう。
Aさんは要領が決していいとは言えず、ちょっと頼りにならない人でしたががんばってるのはわかるし、どこか憎めない愛嬌のある人でした。
その人とやりとりしていた時、わたしは思いました。
「お願いしたくても頼れなくて困るんだよな、、でも性格はいいんだよな、、」
その時、わたしはこのフレーズ、どこかで聞いたことがあると思いました。
よみがえったのは新人の頃のわたし。

小さなオフィス、帰れない日々、山盛りの仕事、役に立たないわたし

仕事で東京に出てきたわたしは右も左もわからず、毎日のように上司に怒られていました。わたしができないのが全部悪いんだ、わたしに差し出せるものは若さゆえの体力しかないと、しょっちゅう会社で朝を迎えながら極力睡眠時間を削り、ただ目の前の仕事に必死で向かいあった日々。

そんなある日、わたしは社長に呼び出され言われました。
「〇〇さん(当時の上司)がキミのこと全然使えない、と言ってる。 じゃあ辞めさせたいのかと聞くと、でも性格はいいからって」
 
その記憶がよみがえった時、Aさんはかつてのわたしだと思いました。
どんなにがんばっても、できないわたし。
それからわたしは当時の自分に接するように、Aさんに接しようと思いました。
言いたいことは言う。でもAさんが恥をかかないように個人的に、落ち着いた心で伝える。Aさんは抜けやすいところがあるから電話で話した後、やって欲しいことの要点を箇条書きにしてメールにも送り、やることの再確認をしてもらいやすいようにする。周りの人にも助けてもらいながら、Aさんを陰ながら愛を持って見守る。そしてわたしはわたしの仕事に一所懸命、向き合いました。

するとこんがらがった歯車が少しずつ動き出したのです。逼迫状態だった事態も、なんとか山場を超え、最終的にはなんと余裕を持って終えることができました。

わたしは追い詰められていた、かつてのわたしを救いたかった。Aさんが、かつてのわたしと引き合わせてくれたように思います。
そしてわたしはAさんから大切なことを教わりました。人への接し方、素直な姿勢、明るい気持ち、責めない心、非を認める態度。Aさんを救うつもりが、救われていたのはわたしのようです。

今改めて思います。Aさんとお仕事できて、とっても良かったと。

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