墨池を洗う

今日は、書くのを休んで、墨池（ぼくち）を洗うことにしました。

墨池とは、こういうものです。

呉竹 硯 雲月硯 黒潮 大 HB2-50

私が持っている墨池、学生時代(18歳のとき)に買った物なのですが、実はこの呉竹さんの墨池と全く同じタイプのものです。(まだ売ってたんだ～とビックリ)

お習字というと「硯」をイメージすると思います。硯は墨を擦りながら書くには良いんですが（仮名文字や半紙作品など）、大物作品を書こうと思うと、硯では量的に墨が追いつかないのですよ。

そこで、この墨池に墨をドバッと投入して、筆にたっぷりと墨を含ませて書くというわけです。

私が持っている墨池は、大学に入ってすぐに買った物なので、もう30年近く昔のものです。学生時代は、この墨池（My墨池）を使って作品作りに没頭していました。ずっとフル活用していて、とても大切にしていました。

でも、社会人（学校の先生）になったら、仕事が忙しくなって、書道を止めました。その代わりに、入学式＆卒業式の「式次第」や学校行事の「立て看板」を書く役目が回ってくるので、その時に墨池を使う程度･･･。たまに、書写の授業でお手本を書くのに使うこともありました。でも、それ以外では、全く使うことがありませんでした。

その後、仕事を辞めて主婦になって以降は、私は墨池を押し入れの奥に封印し、長い間、眠らせていました。長い冬眠です。

しかし、今回、書道を復活させるに当たって、久しぶりに押し入れから引っ張り出してみました。

パカッと墨池の蓋を開けてみたところ、昔の先生時代の乱雑な使い方のせいか（忙しくてきれいに洗っている暇が無かった･･･汗）、墨池の内部に、洗い切れずに残ったままの墨が乾いて、うっすらとこびりついていました。内部が墨で真っ黒になっていたのです。

でも、見た感じは、墨池に墨の色がついている程度のことだし、腐っている訳でもカビているわけでもなく、ただテカテカと真っ黒になっているだけなので、「これくらいなら別に良いかな～と」思い、そのまま使ってみることにしました。

上の写真の右側にあるのが、墨池です。墨を入れていることもありますが、内側が真っ黒ですよね(汗)。

(ちなみに、上の作品は、25年ぶりに書いた「筆慣し」のための一発目の作品。感触を思い出しながら、カンを取り戻しながら書きました。もちろん没作品です。汗)

こうして何枚か書いていくうちに、だんだんと墨池の中の古墨の汚れが気になってきました。書を書くとき、私は作品制作用の「濃墨」タイプの墨汁を使っているのですが、どうも墨池の汚れである「古い墨」(こびりついているヤツ)が、新たに注ぎ入れた「新しい墨」に少しずつ溶け込んでいき、墨の質を悪くしているような気がしたのです。これだと筆の毛を痛めることにも繋がります。また、悪臭の元にも成りかねないので、墨池をきれいに洗うことにしました。

◇◇◇

前の晩、ビニール袋の中に墨池をいれ、そこに水をいっぱい注ぎ込んで袋の口をゴムで縛り、一晩、放置しました。

次の日。墨池をビニール袋から取り出して、使い古しの歯ブラシやスポンジで、墨池の墨をこすり落としました。なんたって20年間放置してきた汚れなので、なかなか簡単に落ちてはくれません。とれるところはスルっととれますが、年季が入っているところはカチカチに固まっています(汗)。

根気にこすって流して･･･を繰り返し、再度、お湯につけて汚れを緩ませ、またこする･･･。これをコツコツ繰り返し、最後は歯磨き粉まで取り出して(よい子は真似をしないでねw)、歯ブラシでこすり落とし、更に、スポンジで力を込めて削ぎ落とし･･･と繰り返しました。こうして最後に、とれた墨をきれいに洗い流して、ようやく墨池の本来の色が全体的に見えてきました。

やれやれ･･･。

ちなみに、この墨池は、強固なプラスチック製なので、ブラシやスポンジで強くこすっても大丈夫でした。(石でできた硯の場合は、ゴシゴシ洗いは厳禁･･･という場合もあるので要注意です。何より、墨がこびりつくような状態で放置しないことが一番なんですけど・滝汗)

これが、きれいになったMy墨池です。

サッパリしました！「湯上がり美人」･･･という感じ(笑)。

この色、久しぶりですよ！

あなた、実は、ものすごく色白だったのね･･･(笑)。底のマーブル柄、こうしてお目にかかるのは20年ぶり？(汗)

この達成感、非常に気持ちが良いです。まだ少し墨が残っている部分もあるけど、ここまできれいに成れば、もう充分です。

･･･ということで、結局のところ、今日はこの作業で一日が終わってしまいました(汗)。

作品作りの続きは、また明日。

今日は、美しく復活した墨池を眺めて嬉々としていたいと思います😄。