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ルーツ探しの旅〜愛知県編005〜

目的であった小牧市役所前に着いた。
もう、すでに昼になっていた。
新幹線で朝食を済ませて以来、何も食べていなかったのでお腹が空いた。
目の前にあったスーパーのフードコートでハンバーガーを食べ、ダイエット中の身として、罪滅ぼしの黒烏龍茶を飲んだ。
10分もかからず食事を終えた。
バックパックも背負ったまま食事した。

小牧市役所前で降りたのは、市役所に行きたかったからではない。
小牧山に登りたかったからだ。
いや、違う。
小牧市歴史館に行きたかったからだ。
小牧市歴史館は小牧山の頂にあり、そこに行くためには、必然的に登山をしなければならなかった。
私はズボラなので、起伏のある道が好きではない。
どれだけ汗をかいてもいい準備ができているときは、滝のような汗が出ようが平気だが、汗をかきたくないタイミングで、汗をかく状況に遭遇するのが嫌なのだ。

小牧山に行った時点では朝に雨が降った雨が止んでいたが、いつ雨が降ってもおかしくない天気だった。
そんな天気の中、まもなく桜が開花し、花見会場として準備も整っている小牧山を、てくてくとひとり登り始めた。
山というのは、頂上まで一直線で登れないのが大半で、大体は、山肌の道をぐるぐる、うねうね曲がったり、時には下りたりしながら登っていくものだ。
今こうして、後になって思い出して文章を綴っていると、山というものを俯瞰的に見て、「うーむ、人生のようだ」と深く唸っている。
しかし、小牧山にいるときの、小牧山の点でしかなかった自分は、山の頂上に行きたいのに、なぜここで下るのだろうと不安に思っていた。
小牧山は森に包まれていて、良い陽気の日には日差しが遮られて心地がいいだろうなと感じたが、あいにくの天気だったために、それは逆方向に演出されてしまい、余計に不安をあおった。
平地に突然現れたような山なので、割と傾斜がきつく、少し登っただけで標高が増し、その逆も然りだった。
直角三角形の定規を縦にしたり、横にしたりしてみてほしい。
直角二等辺三角形では、この例えを理解することができないので注意してほしい。

あまりに下るので、「おかしいな」という感覚に襲われた。
ここで下りきって、地上に戻ってしまい、また登らなければならないと考えると絶望してしまうので、程よいところにあったオフロードな登り道を登ってみることにした。
登りきったその先に、城の形をした建物が見えた。


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