求人が出てないのに頼み込んでアルバイトで雇ってもらった話
学生時代、私は思い切った行動を取りました。よく通っていた居酒屋でどうしても働きたいと思い、求人が出ていないにも関わらず、直接店長に電話をかけ、アルバイトとして採用してほしいとお願いしたのです。
思えば無謀とも言えるこの一本の電話が、のちの私の人生に大きく影響を与えました。
体験したことのなかった“憧れの場所”
この居酒屋は、上京してすぐの頃から、友人のお祝い事でよく利用する人気店でした。サプライズの演出が得意で、8割型女性客の「女子会居酒屋」としても知られていました。
田舎育ちの私にとって、この店舗の雰囲気やサービスのすべてが新鮮で驚きの連続でした。例えば突然店内全体の照明を落とし、バースデーソングを流すこと。花火やロウソクを灯したケーキが順番に運ばれ、店舗全体でお祝いすること。さらには記念撮影した写真をロゼワインのボトルに貼り付けて贈るサービスもありました。
演出だけではありません。スタッフの方々の明るく丁寧な接客、細やかな心遣いも、それまで一般的な飲食店にしか行ったことのない私にとって、新鮮な驚きでした。訪問回数に合わせて工夫を凝らしたお通しを出してくれたり、些細な要望にも柔軟に対応してくれたりもしました。こうした一つ一つの体験が、私を完全に魅了していきました。
「ここで働きたい!」
その思いが、日に日に強くなっていったのです。
突然の直談判
アルバイト求人を探すこと数週間。しかし待望の募集は出ません。「このまま諦めるべきだろうか...」そう思った矢先、ふと閃いたのです。
「直接お願いしてみればいいじゃん!」。
そうして私は、勇気を振り絞って店長さんに電話をかけることにしました。今思えば恥ずかしいほど熱量で押し切った直談判。でも、その勇気が実を結び、面接を経て、幸運にも採用していただけました。
新宿の好立地にある人気店であっただけに、この決断が自分の人生にとって大きな転機になるとは、その時は想像もしていませんでした。
働いて気付いた「仕事」のあり方
実際に働き始めると、お客様に感動を届けるためのおもてなしの心と、細やかな気配りの重要性を身をもって学びました。1人のお客さんとして体験した感動が、今度は提供する側の視点を得たことで、新たな発見につながっていきました。
「どうしたら喜んでもらえるだろう?」
この問いが、私の日々の仕事の原動力となりました。中でも自分自身の接客スキル、特にコミュニケーション能力が非常に重要であることを実感しました。お客様一人ひとりのニーズを察し、それに応えていく過程では、私自身も成長していくのを感じました。
さらにありがたいことに、この仕事は単なるアルバイト以上の意味を持つようになりました。仲良くなったお客様のお姉さんたちが、私の人生の良き先輩となってくれたのです。美容師さんには髪を切ってもらったり、メイクを教えてもらったり、食事に連れて行ってもらったり。仕事を通じて、人とのつながりの大切さも学びました。
この経験は、仕事が単にサービスを提供するだけでなく、人と人とのつながりを作り、互いに刺激し合える場であることを教えてくれました。お客様に喜んでいただくことはもちろん、自分自身も豊かになっていく。そんな仕事の魅力に、私はますます惹かれていきました。
また、こうした経験が今の私の"仕事観"の原点となっています。学生ながらに仕事のあり方を知ることができました。
チャンスを掴み取る大切さ
結果として、学生時代のこの行動が、"仕事は自分で作るもの"だという今の考えにつながりました。
待っているだけではチャンスは逃してしまう。
能動的に動き、自ら道を切り拓いていく。
この姿勢が、現在の私のキャリアの礎となっています。
実際フリーランスの広報として仕事を続ける今も、求人としては外に出ていない案件をご相談いただくことが多く、要件から整理することばかりです。
どんな状況でも、自ら機会を作り出し、価値を提供する。それが私の仕事に対する姿勢なんだと思います。これからも大切にしていきたいです。
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