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2.西洋医学と東洋医学の違い

鍼灸治療を紹介する小冊子を作成しました

10月に鳥取県八頭郡八頭町で鍼灸院を開設しました。
鍼灸治療院が少ない地域のため、鍼灸施術を受けたことがない方が多いです。
そのため、はりきゅうについて知れるようなものを作って欲しいと
リクエストいただき作成した小冊子。

内容を少し編集して、Instagramとnoteに投稿しようと思います。
『元気な身体のつくりかた 〜心身の健康と東洋医学〜』
1.健康とは
2.西洋医学と東洋医学の違い
3.鍼灸治療について
4.季節に合った生活と食事
5.呼吸と運動
6.こころ



【2.西洋医学と東洋医学の違い】

西洋医学は古代ギリシャや古代ローマから、東洋医学は古代中国医学を源流とし、東アジアから発生しました。
日本でも明治時代までは東洋医学(漢方医学)が一般的でしたが、西洋化にともなって西洋医学(蘭方医学)が採用されるようになりました。

西洋医学

科学的根拠に基づいた医学として現在の主要な医療となりました。
病院へ行くと運動器、消化器、泌尿器、婦人科、耳鼻科、精神科など診察科目が分かれています。
西洋医学は人体を細分化して、悪い部分を特定し、薬で抑えたり手術で取り除いたりします。
客観的な評価が出来るように数値化されていて、『基準値』を使って他人と比較し、基準から外れると異常(病気)と判断します。

東洋医学

東洋医学は人体を「あらゆる影響を受けている有機的な(多くの『部分』から成り立ち、関連しあって一つになっている)もの」
と捉えています。
もし悪いところがあれば、その部分だけを見るのではなく、「どのように関連して症状が出ているのか?」と考えます。

東洋医学の診察方法

症状が現れた過程を重要視し、全身を『四診』と呼ばれる東洋医学独自の診察法を用いて診察します。
診察でも「部分には身体の全体が現れている」と考えているので、部分的に診ているようで、全体を俯瞰しています。

この『全体』には、目に見えない(と思うような)「心の動き」なども含まれます。
そもそも身体の中は目には見えないので、その目に見えない内側を、身体の外側から読み取ります。
不思議に思うかもしれませんが、東洋医学には長い歴史があって、歴史に裏付けされたテクニックを使えば、不思議な力は使わなくても、読み取ろうとすることが出来ます。

世界的に

近年、アジア以外でも鍼灸治療は認められており、
2006年のWHO(世界保健機関)の会議では361穴のツボが国際統一され、2010年にUNESCOは「伝統中国医学としての鍼灸」を無形文化遺産に指定しました。

フランスから一時帰国していた方から、
「向こうで鍼灸治療を定期的に受けていたので、日本でも良い先生がいないか探していたんです!」と言って私の治療を受けに来てくれた方がいらっしゃいました。
日本で良い鍼灸師を探すのは難しい。どっちが本場なのか分からなくなりそうですが、世界的にも東洋医学の人体観を大事にされている方が多いんだなと思いました。
私たちも、日本の鍼灸を大切に守っていきたいですね。

*トップの写真は『針灸大成』(楊継洲/1601年)の臓腑の図
私の大好きな臓腑図です。

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