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なぜ鬼塚夏美に妹ができたのか? ~絵森彩の過去を探って見えてきた作品のテーマ~

Liella!3期生のメンバーが発表されて半年が経とうとしていますが、その一人はキャストの絵森彩すら寝耳に水という鬼塚夏美の妹、鬼塚冬毬です。

わざわざ既存のキャラに妹が出来たというのは、3期のキーパーソンは鬼塚姉妹とそのキャストということになる(はず)です。そこで彼女たちがなぜキーパーソンになるのか、夏美と彩を中心に考察という名の妄想をしてみようと思います。

絵森彩に抱いた「違和感」

私は絵森彩を最初に見た第一印象から「大人っぽい子だな」という印象がずっと付きまとうのですが、誤解を恐れずに言えば、そうした印象とともにずっと何か彼女に対し、何か直感的に言語化は出来ない「違和感」を抱き続けてきた子でもありました。

鍋にしいたけを入れない話とか、上みたいな誕生日パーティの装飾(日付がLiella!入りが発表されたり、高校の卒業式前の2022年2月であることは覚えておいてください)であるとか、地元の雑誌で以前進路について話をして「普通ならまず、親が反対しそうなのに、どうして親を説得したみたいな話が出てこないのだろう?」とは思っていたり、後に高校の化学で偏差値79をとったことがあると主張したという話を聞くと「この子、声優の道に進んじゃっていいの?」と率直に思ったこともありました。

いずれにせよ、彼女の口から語られる両親は彩花(本名は依田彩花)のことを良く言えば「大事に」、悪く言えば、「甘やかして育てた」印象があったので、「一人っ子だから夏美に姉が出来て嬉しかった」という話を聞いて「ああやっぱり」と氷解する面もありました。

彼女は最近髪を黒くしてサンリオピューロランドにプライベートに言ったときの投稿に「黒髪になったらなんか幼くなった」というコメントがあって、何か氷解した感じがあるのです。こっちのほうが似合うってコメントがかなり多いのに「幼くなった」とあまり自己評価が良くないのです。

彼女を評してよく言われる「自頭の良さ・芸歴の長さ・バスケ部の経験」だけじゃなく、いつからどうしてそうなったのか、もちろん解らないのですが、仮に「大人に見られたい(あるいは大人っぽくなりたい)願望が強い子」という補助線を引いて見てみると、彼女に抱いていた違和感が個人的に一気に氷解したのでした。

前述の雑誌が出ていたとき(発行は2023年1月末)に、「上京して1年と少し」、当時のTwitterでもまだ卒業式前の誕生日でも「久々に帰省しました」とあるので、高校在学中から上京したのは間違いないのです。

ただ、これを知った当時「授業ある時はわざわざ東京から山梨に通うなんて変なことしているな?」と怪訝な思いをしたのだけど、県内有数の進学校でおそらく一人だけ大学に行かないと決めているのですから、1月になったら遠方の球団寮に入る球児みたいな感じで高校側も認めているのでしょうし、本人も「これからは芸能人として独り立ちするから」という思いの現れなのかなと考えています。

その一方で「大人に見られたい願望がある」ということは、裏を返せば自らの自己評価では「子供っぽい」と考え、「大人っぽい自分」という仮面を被っているということなので、「大人っぽさ」を額面通りに受け取って、接すれば折れてしまう脆さというものも同時に抱えていると思うのです。

挫折続きの芸能生活

さて、ここで彩の芸能人生を見てみると、夏美と同様に挫折続きであることがわかります。まず、ジュニアアイドルを「遠いからという」理由で投げ出し、数年のブランクを経て中3で別の事務所に再度スカウトされて2019年4月13日に「ハコイリムスメ」のメンバーとしてデビューします。

ラブライブ!のキャストには乃木坂46出身の佐々木琴子を筆頭に、さくら学院の佐藤日向・野中ここな、美少女コンテストファイナリストのユニットX21出身の大西亜玖璃、私立恵比寿中学の矢野妃菜喜、アイドリング!!!の後継ユニットという位置づけのアイドルING!!!出身のペイトン尚未とアイドル出身のキャストは散見されますし、ミュージカルに至っては現役のAKBメンバーも居ます。

また、アイドルではありませんが、結那は高校生ガールズバンドとしてメジャーデビューをし、バンドメンバーと映画出演をした経験もあります。

しかし、彩が加盟中は「ハコイリ」は2019年度のTIFにも出場したとはいえ、加入から半年後の2019年10月22日に一部メンバーの卒業を機に半年間の活動休止となりますが、その後活動再開することもなく3月に翌月のライブを持って解散が発表。本来2020年4月に予定いされていた解散ライブはコロナ禍のために、同年8月16日に無観客ライブでの解散になります。

今の彩であれば、全編海外ロケの写真集なんてのも出そうと思えば出せそうなのに、ハコイリはクウンドファンディングで写真集をようやく出し、CDもつくばテレビ(地方のテレビ局ではなく、東京に本社があるそういう名前のアイドル番組制作会社)からと、事務所自体は当時も今も所属するボックスコーポレーションと比較的大きい会社からですが、実態はかなり地下アイドルに近いユニットでした。

活動休止後はコロナ禍に見舞われたという事情はあるにしろ、解散ライブとLiella! のオーディション以外活動実績らしいものは私が調べた限りでは見られず、本人もLiella! がダメなら芸能界引退と見切りをつけていた中での合格でした。

「ハコイリ」時代は依田彩花と本名だったのに、彩の一文字を残して絵森彩と改名して、彼女が語るアイドル時代の思い出も「学業との両立頑張っていたよ」的な話ばかりなのは、本人的にもあまり思い出したくないのか、あるいは大人が半地下アイドル出身の経歴や文化を持ち込まれるのを危惧したのか定かでは有りませが、何れにせよ華々しさとは無縁と評さざるを得ません。

アイドルの世界は常にフレッシュな新人が求められる世界で、「前がある」というのはそれだけでマイナスです。とはいえ、大きな実績があれば話は別で、「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」を地で行く世界ではLiella! になる前の芸能界の実績は「打たれる釘のような経歴しか無い」と言わざるを得ませんし、本人としてもわずか半年のアイドル活動ではまったく不完全燃焼だったのではないでしょうか?

鬼塚夏美と絵森彩

彩の経歴が長くなりましたが、ここでようやく鬼塚夏美が出てきます。

夏美とはトラブルメーカーとしてしか見られていない感はあるのですが、その本質は才能あらゆるものに恵まれず、おそらく賢妹と常に比較され続け、常に夢に挫折した結果、15歳にして自分が「夢を見られないから、金を稼いで将来を困らないようにする」という諦観に達したキャラクターです。

故に金儲けに余念がないわけですが、ある意味では大人びているわけですけど、その一方でゾウ・キリンが好きといういかにも子供が好きそうな動物を挙げ、身長も152cmとメンバーの中では一番の小柄でな体格です。

二人のプロフィールを書いてお気づきでしょうが、この「挫折」と「大人っぽさと子供っぽさの同居」こそが絵森彩と鬼塚夏美をつなぐ最大のキーポイントあり、Liella! と出会い、メンバーとなることで、ようやく夢叶えた夏美と彩という二人の姿は、極めてシンクロニシティをする演出なのです。

下手なアイドルよりもスターダムに昇れる(=稼げる)わけで、アイドルがセカンドキャリアとして声優を選ぶのは一般的になりつつ有り、Liella!としてなら、ハコイリムスメなら夢にすることもおこがましい東京ドームのステージにだって行けてしまえるわけです。

あるインタビューでは「(夏美は)自分の子だから一番かわいい」と言っているのですが、実際のところは夏美は「自分の役だから」以上に心酔しているじゃないのでしょうかね。(これはラブライブのキャスト全般に言えることですけど)

そして、好きな食べ物が納豆ということも合って茨城出身という疑惑がある(未解決)のですが、彩は山梨出身、彩の実家の飼い犬はなっつで、ニックネームはオニナッツと、本人の弁では偶然なのだそうだけど、何か鬼塚夏美は彩に当て書きされて作られたキャラなのかなと思ってしまうのです。

もっとも、ラブライブ!のキャラクター作劇術は少なくともAqoursの頃はイメージに合う人を選んで、そこからキャストに合わせて修正するという形を取っているので、当て書きされているように見えているだけなのかもしれませんが。

なぜ鬼塚冬毬は鬼塚夏美の妹なのか?

なぜ冬毬が夏実の妹なのか。それはCVが絵森彩だからなのでしょう。最初は「あの子はしっかりものだから教育係を期待しているのか?」とも思ったのですが、どうももっと違う理由があるように思えるのです。

そもそもスーパースターは、「かのんのように一度挫折したり、あるいは可可のように、今まで夢のなかったメンバーがLiella!と出会って、スターになる」というテーマが意識されていていて、キャストもそれに合わせて「もうこれがラストチャンスのつもりで受けた」というメンバーが多いし、一般公募のキャストもそもそも芸能人になるつもりがないという人も多いわけで、11人それぞれにドラマがあるわけです。

「夢と出会ったメンバー」というテーマの象徴が、一般公募から一躍スターダムにのぼった伊達さゆりであるならば、チアリーディングの大会で優勝したことのあるペイトン尚未やミスコン準ミスの青山なぎさのような人たちよりも、半地下のアイドルであっても半年しか活動出来なかった彩が「挫折からの再起」というテーマを描く上で最も強いコントラストがあったということなのかなと思います。

そうやって見ていると、なぜわざわざかのんを北海道入りしてまで勧誘したのはおかしい、きな子に花を持たせるべきと批判があったけど、作品の演出としてはかのんしかいないということにもなります。まあ、そもそもそこまで考えてるのか、そうだとしても東京の近郊じゃなく北海道というのは無理があるという気はしますが。

いつから夏実の妹という設定がいつ生まれたのか定かでは有りませんが、夏美がLiella! を種に金儲けするトラブルメーカーという印象ばかりが優先して、視聴者からの夏美へのキャラクターへの共感が希薄だったり、そもそもスーパースターの名の通りに、「Liella! と出会って、スターになる」というテーマがあまり伝わっていないという印象を個人的に抱いており、改めてそのテーマに焦点を当てたいのかなとは思うのです。

3期では何を描くのか

3期生の一般公募審査は、1期の一般公募で最終審査まで進んだ子が3期生では書類で落とされるなど、単に演技がうまい・ダンスや歌がうまいだけじゃなく、人柄も見ている可能性は高いのではないかと思います。

夏美の妹となれば当然彩との絡みも増えるので、二人の相性を第一に考えるはずで、大人っぽく振る舞いたくて気張る彩に対して、天然でおっとりしているけど、芯の強く4ヶ月で曲数は限られるとはいえ、先輩と比例する激しいパフォーマンスを見せた坂倉花というのは相互に補完関係を狙っているのではないでしょうか。

そもそも論として、アニメの(とりわけ2期の)不評ぶりは現場に伝わってきているはずで、いっそ新規獲得を諦めて、この3年間のキャストの活動の小ネタを散りばめているようなファンムービー的な作風にしてしまうという選択肢もあるはずで、確実に評価はその方が上がったでしょう。

3期は「みんな、あつまれーー!」とか力を抜いたキャッチだなと思ったし、シリーズのテーマのはずの「私を叶える物語」も2期最終回で使ってしまい、ラブライブに優勝をしたなかで何を描くのか。

あえてテーマを再確認するような設定を出してきたというであれば、テーマから逃げずに、批判に屈せずテーマを貫徹するという意思表示なのだと思います。


追記 2023/10/15

個人的にボックスコーポレーションに悪印象があるので結構偏見がありますがご了承ください。

随分婉曲的ですが、秋葉原のゲーマーズで先着順でイベント参加券を配る企画をしたら、ルールを守らない人だけが参加券をもらえる事態となりました。

そのイベント内容って、まあお渡し会はともかくツーショットチェキとか、声優のやる仕事じゃないですよ。事務所は地下アイドル感覚でタレントを売っているんですかね? 彼女は絵森彩であって依田彩花じゃないのですよ。

ハコイリムスメ時代のチェキで痛バッグ作ってLiella! の現場に行く人もいるそうですけど、乃木坂時代の佐々木琴子のグッズでもどうかと思うのに、建前上は、依田彩花=絵森彩とは認めていないわけで本人も困惑するのじゃないでしょうか。

先述の雑誌で「女優とラジオパーソナリティに興味を持った」というけど、女優はオーディションに受からないとどうにもならないですし、舞台や朗読劇の仕事も無いのは縁がないからまだ仕方ない割り切っても、今年残り2ヶ月半。10月の改編を終えてラジオパーソナリティって二期生で彼女一人だけラジオの仕事ないですし、Liella!全体でも配信2本あるペイ子と、芸歴半年のさくしか居ません。事務所は営業をしてるのでしょうか?

名前変えて肩書を「アイドル」から「声優」にしたら売れるほど甘い世界じゃないんですよ。

「Liella!で初めて演技に触れた」みたいに読めること書いてますけど、アイドルが芸能界で年を取っても生き残るのは極端な話、歌か演技のどちらかで卓越するしかないのに、演技のレッスンとかしていないのですかね?

同じ子役出身の結那と比べてもあまりにサポート希薄だなと思うし、彼女が無理して背伸びをする原因って周囲に頼れる大人が居ないからなんじゃないかという気がしてくるんですけど、ちょっと事務所の考え方変わるか、環境変わらないと花咲くものも咲かないのでないですかねえ。

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