上手な撤退は評価されない~ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルシリーズへの雑感

今日(2023年6月30日)にスクスタがサービスを終了する。

運営はスクフェス2への移行をアナウンスしているが、どうもスクスタの熱心なファン層を中心にスクフェス2の評価は芳しくない。

確かに実際にプレイしても良く言えば「ローコストオペレーション」、悪く言えば「お金をかけていない作品」だなと言う印象があった。一方でゲーム版の『幻日のヨハネ』やリンクラの開発会社は公表して、ヨハネは開発会社を売りとしているのにも関わらずである。

私の想像であるが、2D音ゲーの開発から運営まで(極力リソースを使い回すことで)ローコストで運営するような会社があってそうしたところに委託して開発しているのではないかと予想しているが、そうした背景で出される作品は率直に言えば「撤退戦」であり、スクフェスはメディアミックスのメインレーンから外されたと認識しても良いのではないか。間違ってもゲームで一山という方向性ではない。

なんでもはじめるより終わらせる方が難しい。度胸がいる。おそらく一番楽な選択肢はスクスタとスクフェスをそのままのらりくらり維持することだ。その次にはアイマスSideMのようにソーシャルゲームからの撤退を表明するという選択肢もある。

普通なら、いよいよどうにもならないところまで放置するに任せて、ソーシャルゲームからの撤退が一番楽な選択肢だっただろう。しかし、運営の取った道は違った。あえてローコストな新作を出すという選択肢を取ったのだ。

おそらく、スクフェス無印は独自プラットフォームを採用し、ブラックボックス化しており重大なバグに対応できず、もし「何か」が起こればそのままサービス終了のリスクすらあったのだろうし、高コスト体質だったスクスタをかかえ、かつゲーム媒体をハブとした展開を捨てる事はできないという判断から新作にかじを切ったのだろう。

撤退戦こそが一番能力が居るが全く評価はされない。スクフェス2もスクスタに負けず劣らず罵詈雑言がある。3DMVもなくなり、スクスタからしてみたら劣化版に集約することですらあり、規約上問題ないとはいえ大金をはたいて掴んだカード資産を切り捨てさせる以上厳しい評価は当然かもしれない。

しかし、もっと立ち振る舞いってものがあるだろうに、粘着して呪詛を垂れ流すのはいかがなものか。

しかし、今回の件で驚いたのは「ラブライブはμ's時代のような覇権コンテンツであり続けるべき」であり「とにかくすべてを凌駕するようなハイクオリティなものを出すべき」という思想が予想以上に、かつ広範にファンの間に多かれ少なかれまん延していることである。

スクフェス2以下の売上でも運営できてるソーシャルゲームはいくらでも存在し、どこまで行けば運営できなくなるかは一概には言えない。それ単体では全く維持困難な売上としても、宣伝として割り切ってる作品もあるが、売れないとヤバいと批判されるのは要するに「ラブライブが好き」ではなく「ラブライブが作る数字」が好きだけど、今更他所にも移れないから粘着して居るのでは無いかと思う。

結局そうした発想であるからには「ゲームにしろアニメにしろ、新作を出すには社運をかけて全力で出すのは当然」という感覚になり、コンテンツの自由さを狭めているのではないか。

とはいえ、コロナ前は運営も「出せば売れる」という感覚は確実にあったとは思うし、そんな感覚で作ったら売れるための工夫はしなくなる。

スクスタを最初に遊んで悪い意味で驚いたのはLive2Dモデルを作る前に時間切れがきたのか、3DCGをシナリオに導入できなかったのか知らないが、当時ガルパやミリシタをプレイしていて、どちらも会話シーンもモーションあるのに、スクスタはそうじゃないことに失望した記憶がある。

逆にスクフェス2はモーションあってそれは歴代シリーズと比べたら明らかな美点ではあるけど殆ど褒められていないのを見たら、実はモーションなんて飾りなのかなと思ってしまう。

閑話休題。スクスタは20章問題以前に「インタラクティブ性」と、「ページや放送時間などの決められた制限にとらわれずに表現できる」というゲームの特性を決して活かしきれていなかったと個人的には思う。

私は「ソーシャルゲームを持つというのは専門チャンネルを1つ持つのと同じこと」「ソーシャルゲームは装置産業」という持論があるけど、ラブライブという恵まれたバックボーンを持ちながらも残念ながらスクスタは決してそれを活かしきれていなかったなと思っている。

そもそもスクフェスがUnityを採用していたら、おそらく虹ヶ咲は企画すら無いだろうが、スクフェス無印を切り捨てるような方策をとらずにゲームは素直に大型アップデートを繰り返すことが可能(もっともそれをやってるガルパの成績が好調かは別の話)であったろうことを考えると、そもそもの現状の種はヒットしたスクフェス無印の頃に巻かれたと言っても良い。

アイドルもののゲームがどう有るべきかというのは、まず育成ゲームから始まり、アイプラのような放置ゲーやパズルゲームなど様々なジャンルが提案されているが、ジャンルの草分けたるアイマスも結構難儀しているようで、結局音ゲーに落ち着くけど、その音ゲーが下火という事情がある。

アイドルの自主性と自己解決性がシリーズの根幹の面はあるラブライブに育成ゲームという方向性はふさわしくないだろうからラブライブのゲームというのは模索というのは続くのではないかなと思うし、コレというジャンルが見つかればその時がスクフェス2が終るときなのかなとは思っている。

追記
「スクスタからスクフェス2に引き継いだものはヘイトだけ」というコメントをみたが実に上手いことを言っているなと思った。スクスタのプレイヤーからはどう取り繕っても3DCGがなくなる時点でサービス改悪であり、逆Liella! から入ったファンには初めてまともに遊べるラブライブのゲームというギャップが有る。

故に文句を言う人のアイコンを見ると、殆どが虹ヶ咲のアイコンで後はμ'sとAqoursがチラホラという感じである。そもそも「ニジガクファンがゲームを支えられなかったからこうなったんだ」といいたくはなるが後の祭り。

そもそもLiella!以降に入ったファンには、「ラブライブは覇権コンテンツであり続けるべき」なんて感覚はないだろうし、コンテンツはマニアが潰すとは言うが、そうした感覚を持った若いファンを運営は大事にすべきじゃないのかな。

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