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抗酸化とミトコンドリアと卵子の質

どうも!ぶらす室長です!

今回は、だいぶ温めていた抗酸化とミトコンドリア、卵子の質について解説していきます。

このテーマは皆さんとても興味があるけれど、情報がなかなか集約されていません。なぜなら

・ミトコンドリアと抗酸化のメカニズムの説明が難しすぎる
・抗酸化物質や酸化ストレスに効く栄養素が多すぎる
・営利目的の情報が多く偏りがすごい

などが原因ではないかと私は考えています。

そこで、卵子の質と抗酸化サプリメントの効果をまとめてくれている論文はないかなぁー?と探していたところ、下記の論文に出会いました。

Clinical Application of Antioxidants to Improve Human Oocyte Mitochondrial Function: A Review
→ ヒト卵子ミトコンドリア機能改善のための抗酸化剤の臨床応用:総説

例の如く、論文は鵜呑みにしてはいけませんが、抗酸化と卵子の質に関してよくまとめられていると思いましたので、この論文をメインに解説していきたいと思います。

ただ、酸化ストレスと抗酸化、そしてミトコンドリアの機能はとても複雑で、深いところまでいけばいくほど話がややこしくなっていきます。私もついていけません。

この記事の目的は、この後紹介する抗酸化サプリメントと卵子の質についての解説記事がわかりやすくなるための前段階的な記事です。

そのため、そこまで深掘りせずに抗酸化とミトコンドリアがどのように生体内で働いているかをざっくりとわかってもらえればいいなと思っています。

では、いきましょう!!


ミトコンドリアと酸化ストレス


細胞の中にはミトコンドリアという器官が存在し、細胞活動に必要なエネルギー産生を行っています。

ミトコンドリアは、大昔は哺乳類とは独立した生き物でした。

進化の過程で、我々の細胞の中に取り込まれて、共生という形でエネルギー産生を担ってくれています。

そのため、ミトコンドリアは我々のDNAとは別に、ミトコンドリアDNAという独自の遺伝子を持っています。(不思議)

ミトコンドリアがどのようにエネルギー産生を行うかというと、酸素を使って糖からATP(エネルギーの元となる物質)を合成します。
この時に、酸化ストレスの元となる活性酸素 (ROS)というものが必ず発生してしまいます

ROSは、適切な量であれば正常な細胞機能に必要とされていますが、生体内で過剰に蓄積すると、酸化ストレスとなります。

酸化ストレスは、細胞の膜構造やタンパク質、DNAなどに深刻なダメージを与えてしまいます。

そのため、ミトコンドリアは抗酸化物質を自ら産生することで、活性酸素やフリーラジカルを除去し、生体内における酸化ストレスと抗酸化物質の量的バランスを調整しています

つまりミトコンドリアは、エネルギー産生によってROSを発生させる酸化ストレスの原因となるとともに、酸化ストレスを除去する抗酸化作用も持つ細胞小器官という事ですね。

酸化ストレスと抗酸化物質


何らかの影響により、生体内の酸化物質と抗酸化物質のバランスが崩れて酸化ストレスが優位となると、ミトコンドリアは機能障害を引き起こします。つまり、酸化ストレスに対応できなくなるのです。

例えば、年齢の上昇や、子宮内膜症、PCOS、早発卵巣不全(POI)は生体内にROSを発生させ、酸化ストレスレベルを上昇させます。

また、食事、肥満、喫煙などの環境要因も大きく影響します。

酸化ストレスはお隣さんの影響もとても強く受けます。

ガラガラの電車は快適ですが、満員電車はとんでもないストレスだと思います。

満員電車でも周りが全て美女(酸化ストレスに対応できる良いミトコンドリア)だったら、まぁそんなにストレスではありませんが(笑)、自分以外が全ておっさん(酸化ストレスに対応できないミトコンドリア)の満員電車だった場合、私の酸化ストレスはとんでもなく上昇する事間違いなしです。

このように周りの細胞が多く、なおかつ周りの細胞が酸化ストレスに対応できなかったり、酸化ストレスをたくさん産生してしまったりしている場合は、健全な細胞やミトコンドリアも大ダメージを受けてしまいます。

卵子のミトコンドリアの機能


卵子のミトコンドリアは、減数分裂のスピンドル形成(染色体を分ける時に出現する糸状の構造物。こいつがおかしくなると、染色体異常が起きる)適切な染色体の分離、成熟、受精、発育などの重要なイベントに関与していることが報告されています。

そのため、酸化ストレスによるミトコンドリア機能障害は、卵子の質や胚発育、そして妊娠率の低下を引き起こすと考えられています。

また、年齢の上昇により卵子のミトコンドリア活性が低下したり、ミトコンドリア量が変化してしまう事が多く報告されています。

抗酸化物質の作用


たくさん種類のある抗酸化物質ですが、それぞれ働き方が違います。

下記のそれぞれの作用についての模式図をご参照ください。

① ミトコンドリアを保護する作用
② 抗酸化物質を活性化し、増強する作用
③ 直接酸化ストレスを除去する作用

の3つがあります。

ミトコンドリアと抗酸化物質についてざっくり理解できましたか?

さて、いよいよ別記事にて抗酸化作用のあるサプリメントのエビデンスを基に効果があるかないかをそれぞれ解説していきます。

最初に言っておきますが、サプリメントの作用には個人差があります。

いくつかエビデンスのある抗酸化物質もありますが、飲んでも全ての方に効果があると言い切れるものは今のところありません

また、抗酸化物質は食品から割と容易に取り入れる事ができます。

つまり、酸化ストレスが高く、抗酸化物質を日常的に食品から摂取できていない症例には、サプリメントの効果が高く、そうでない症例にはあまり効果がないという事になります。

でも、抗酸化と卵子の質について、現状どのような報告があるのかは知っておくことに意味はあると思います。

引用: Clinical Application of Antioxidants to Improve Human Oocyte Mitochondrial Function: A Review

抗酸化物質のサプリメントの効果

下記記事でそれぞれまとめています。
e-Labメンバーは全ての記事が読み放題です。

コエンザイムQ10と卵子の質


レスベラトロールと卵子の質


メラトニンと卵子の質


ビタミンEと卵子の質

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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