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愛するには違いすぎるし、憎むには理由がなさすぎる
ずっとやりたかったけど、自分には合わないと思ってきたことを最近できている。
パーマを当てて、丸メガネをかけている。
前々から買いたかった服を買った。個室ビデオにも行った。
同期はみんないい人で、たまに飲んだりして。幸せだ。
でも、自分が何をしたいのかわからない。わからなくなっている。
ふと研修を受けている会議室を見渡してみると、かなりのパーマ率で、俺は周りの影響を受けているのではないかと思った。
俺は本当に俺のやりたいことをやっているんだろうか。
もうめんどくさい。
キモくないようにしつつ、でも感じ悪くないように振る舞って、ちゃんと話のオチはつけつつ、含蓄ある気が利いた一言も言って、この人とはあんまり喋ってないからそれを前提に置いてテンションを作りつつ喋る。
もうこういうのに疲れた。疲れたし、こういうことをし続けているから、誰かの言葉に賛成か反対かも分からなくなった。自分が何を感じているのか、分からなくなった。
同期の男子メンバーは皆ジムに通い出している。ゴルフに興じ出している。生産性、社交性。もう全てから一度距離を取りたい。ジムだろうがゴルフだろうが、どうだっていいし、別に好きにしてくれたらいいのに、こんなに近い距離にあると同調するか反発するかしか選択肢が与えられていなくて、自分が何を思っているかにかかわらず、どちらかを選ばざるを得なくなっている。
どうするの!?とずっと迫られ続けている。
暫定のそれっぽい答えを間に合わせで出し続ける日々だ。
やるかやらないか。やらないならそれはなぜなのか。代わりに何をやるのか。選択と論理に埋め尽くされた日々にうんざりしている。
逃走論は読んでいないけれど、ちゃんとスキゾ的に生きなければそろそろ心がもたないということは理解している。
皆、良い人だし、素敵なことばかりだ。だから逃げたい。全てを愛したくもないし、憎みたくもない。だから逃げたい。外からぼーっと眺めて、たまに挨拶しに行く、そんな距離が一番だから逃げたい。
愛するには違いすぎるし、憎むには理由がなさすぎる。でも、大人になるとはきっと、腹を決めて人を愛し、そしてその中の幾らかを憎むことなんだろうと思う。俺はそういうのが疲れる。怖い。でももしそれが、後戻りしないために必要なのであれば、心の扉は開けておきたい。
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