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数学体感プロジェクト2020

 いよいよ数学ヒストリーツアーも最後のタームです。これまで,数学史を学び,中学・高校で習った公式を見つめ直してきました。最後のタームは「百聞は一見に如かず」ということで,公式を体感できる作品を作ります。

 この記事では,2020年度冬学期に行った数学ヒストリーツアーの数学体感プロジェクトについて紹介します。

テーマの選出

 まず初めに体感する公式を選びます。

 今回は受講者が5人ということもあり,みんなで1つのプロジェクトを進行することにしました。これまで自分たちが学んだ内容や調べた内容から興味・関心が深い分野を選びます。

 今年度は数百通りの証明方法がある「ピタゴラスの定理」を選び,その中でも直角三角形の1辺を正方形の1辺として,正方形の面積を比べる方法を体感してもらおうとなりました。

作品の作成

 ピタゴラスの定理を体感できる作品を作ります。正方形の面積を比較する仕組みとして,斜辺を1辺とする正方形の面積が他の2辺をそれぞれ1辺とする正方形の面積の和に等しいと見てわかる作品を目指します。

 まずは設計図作りです。元となる直角三角形の大きさはもちろんですが,素材となるプラ板の厚さにも気をつけます。

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 設計図ができあがればいよいよ制作開始です。考えたパーツを切り出していきます。そして切り出したパーツを組み合わせていきます。

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 もちろん直角出しにも気をつけて丁寧に作成します。

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 最後に完成した箱の中に小石(観賞魚用の小石)を詰めて完成です。クルクル回すことで小石が砂時計のように移動し,正方形の面積の関係を見てわかることができます。

レポートの作成

 ただ作品を作って終わりません。作品の狙いや目的が達成できたか,作品に発展性があるのか,"数学のよさ"を感じられたかレポートにまとめます。

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 数学のレポートなので,レポートを作るソフトとしてTeXを使わせています。インストールがTeXの大きな壁なのですが,Cloud LaTeXを使わせることでこの壁を乗り越えることができます。コマンドは検索すれば使えるようになります。

 数式をコマンドで入力することで見えてくる数学の景色もあります。個人的にオススメな教材の1つです。

ポスターの作成

 作品と共に飾るポスターを作成します。視察した東京理科大学の数学体験館やパナソニックセンターのAkeruE(リスーピアから発展)が理想の形です。リスーピアのアーカイブサイトがありますので,ご覧いただければイメージが湧くかと思います。

 完成した作品は学内に展示します。そこで,誰でも触って体感できるような作品のポスターを作ります。いかに簡潔に,ポイントをおさえて,触った人に影響を与えられるかを大切にします。

評価方法

 ルーブリックに従って採点をします。下の画像のように,全部で11項目,100点満点で採点しています。今回は時間が足りなかったため,PVの作成は残念ながら断念しました。

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最後に

 完成した作品は改めて紹介したいと思います。今現在は数学科室の前に置いていますが,1日に何回かは「ザザーッ」と小石が動く音がしているので,中学生や高校生が体感してくれているのでしょう。

サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは「創って学ぶ数学」の教材費として使わせていただきます。