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書店について

書店に何を求めるか。考え出すとキリがない。

優秀な店員さん。これは絶対欲しい。新刊は予定通り発売されるのか。遅れているとしたらその理由とどのくらい延期されるのかを答えてくれたり。この本ありますかと訊いたらすぐに売っている棚まで案内してくれたり。だいたいの内容を言えば「この本ですね」とずばり持って来てくれたり。本に関することなら大抵のことは答えてくれる優秀な店員さん。これは欲しい。

書店が建っている場所、立地条件も大事だ。個人的には郊外の寂れた場所に建っているのは好きだが、それだとほどなく閉店してしまうであろう。駅ビルの中というのは便利だが本が目当てではない通りすがりの野次馬が増え、店内がごった返していけない。落ち着いて本を選ぶ雰囲気がなくなる。
理想は最寄駅から徒歩5分前後の場所で、その書店の自社ビルで営業しているのが良い。自社ビルが難しければ少なくともそのフロアは書店のみが使用している状態で。「本が好き」「本が買いたい」という人たちのみが来店するような環境であって欲しいのだ。他の買い物のついでに何となく立ち寄る人が極力少なくなるように。本好きのささやかな我儘である。

店内の雰囲気は、本好きにとってかなり重要な要素であろう。ゆっくり本が選べる雰囲気。好きな本を見つけて、購入するか否かしばし迷える雰囲気。そんなゆとりのある雰囲気が必要だ。
店内は静かであるに越したことはない。静かな音楽は流れていて良い。インストとかシャンソンとかクラッシックとか。文化的な香りのする音はあって良い。店内放送は必要なことを控えめにする程度に抑えてほしい。重要なのはアナウンスをする人。プロのキンキンしたアナウンサー声の人は駄目だ。アニメ声なんて問題外。イメージでいうと学校の校内放送をしている生徒のような声が良い。聞いていて邪魔にならず苦にならず、必要なことが耳に入って来るような声。これに尽きる。

書棚に並んでいる本のジャンルは、言うまでもなく最重要項目だ。どういう分野の本を入荷しているか。レストランでいうと「何料理を出すのか」ということと同じだから、重要でないはずがない。これはもう、結論からいうとあらゆるジャンルの本を置いていてほしい。僕の好きなSFやミステリーなどの小説、作家や著名人のエッセイなどはもちろん、史実をあつかったドキュメンタリー、児童文学や学術書などあらゆる分野だ。教科書や参考書、コミックもあると良いだろう。なんでもそろう書店。さまざまな世代の人が立ち寄りたくなる書店。そうあるべきだと思う。

でも、こんな条件をすべて備えた書店はなくて良い。もし実在したら毎日通ってたくさん本を買ってしまうことになるからだ。それはそれで大変困ったことになる。だから、書店は何か少し物足りないくらいがちょうど良い。それくらいでちょうど良いのだ。

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