同人イベントで初めて相互さんに会ってすごく嬉しかった話


流行中の感染症の影響で公式・非公式問わずオタク向けのイベントが中止や延期になって悲しいので、同人誌即売会であった嬉しかったことを書き起こそうと思う。
思ったより長くなったのでまとめると、
「交流を全くしない二次創作お絵かきマンが、イベントで初めてフォロワーさんと会話できて嬉しかった」という話だ。
※「同人誌即売会」「オタク」の意味がわからなかったり、嫌悪感を抱く人はご遠慮下さい。

私はツイッターで交流というものをしなかった。
会話をしたことがある相互はリアルでのオタク友達くらいで、それ以外はフォローしたりフォローしていただいたりした時の挨拶のみだった。その挨拶すらしていない人の方が多い。ツイッター上で知り合ってお友達になった人は、1人もいない状態だった。
初めてイベントにサークル参加した時はオタク友達に売り子をしてもらったが、売り子としての都合がついたのはその時だけで、それ以降(3回)は全て1人で参加した。
両隣のスペースがお友達らしき売り子さんと話したり、「久しぶりです~!」とフォロワーさんらしき人と手を取り合っていたりするのを眺めても、疎外感というか寂しさは全く感じなかった。私はイベント会場にいるという事実だけで結構満たされていたし、本を手に取ってくださる方が声をかけてくれるので、寧ろ喜びの方が優っていた。
アフターはあそこに行きましょうという他所の会話を聞きながら1人で帰宅し、戦利品を並べてデレデレしながら晩酌するのが、私にとってのイベントだった。
私にとってはこれが普通で、これは一般的?には寂しいことなのかなと思い始めたのは、ひょんなことから「1人でサークル参加する勇気ないから売り子さん誰か~」というようなツイートを見かけてからだった。だけど、それも全く気にせずに(だって全然寂しくないのだ)、私は文字通りマイペースにツイッターでひたすら壁に向かって話しかけ、描きたい欲のままに絵を描いた。
私は「孤独が苦ではないコミュ障」だ。
そんなことだから、相互さんとイベントで会う、ということとはかけ離れた場所にいた。


ある時、ピクシブのメッセージで私の描いた同人誌を読んだという感想をいただいた。とても丁寧に書いてくださったことがわかる感想で、もうとっても嬉しかった。誇張表現ではなく、万歳をしながら部屋の中をスキップした。私が言われると嬉しいことがわかるんですか!?と聞きたくなるくらい、素敵な言葉で溢れていた。何回も読み返して、こんなに嬉しいことってあるんだなあ、自分の為に書いたものなのにこんなに言っていただけて有難いなあと思った。私はすぐに感謝の気持ちを込めお返事をした。
それからしばらくして、その感想を送ってくれた方とツイッターで相互フォローになった。その人を、Aさんと呼ぶことにする。
Aさんも絵を描く方だった。それもとてもお洒落な、私には到底書けないセンスの良い画角と魅力的な表情を描かれた。漫画もすごく面白い。Aさんはすごい人だった。Aさんとリプを送り合うこともあって、そんなこと他の人にとっては当たり前かもしれないがとても感動した。私がこんなことをしているなんてと思った。今思うと、私はこの時初めて「画面の向こうに人がいる」ということの意味を体験としてわかったのではないだろうか。だとしたら遅すぎるが。
私はAさんが大好きだった。大好きなんて本人に言えないが(急に言っても怖がられるだろうし…)、日常的なツイートもなんとなく私のツボに入るのだ。Aさんへの好感度はファーストコンタクトの時点でMAXなので、もうAさんが何をしていても「いいなあ」と思っていた。なんだが愚痴もユーモラスで面白いのだ。

そんなAさんと、実際に顔を合わせる機会がやってきた。イベントだ。やっとこのnoteのタイトルにたどり着く。
ある冬のイベントにサークル参加する前、AさんからDMが来た。私のスペースに来てくださるというものだった。私はもう本当にドキドキして、「ありがとうございます。楽しみにしてますー!」とさっぱりしたお返事をしたあとにAさんと現実で会える!?と動揺して床を転がった。
イベントに参加すること自体嬉しいが、Aさんに会えることも嬉しくて、お会いできたら渡すためにお菓子を全力で選んだ。それまで参加したイベントで推しサークルさんに「差し入れです~良かったら」と本を買った時の流れで渡したことはあるが、○○さん専用の差し入れをしたことはなかった。差し入れ選びはなかなか楽しく、緊張もしたがそれ以上にわくわくした。
もし会って、こんなつまらない奴なのかと思われたらどうしよう、という不安は少しあった。今までのお礼を直接言えるチャンスだけど、緊張してうまく伝えられなかったらどうしよう、という不安もあった。人間に会うんだ…(?)なんてことも考えた。
しかし、あまりにも変なことをしなければ大丈夫だという確信もあった。

イベント当日、正直初めてサークル参加した時より緊張していたのを覚えている。
会場のアナウンスも、拍手も、初めて心ここにあらずという形で聞いた。前後不覚の拍手をしたのは小学校の卒業式依頼だった。それでもスペースに来てくださる方とやりとりをしている内に、Aさんのことだけを考える時間は減った。
そんな時、1人の女性が微笑みながらスペースに来てくださった。
Aさんだ!
直感でわかった。私が立ち上がると、その人は「○○さん」と私のハンドルネームを呼んだ。確信に変わった。
「Aさん」
私がそう呼ぶと、その人、Aさんはニコニコ笑って私に握手を求めてくれた。
この瞬間を、私はきっと一生忘れないと思う。
Aさんのことがやっぱり好きだと思ったし、Aさんも私のことが好きなんだな!と感じていた。
Aさんの手を握ると少し冷たくて、こんなに寒い冬の日にわざわざ来てくださったのかとじーんとした。もちろん、私に会うことだけが目的ではないとわかっているが、すごく感動してしまったのだ。
私は握手をしたまま、Aさんのツイッターを見るのが好きなこと、Aさん本人も好きなこと、そして最初に感想をいただいた時に本当に嬉しかったことを伝えた…ような気がするが、正直ドーパミンがドバドバ出すぎてちゃんと喋れていたか記憶がない。ただ、Aさんが笑ってくださったので、なんとなく伝わっていると思う。
Aさんも私のことをまっすぐ見てくださって、あの時の本が良かったことと、ツイッターを見てくださっていることとを教えてくれた。さらに、推しキャラクターへの愛も少しだけ語ってくれた。Aさんが喋っているー!というだけで私のテンションはブチ上がりだった。
しばらくそんな感じで会話をしていたが、ほかの方もスペースに並んでくださったこともあり、Aさんとの会話と握手はそこで終了した。Aさんは本をお手にとってくださり、お菓子のお差し入れまでくださった(開封した時に、あまりのお洒落お菓子具合に「ああ~~~!Aさんっぽい~~~!」と悶絶した)。私も用意していたお菓子を渡すことができ、「またツイッターでお話をしましょう」とお互いに手を振って別れた。
もう本っっっっ当に嬉しかったのだ。
そのあと、Aさんと会えたという事実を何度も何度も反芻し、1人でニヤニヤしていた。私は相当不気味だったはずだ。
もっとお話をしたかった。でも、あれ以上お話するとボロが出ちゃうかなとか、そういうことも考えた。
兎にも角にも、私はAさんとイベントで会えて嬉しかったのだ。

イベント後、Aさんに今日はお疲れさまでしたのリプをするのも、本当に心が豊かになる経験だった。
それからも、Aさんとの相互フォロー関係は続いている。
あれから、私はその時活動していたジャンルとは別のジャンルで活動している。Aさんが今の私をどう感じているのかはわからないが、私は今のAさんも変わらず好きだ。


これが、私がイベントで相互さんに会って本当に嬉しかった経験だ。
GWのイベントに出るはずだったが、それがなくなった。仕事もバタバタしており休みもとりづらい状況で、今後オタク趣味を楽しむ余裕が生まれるか分からない。
だから、こんなに嬉しいことがあったんだよと自分で思い出すためにこのnoteを書いた。Aさんに直接言うのも、すごく恥ずかしいし急に「あの時うれしくて…」と話しかけても怖がられるかと思って、こういった形になった。
書きながら、やっぱり嬉しかったなあとしみじみしてしまった。私の人生の大事なところにしまっている記憶になっていたのだ。
世の中がどうなるかわからないが、この記憶を反芻しながら今はじっと耐え、そしてまた元気にイベントに参加できればいいと思う。

原稿は絶対に落とさないとAさんに誓います。

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