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態度で示す【5月の猫のはなし】

6年前、近所に仔猫がいた。手を伸ばしたら掴めてびっくりした。

一番近い動物病院に連れて行くとノミだらけで全身の血を吸われ弱っている、元の場所に戻したら死んじゃうよと言われた。

入籍して10日くらいの夫は毎日、なんだこいつは!と言いながらもその後インスタのアカウントを作っていた。

次の結婚記念日には夫が花をくれた。その中に百合っぽいものがあったことを職場で思い出し猫が食べて死んじゃうんじゃないかと慌てて帰宅した。

結婚から3年目に待望の娘が生まれた。

娘は3歳になった。

一歳前から保育園に預け仕事をしていたけれど娘可愛さにこの4月からは専業主婦になった。(たまたまコロナと重なった)

私が楽しみにしている幼稚園も始まらず、日中は娘と猫と家で過ごしている。

そして事件は起こった。

猫が怪我をしていた。娘が傷つけたのだ。とはいえ100%を超えて私のせいだ。それなのに娘を叱った。さらに猫がかわいそう過ぎると私が泣き娘はパニックになった。娘がうわーんと泣くと猫はいつも通り心配そうに寄ってきた。

私は娘が生まれて以来、猫が何か娘に悪さしないかと心配し、そういう扱いを猫に対してしていたと思う。娘も3歳ながら自分が猫より大切にされているという自覚があったと思う。

猫はどう思っていたのだろう。怪我をさせられ痛かっただろうに、声も出さず、逃げもせず、反射的に攻撃することもなくそこにいた。

遠方での里帰り出産だったので半年近く家を空けた。赤子を連れて帰ってきた私は、もはや別人で、以降猫も夫も敵かのごとく接していたはずだ。

猫の怪我を見て毎日私は悔やみ反省している。そして改めようとしている。

相手に対する不満や、間違いを伝えるのに暴力も言葉もいらないと知った。

私が猫ならたぶん人間の身勝手で横柄な態度に引っ掻きたいくらいムカついていたと思うし、文句も言いたかったと思う。

猫は理不尽に耐え、怪我までさせられたのに静かにそこにいた。そしてそれが間違いまくっていた飼い主の心を揺さぶり反省させた。そして飼い主は今行動を正している最中だ。

飼い主としても、親としても、妻としても私は色々間違っていた。

結婚したのも、猫を拾ったのも、里帰りから戻ったのも、そして今回のことも何故か5月だ。

今日はささみにいりこと茹でた人参をトッピングした。見事にトイレ扱いされた。

そういうことじゃなかった。わたしはまだ全然だめだ。






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