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ピラティスの効果を医学的に解説


今回は、よりピラティスの魅力を知っていただくため、医学的な効果について解説していきます。

少し専門的な内容になりますが、ピラティスの本質を理解に重要です!

本記事の2つのポイント

⑴身体の動きが原因で引き起こされる「痛みや不調」は、
 モーターコントロール不全を修正し適正化することで、
 症状の改善と再発 予防に高い効果が期待できる。

⑵ピラティスの最も特徴的な要素は、
 姿勢と動きを視覚的にイメージし、身体感覚を統合することで
 「自分のイメージ通りに自分自身の身体を動かせるようになること」

今回は、2つのポイントを理解するために必要な「感覚」について解説!

感覚とは


・私たちの身体の内外から受け取ることの出来る刺激のことを言います。
・聞き馴染みのある五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)以外に
 「 固有受容感覚」と「 前庭感覚」という大事な感覚がある。
・「固有受容感覚」と「前庭感覚」は身体を無意識にコントロールする。
 専門的な用語では「姿勢・運動制御」と言われ、モーターコントロールは 
 この運動制御のことを言う。

固有受容覚とは


固有受容覚とは自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚です。 位置、 動き、 力の3種類あり、主に筋肉や関節が感覚を感じ取ります。

そして以下の6つの働きがあります。

  1. 力を加減する

  2. 運動をコントロールする

  3. 重力に対して姿勢を保つ

  4. バランスをとる

  5. 情緒を安定させる

  6. ボディイメージの構築

では順に実例を交えて解説していきます!

1.力を加減する
椅子やテーブルを運ぶ時は「グッと」力強く持ちます。逆に豆腐や卵を持つときは「そっと」柔らかく持ちますよね。

このように私たちは目的や対象によって力加減をしています。その時に力の加減を調整するのが固有受容覚です。

2.運動をコントロールする
積み木や裁縫をする時は「手をゆっくり細かく動かす」と思います。
(特に肩、肘、手首)

このように関節をゆっくりと思い通りに曲げ伸ばしできるのは固有受容器が働いているからです。

3.重力に対して姿勢を保つ
生まれたばかりの赤ちゃんは重力に対して姿勢を保つことが出来ません。
しかし、成長と共に固有受容器が発達し、同時に姿勢を保つ筋肉である抗重力筋が発達していきます。そして座ったり、立ったりすることが可能となります。

4.バランスをとる
転ばないように素早く筋肉や関節の動きを調整し、姿勢を保つことが出来るのは固有受容器が働いているおかげです。
身体の傾きを感じる「前庭覚」とともに働いてバランスを制御しています。

5.情緒を安定させる
緊張している時に貧乏ゆすりをしたり、手足を動かすことはありませんか?これは筋肉や関節を動かすことで固有受容覚を刺激して気持ちを落ちつかせているのです。

6.ボディーイメージの形成
固有受容覚は前庭覚とともに「身体の機能や頭、手足の位置関係を実感」するために必要な感覚の一つです。
特に固有受容覚は相手の動きを真似し、無意識かつリズミカルに手足を動かすに大きな役割を担っています。
そして形成には「身体の隅々に意識が向くこと」が重要です。

前庭覚とは


「 前庭覚」とは 身体の傾き、動きの 速度や 回転を感じる感覚です。耳の奥にある耳石器と三半規管で感じ取ります。

そして以下の5つの働きがあります。

  1. 覚醒と調整

  2. 重力に対して姿勢を保つ

  3. バランスをとる

  4. 眼球運動を補助する

  5. ボディイメージ形成

では順に実例を交えて解説していきます!

1.覚醒と調整
前庭覚は覚醒と大きく関係しています。
例えば、デスクワーク中に眠たくなった時、頭を振って目を覚まそうとしたことはありませんか?
これは頭を振ることで回転と速度の感覚が刺激として脳に伝わり、覚醒度が増すためです。

2.重力に対して姿勢を保つ
私たちが重力のある地球で生きていくには、重力に抗して身体を持ち上げて姿勢を保つ必要があります。この重力を感じるのが前庭覚です。

3.バランスをとる
バランスをとるには自分の身体が平衡か傾いているかを素早く感じなければなりません。このバランス感覚を感じ取るのが前庭覚の働きです。

4.眼球運動を補助する
くるくると回転すると目が回りますよね。
これは前庭覚と眼球を動かす筋肉は関連しているためです。
「回転」を感じとる前庭覚が、眼球を動かす筋肉と連動する事で起こります。

5.ボディーイメージの形成
前庭覚は固有受容覚とともに「身体の機能や頭、手足の位置関係を実感」するために必要な感覚の一つです。
身体の傾きや、動きの方向や速度を適切に感じることで日常生活で効率的な動きが行えます。

これまで解説した固有受容覚、前庭覚は五感とともに「統合」されることで新たな機能を獲得していきます。

例えば、「姿勢をまっすぐに保って立つ」という動作。

これは、重力に抗う「固有受容覚」と姿勢をバランスよく保つ「前庭覚」が協調して働くことで可能となります。 このように私たちが毎日無意識に行っている動作や行為は「感覚」が下支えとなっています。

この考え方は脳卒中や骨折後のリハビリでも重要な考え方とされ、医療機関でもピラティスを用いたリハビリの注目度が高まっています。

まとめ


「感覚」という下支えが不安定だとせっかくの運動も効果が得られ難く、かえって身体を痛めてしまう原因になります。

また、身体に痛みや不調があると感覚の受け取りや統合の妨げとなり、不良姿勢やバランス能力の低下につながります。

そこでエクササイズを通して姿勢と動きを視覚的にイメージし、身体感覚を統合することを目的としたピラティスが非常に有効です。

自分のイメージ通りに自分自身の身体を動かせるようになることで姿勢と歩き方の質が高まり、日常生活の質も高めることが出来るのです。




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