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日記:2024年4月28日 快晴

・遠征中は思いのほか忙し過ぎて、日記を書く暇がなかなか見当たらない。このように言うとまるで日頃は暇しているかのように思われるが、地方在住というのはこだわらなければいくらでも混雑を回避できるため、移動の合間にでも隣の目を気にせず書き進めることが出来るというアドバンテージがある。言うまでもなく東京は基本的にどの路線に乗っても人で溢れているため、それがなかなか難しい。人、人、人。繁栄の象徴としては好ましくもあるが、パーソナルスペースが日向宗家の八卦掌回天並に広い俺としては文字通り肩身が狭い世の中である。

・ニチアサを適度に嗜みつつ、ピンチケ宿を跡にした俺は昨日の無礼を取り返すべく一目散に「モーゼスさんのケバブ」に直行した。そうでなくともアキバに行ったらこれが主食代わりになるので遅かれ早かれ向かっていた訳だが。カガリ・ユラ・アスハが、ケバブにはチリソースだと言っていたがそのまま情操教育の結果に反映されているので辛めのミックスチリソースにしたのだが、想定以上に辛いので汗が吹き出てしまった。

ケバブライス ミックスチリ
チーズトッピング(¥950)

・後から座った客が流暢な関西弁のイントネーションだったため、嫌に親近感が湧いてしまった。ついつい話しかけようかなどと要らぬ気がムラムラと立ち昇るが、それほどに遠く離れた場所での同郷の好とは大きく感じられるものなのだな。

・旅費の足しとして駿河屋にいつぞや買ったハッピーセットの「うちはサスケ チャクラ宙返り」を売却した。そのあまりにもシュールな出来のあまり、巷では「トリコ」のグルメスパイザーと並んで語られる伝説のアイテムである。かく言う俺もインターネットに真剣だった頃に嗜みとして、見かけた端から衝動買いして、その後の扱いに困った代物であった。

・買取価格は2800円也。買った時もそんな額だった覚えがあるので実質相殺した形となるが、という事は多分同じ物をいま買い直すとその倍くらいの値段になるだろう。損をしたのか得をしたのか分からないが、まぁ満額での買取だったので良しとしておく。メルカリの相場を見ると概ね5k前後だが、発送の手間と手数料を考えると手元に入るのは誤差の範疇だろうし。

・サスケを売った金で昼は「牛丼サンボ」へ。この店もまたインターネットでは古くから厳格なルールを敷いたストイックな店として知られ、殺伐とした雰囲気を好む当時の掲示板では親しまれていた。当時は主に店内での私語厳禁、携帯の操作はもちろん店員への質問も禁止で、かつオーダーは食券を買いお茶が出てくるタイミングで渡さなければ怒られる……といったような内容がまことしやかに語られていた。当時においてどの程度事実に即していたかはわからないが、今でも携帯の使用NG(スマホはOK)や動画撮影の禁止は貼り紙がされており、また客の方も暗黙の了解として私語は極めて慎まれているような雰囲気であった。最近ではすっかり法人化して、新たに神保町にも店を構えたというので流石にそこまで殺伐とした雰囲気ではなかったものの、多少はそういう名残も感じられる味わいのある店であった。

牛丼 (並) ¥630

・大手の牛丼チェーンと比較して大差はないが、アキバの一等地にしてはそこそこ良心的な昔ながらの価格設定のもと供される牛丼は、これまたチェーン店と比べるとやや濃いめの無骨な味でなかなか美味しかった。長らく不定休だった事や心理的ハードルの高さゆえに敬遠していたが、これにてついに実績解除である。

・肉フェス2日目(開催は3日目)。具体的な内容はまた別途触れるとして、とにかく日中は暑かった。雲ひとつない晴れ間に加えて、この日の東京の最高気温は28℃予想、なおかつコンクリートの照り返しもあって完全に真夏日の様相を呈していた。たかおさんなどはサングラスも含めて顔全体を覆い隠しており、万全過ぎて誰だかわからないほどに徹底した日焼け対策であった。あの……もしかして、覆面水着団の方ですか?

・昨日と比べるとひたすらシンプルにアンセムで盛り上がるといった趣であったし、実際その思惑にはハマっていたが、それはそれとして流れる曲がとにかく被る、被る。いつも行くイベントでは暗に“曲被り”がかなりの忌み事とされ、1曲単位でも神経質に避けられていることを思うと、田村ゆかりの「You&Me」が3回も流れた時などはかえって斬新さすら感じた。アニクラに通い始めた頃は良い曲は何回聴いたっていいものだと思っていたし、あまり気にしないつもりであったが、それでも1回、2回ならともかく3回も4回も同じ曲流れてきたら流石に閉口してしまうのは否めなかった。もっともスケジュールの都合上、出演者もイベントの最初からなにが流れて流れてないかを把握できる訳もないし、変に徹底して場が冷えるよりは余程イベントの趣旨に即しているので、悪い側面ばかりでもないが。

・解散後は即、昨日と同じピンチケ宿に直行。荷物を置いた後、21時過ぎに僅かばかりの飯屋を探しに放浪する激ロームーブは、我ながら前日の反省が微塵も生かされていない。まして本日は日曜で、事前に当たりをつけていた店もそもそも営業していないというのが殆どだった。東京ってあらゆる物が24時間営業だと思い込んでいたが、田舎者の幻想であり偏見だった。そんな中でふと目に入ったのは、駅前にある控えめな、とある店舗であった。

うな丼ダブル+肝吸い(¥1280)

・結論から言うとそれは鰻の店であり……いや、まったくいま思い出しても夢幻であったかと思うほどであるが、鰻丼がなんと1100円という破格で提供されていて困惑のあまり3度見くらいした。特上のうな重ですら税込み1800円である。しかもうな丼の場合はご飯の大盛が無料。意☆味☆不☆明

・また訪れた時間が時間とはいえ、取り立てて混雑している様子がないことも混乱に拍車をかけた。常々、東京は半ば無法地帯のようなものと思っていたが、まさかこんな価格破壊すらも容認されているとは。若しくはなにか訳ありなのかと身構えつつ店に入ったが、普通に客の目の前で焼くタイプで特に訝しむべき所はなかった。味についても文句なく鰻そのものであるし、肝吸いも熱々で風味が立っており、疲れた身体に染み渡るようであった。凄すぎる体験だったので読者の皆さんにだけ、店舗情報を教えて差し上げます。明日も俺……これでいいわ。



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