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日記:2024年6月18日 雨のち晴れ

・「警報級の大雨で計画運休の可能性あり」などと昨日から大仰に張り出されていた。またしても陸の孤島と化し、在宅に切り替わる事を期待……してはいなかった。むしろ経験則的に、言えば言うほどたいして降らんのだろうなと気象予報に向かって逆張り。結果として、よその地方はともかく京都に限って言えば、読み通りそこそこの雨の域を出なかった。(新幹線は止まったらしいが)雨天そのものはあまり好きではないが、梅雨というからにはある程度降ってもらわないと、畑が干上がるので結構困る。

・昨日に引き続きお茶を濁す業務。とはいえ遊びに来たわけではないので、一応それらしい理屈を持参した上で取り組んではいたのだが。さながら気の向かない宿題の代わりに得意科目の予習をするようなものとでも言うべきか……。しかし傍から見ると、その有り様があたかも自己研鑽に励んでいるように映るらしく、むしろ殊勝な心がけだと褒められるなどした。よせやい。こちとら少々ばかり心苦しくさえあるのだぞ。

・ミスマッチに対する要望から袂を分かった元相方のスタッフだが、以来、急速に関係修復が進んでいる。もともと業務において反目していただけで、お互いに人格否定を伴う対立に至っていた訳ではないのだが。少なくとも俺の方はなんら遺恨を感じさせぬコミュニケーションが取れている自信があるし、見たところ先方も特には気にしてる風でもないため、以て一件落着としておく。まぁやっぱこういうのは相性ですわな……。

・早めの夏バテゆえか今日になってもあまり食欲が回復せず、昼食を摂り損ねていたのだが、流石に夜までは持たないと思い、変な時間にローソンでハピってしまった。

チャーシューマヨネーズおにぎり ¥160

・うお…でっか……。食欲が無いとか言ってるやつが手に取っていいパッケージじゃないだろ。従来比47%増量。こうしたキャンペーンの多くはせいぜい見せかけか、元が小さすぎて増量してようやくイーブンといったしょうもないパターンが多いのだが、

やっぱデケェー

・手に取った時点でずしりとした重さを感じたので、さもありなん。質量には嘘を付けない。ビジュアルが伴うとやはり圧倒されるね。比較的デ・ヴの俺ですらひと口には容易に収まらない米の島を割くと、中では醤油漬けマヨネーズの池が沈殿していた。これ作ったやつちょっとバカかも。でもマジでサンキューな!

プレミアムロールケーキ ¥227

・ついでに誘惑に抗えきれず、デカ盛りのプレミアムロールケーキまで買ってしまった。こいつとの間には少々ばかりドラマがある。それというのも、かつてデカ盛りキャンペーンが開催された折には、このロールケーキの増量がSNSを通じて結構な反響を呼んでいた。そのせいか最寄りのローソンに至っては、商品陳列の20分ほど前から(当時の俺を含めて)定職に就いているのかも怪しい暇な奴らが、商品棚の前を勝手に陣取って列を成す異様な光景が展開されていたのである。

・平日の夕方から郊外のコンビニとは思えぬ悲愴な列形成を憂いた店舗側は急遽、ひとりにつき一個までの購入制限を設けてきた。当時の俺は自分用と、あわよくば当時中学生であった弟の分で2つ買えればいいと思っていたのだが、脆くもその試みは潰えた……はずであったが。

・どうも人間とは奇妙な状況に直面するほどに、それを共有する相手との意思疎通を図りたくなるものであるらしい。痺れを切らしたのか、俺のすぐ前に並んでいた強面のオッサンが不意に話しかけてきた。「これってロールケーキの列で合ってる?」みたいなもっともらしい確認から入り、手持ち無沙汰を慰めるための雑談の口火が切られる。俺としては適当に受け流すつもりが話が長じるうち、わざわざ並んででもコンビニスイーツを得ようとする動機や事情をお互いに曝け出す羽目になった。ただでさえ空虚な気持ちで並んでいるのに、なんだって知らない人とこんなつまらない事で、バトルロイヤルにありがちな、“各々が戦う目的の確認パート”のような真似をせにゃならんのか。

・ちなみにオッサンの動機は嘘か誠か、奥さんと娘さんのご機嫌取りのつもりという事らしかった。それを受けて俺の方はと言うと、単に自分で消費するだけとも言いづらかったので、兄として甚だ微力ながら高校受験を頑張っている弟に報いたくて……というような真実3割くらいの内容を47%盛って情感たっぷりに語ったところ、やたらと感心された。いまにして思えば、この時点から既に場の纏う空気がなんとなく違っていたようにも思う。

・そうしていざ会計の段になるが、ここでなんと、オッサンが先に自分で会計した分のロールケーキをそのまま俺に譲ると言って、差し出してきたのである。つい弾みで同情を買う雰囲気の話をしてしまったとはいえ、見ず知らずの相手にそこまでされる謂れはないため、当然断るのだが、それでもオッサンは「あばよ!」と言わんばかりに押し付けてバンに乗って颯爽と走り去っていった。いやー……こんなドラマみたいな事あるんだ。しかし実際かっこよかったし有り難くもあるのだが……あんた、一体何しに20分も並んだんだ?

・しかし気持ちは分からんでもない。施しを受けた側が偉そうに吐くセリフではないが、男には誰しも機会さえあれば、一生に一度くらいはこのようにしてドラマチックに見栄を張りたくなる瞬間が訪れるものだ。つまるところ今回はオッサンにとってちょうどいいタイミングに、たまたま俺が良い感じの送球をしてしまったがために起きた、偶発的であり必然的な出来事であったに過ぎない。思うにあの瞬間のオッサンは物凄く気持ちよかったはずだし、俺としても期せずしてロールケーキが2つ手に入ったので、まさにウィンウィンな結果であった。オッサン、あの時はどうもありがとう。結局2つとも自分で食いました。

思い出しつつ口にしたら、一発で胸焼けして終わった



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