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イベント感想:内田真礼 4thアルバム記念フリーライブ大阪

・今日は待ちに待った内田真礼たそのフリーライブ当日。声優としての彼女にはそこそこ親しみがあるものの、アーティストとしての側面についてはそこまで深く知悉している訳でもないため、単独の現場を踏むというのはなかなかハードルが高い。故にこのような機会は実際嬉しい。フリーライブというからには基本的に最前にこだわらなければ観覧無料ではあるが、CDを積むだけで“お渡し会”なる本人接近イベまで付属しているというのだから、流石に今回ばかりは買わない手はないだろう。そんな訳で内田真礼さんのご尊顔を拝し奉るべく雨がしとどに降る中、朝から天王寺にて1時間ほど耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだ。

・今回の現場で印象的だったのは、決して少なくない数の女性ファンが見受けられた事である。しかも俺を含めて冴えない見た目の男性陣とは対称的なまでに、きちんと身なりの整った綺麗な姉ちゃんの多い事といったらない。それ自体はいまや女性声優現場でもさほどに珍しくない光景だが、特筆に値する点として、小さい子連れはもとより、中にはお渡し会にまで並ぶ妙齢の女性の姿もちらほらと見えた事で、事前の想像を絶する老若男女の問わなさの前に慄いた。まれいたその実の弟である内田雄馬(ゆうまたそ)も姉に引けを取らぬほどの人気声優であるから、そのファン層が部分的に流入している面もあるのかもしれないが、たそのファンサに呻く人もいれば、要所要所で「可愛い〜!」といった黄色い声援も飛び交っており、本当の推しに捧げる情熱を垣間見た。同性にも好かれる女性アーティストというのは即ち万人に好かれる才能の持ち主なのではないか、その意味で内田真礼の類稀なるタレント的な才幹に対し改めて畏敬の念を覚えた。

4thアルバム TOKYO-BYAKUYA
初回限定版 ¥5280

・朝10時にCDを購入。通常盤で何一つ不足がないのにも関わらず反射的に初回限定版などと口走ってしまったせいで、著しい金欠の身ながらアルバム1枚に5kも突っ込んで滝のような冷や汗をかく羽目に陥った。フリーライブってなんだっけ……。このため本日は心ならずも寄り道の余地なく直帰を選ばざるを得なくなったが、ふと思い出すと今日は母の誕生日でもあったので、親孝行がてら久しぶりに家族団欒の食卓というのも悪くはない……。

・開演が13時半なので集合まで3時間近く空白が発生したが、その間はずっとソワソワしっぱなしだった。とにかく今は金がないので飲食店にすらろくに足が向かず、仕方なくベンチへと腰掛けて昨日分の日記も消化していたら、無事にリハを見逃して凹んだ。なんなら真礼たそは普通に建物内を徘徊していたらしく、エンカする機会も損なわれた。なにもかもすべて、全てこの日記が……。

・フリーライブ本編。朝の時点で多少出遅れていたために観覧の列では他のオタクの後塵を拝することになったが、身長が高いので特に問題なかった。俺は身長が高いから。彼女の姿をこれほど近くに見るのは初めてだったが、写真で見るよりも美人というか、どう表現すべきか、ともかくメディアを通じて見慣れた内田真礼のイメージとはやや異なる雰囲気であった。具体的に言うと今日はちょっとLynnに近い顔立ちに映った。

・本日のセトリはまず「youthful beautiful」から「CHA∞IN」という、共にアニメのエンディングとして採用された2曲。特に後者のゆらゆらとした振り付けがとても好(ハオ)。その後はワンコーラスメドレーとして「ストロボメモリー」、「からっぽカプセル」、そして「創傷イノセンス」が披露される。“今日初めて見た人にも内田真礼を覚えて帰ってもらいたい”とは彼女自身の言であったが、実際ここまで分かりやすくアニメ主題歌で繋いでいるのは、フリーライブならではの良さだと思った。この辺りならちゃんと本編も見てるしね。

・次の曲は観客のアンケートとして、3択の中からもっとも好評を博したものを披露するという企画で、結果、もっとも体力を消費するであろう「Smiling Spiral」が採択される。これが民主主義だ。ちなみに残る2つの候補は「クラフトスイートハート」、「シンボリックビュー」であった。アンケートと言いつつ選択肢を提示した時の反応から薄々、本人もこうなるだろうと思ったらしく、苦笑いを浮かべながら回復の水を頻りに口にしていた。お水美味しい〜!? 終わってから「初めての方見ましたか? 内田真礼のライブは……激しいんです」などと言いつつ、本人は息も絶え絶えといった感じで思わず笑ってしまった。

・次の曲は「わぁ!君ニートみたいwww」の空耳でおなじみ、内田真礼のアニメタイアップを代表する待望の「ギミー!レボリューション」。5kも払ったら最低限これか「創傷イノセンス」聴かなきゃ帰れねぇよ! と思ってたら両方やってくれたので満足して帰ることが出来た。たそ、ありがとう……。最近はVtuberの名取さながライブで披露したカバーばかり聴いていたのでそっちに引き摺られかけていたが、やはり本家の味よな。

・ラストはアルバム収録の新曲より「永遠なんかありえない」……なのだが、ここで感極まった真礼たそがMC中に言葉を詰まらせて、涙ながらに披露されるというフリーライブとは思えない全力投球の光景が。ファンの間ではわりと周知の事実だが、真礼たそはライブだと比較的このようになる事が多い。俺自身、デレマスの現場でも遠巻きに何度か目にした覚えがあるが、近くで目の当たりにするとなかなかびっくりする。ただ、それだけ真剣に打ち込んでくれているのだと思うと、こちらとしても応えたくなるのが人情というものであるから、曲中の真礼コールは人一倍に声を張り上げた。声の大きさは数少ない取り柄です。

・つつがなくライブが終了した後は、CD購入者向けに真礼たそ本人による直々の特典お渡し会。声優アーティストのリリイベには欠かせない内容であるが、余程の動員が見込めない限りは“都内某所”で行われる事がほとんどであり、フリーライブも含め、わざわざ地方に出向いてまで開催というケースはかなり稀だ。有難い事でございます……。

・ライブとは打って変わってお渡し会の列は雑多な並びで待機中もずっと近距離でハイビジョン真礼を観察出来たので、結果として認知も含めて後ろに並べば並ぶほどアドバンテージは大きかったと言える。とはいえ、あまりジロジロ見るのも失礼なので控えめに、3秒に1回は視線を落とす形で観察していたのだが、その間も終始笑顔を絶やさない姿勢にはこれまた感服させられた。今日1日を振り返ってみても、記憶に残る彼女の表情は全てがにこやかなものである。しかもそれが全く作り物めいていない。仮に俺の如き卑賤な者が近付こうものなら、てっきり心のこもらぬアルカイックスマイルで一蹴されるものとばかり思っていたが、全然そんなことはなかった。もし万が一にもそれが偽りのペルソナだとして、あそこまで堂に入っていたら文句の付けようもないというものだ。言うなれば彼女は笑顔のプロであった。

・接近イベなんていつぶりだったか、もはや記憶にもない。だからこそDIOの停止時間より短い刹那になにを話すべきかは非常に悩むところだ。こういう時絶対にやってはいけない行いとして、安易なネットミームやゴシップを基にしたセンシティブな弄りや他の声優の話題、承認欲求ほとばしる自己主張などが不文律的に存在するが、これらを封じた上で約5秒以内のトークなどオタクには甚だハードルの高い試みであると言える。

・俺としても「ゆるゆり」の頃から追ってます、「あいまいみー」の声優バスツアー回最高でしたね、みたいな微妙に気の利かない事しか言えなさそうだったので、どうしたものかと直前まで頭を抱えたが、そもそも今日はアーティスト名義でお越しなのだからそれに即した事を伝えるべきだと考え、結局「フヒ、North child大好きです、よろしくお願いします(?)」などといまいち要領の得ないことを言ってしまった。一体何をよろしくすればいいというのか。しかし真礼たそはそんな俺に向けてすら「ありがとう〜、また歌うね!」と店長なのに喜多ちゃんみたいな眩しい笑顔を返してくれたので、あわや身体が閃光で蒸発して影だけが跡として地面に灼きつくところであった。

おい!
おれは真礼たその指紋尽きブロマイド持っとるけど……
お前は?

・剥がされた後も遠巻きにたその観察を続け、この手のイベントに慣れてる手練がじゃんけんを持ち掛けているのを見て悔しがるなどした。そういえば、その手があったな……。恐らくこういった一期一会の場としてはもっとも適したコミュニケーション手段であろう。勝って負けたは分かりやすい思い出だし、あいこなしの一瞬で決まるとはいえ、じゃんけんの瞬間は剥がされる恐れも極端に少ないだろうから。

・そうして全てを見届け、見送りも済ませた後は放心の末、なぜこの世に生まれ落ちるにあたり、内田雄馬として生を受けなかったのかをしばし真剣に脳内で討議するなどして、気が付くと自宅まで帰り着いていた。脳が負った損傷の後遺症としては発声機能が「内田真礼」という名詞の発音にしか適さなくなった事で、他人との間に円滑な意思疎通を図れなくなってしまった程度のごく些細なものだ。ありがとう、内田真礼さん……あなたは僕に女性声優へ奉じるべしという真実の愛の形を思い出させてくださいました。このご恩は生涯忘れません。永遠なんかありえないから、今日のこの一瞬の思い出を心に刻んで明日からも生きていきます。


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