2022年11月15日

朝4時。驚くほど良い目覚めだった。昨日はすごく疲れたから、早めに夜8時頃に寝て、8時間ほど充分に眠っての起床だった。理想的な1日の始まりだ。
昨晩走れなかったから、今日は朝起きてから走ろうと思っていた。しかし生憎にも雨が降っていた。「理想的な1日」は早くもここで傷がついてしまった。しかしまだまだ1日は長い。なんせ4時に起きたのだから。体が寒くて起き上がるまでに時間を要したが、それでもまだ日は昇っていない。三文の徳、とはこういうことを言うのだと思う。
おかげでかなり早い時間から、数日間手付かずだった課題に取り掛かることが出来た。そこからお昼頃まで、昨日までとは人が変わったかのように集中して作業をすることが出来た。気の持ちようがカギだということを、自分なりに理解しているつもりだ。気落ちした時は本当に何も出来ないけど、スイッチが入れば猪突猛進一心不乱、人並み以上の集中力でそれなりの成果を上げられる。スイッチを入れるのにえらく時間がかかってしまったが、それでもこうしてゾーンに入ったのだから言うことは何も無かった。

「これを食べたらダメだろうな……」と手に取ったカップラーメンと食事管理アプリのグラフと交互に見てお腹を空かせたまま、昼過ぎにはちょっとした心理学実験のお手伝いに参加した。「心理学実験」とかいう響きが、子ども心をくすぐって仕方がない。謝礼も出たが、そんなことよりも実験の被験者になるという体験に魅力を感じて応募してしまった。実際、実験は楽しかった。参加して良かったと思う。手引きしてくれた院生の方も綺麗な人だったから、終始気分が良かった。
帰ってきて、課題の進捗を整理した。今日のノルマの6割くらいを午前中に終えており、ペースは順調だった。既に6時間ほど作業した後で、外出もしたので、少し休憩をと思い2時間ほど横になろうと思った。アラームをセットして、一応寝巻きに着替えて、ベッドに真っ直ぐ仰向けになり、目を閉じ、深く息をする。世界が僕から離れていくのを感じながら、2時間後に目を覚まし、冴えた頭で残り4割を気力充分に完遂する自分を想像した。午後も頑張ろう。

_______目を覚ますと時計は夜の11時を回っていた。えっ。小さく声が出たのが自分でも分かった。いや、おかしい。アラームをかけたはずだ。それに前日8時間も寝て、寝不足とか疲労蓄積とかそういったことは無かったはず。ただの仮眠だ。ただの仮眠をすることで午後のパフォーマンスを更に引き上げ、快調を維持して有意義な生活を営むはずだった。「じゅういちじ……」絶望するには十分すぎるほど、暗い部屋の中で時計の針は進んでいた。はー。終わり終わり。本日も終了。おつかれさん。頭の中でそんなことを呟いていたような気がする。兎にも角にも、残り4割を1時間足らずで終わらせるのは絶対に不可能だと悟った。それに明日は今日と違い、大学に登校して実習を行わなければいけないので、生活リズムがここで狂ったことは大きな問題になる。そんなことを考え、今日と明日に絶望し、何もかもがどうでも良くなった。とりあえず昼には我慢したカップラーメンを勢いよく啜った。ダイエットなんて知らない。僕は今までだって何を食べても痩せ型を維持してきたんだ。何処の馬の骨かも分からない「AI」栄養士ごときに僕のことを管理されてたまるものか。何故か必要以上に反骨心を抱いた僕は、カップラーメンにとどまらず冷凍餃子にも手を出してしまった。ジューシーで濃くて柔らかくて、本当に美味しい。おかげで怒りや絶望は夕飯を終えた後にはどこかへ消えてしまっていた。

時計は0時。「理想的な1日」は「理想的な半日」と「最悪な半日」にパックリ割れてしまい、後者の反動をもろに受けながら16日がゆっくりと始まった。またリズムを整えるために1日を使うのかと思うと、やるせなくなってくる。小説でも読んで静かに熱く気を紛らわせよう。

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