2022年8月27日

漣の音は時間の流れを遅く感じさせる。
ここは神戸市のメリケンパーク。日の長い関西と言えど、夜7時にもなれば日はだいたい落ちて、電気が灯り出した。
座り込んで岩を波が打つ音を聴きながら、視界右方に見える船とホテルのライトを見てぼんやりしている。とても優雅だ………。

つい2時間前に神戸牛ステーキを平らげ、満腹感を得ていたはずなのに、もう多少の空腹感を憶え始めている。波音を聞いているとお腹が空きやすくなるのだろうか。

不思議だ。全く頭が回らない。自分の世界を目の前の海が拡張して、これ以上なく満ち満ちた感情になる。思考のアクセルが踏み込めない。よく暇になると余計なことを考えるようになると言うが、こんなに暇なのに何も考えることがない。素晴らしい。眠れない人が聞くbgmに森の音や海の音などがあるが、風に吹かれて聞く本物の波音はこんなにも心を軽くするのかと驚かされている。このままここで寝られそうなほど心地よい。かなりこの場所が好きになってしまった。

今日は昨日の疲れからか全く朝起きられず、目覚ましを止めて二度寝して13時過ぎに目が覚めた。おかげで日中に大阪を散策するという予定は潰え、仕方がないので夜景を見るためだけに神戸へ赴いた。それが見事功を奏した。正直神戸の観光地とか何も知らないから、絵画を見て神戸牛を食べBE KOBEしただけなのだが、昼過ぎに起きてこのQOLなら十分過ぎるだろう。

遠ーーーーーくの街の灯りが光っては消えを繰り返している。水平線が上下しているらしい。海の呼吸だ。大自然の蠢きだ。そんなことさえ柔らかく響く。

デートスポットとして有名だが、むしろ独りで良かったと思う。こんな所で人と会話など出来たものじゃない。いやぁ、満足した。本当にこの夜は目を閉じて見た幻なのかもしれない。

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