見出し画像

美しく乱獲されたウミガメ=タイマイ ~種ごとの特徴⑤

ウミガメは世界に7種います。
日本で産卵→3種類(アカウミガメアオウミガメ・タイマイ)
日本に来遊→5種類(上記3種+オサガメヒメウミガメ
日本に来ない→2種類(ケンプヒメウミガメ・ヒラタウミガメ)
・・・の、合計7種です。
===========

今回は🐢タイマイ(英名Hawksbill Turtle/学名Eretmochelys imbricata)について、特徴や特筆すべきことをまとめてみました!
投稿気に入ったら、「スキ♡」していただけると励みになります。


■日本でも一応、産卵する!
日本でも南西諸島を中心に少~し産卵があります。見た目の特徴は、何と言っても尖ったクチバシ!なので、英名はHawksbill(鷹のクチバシ)というネーミングがついてます。和名の由来は、解毒作用があるところから来ているそう(「大枚はたいても価値がある!」という説もあるけど)。

アカウミガメより、もう少し温かい海を好み、サンゴ礁が発達した地域に多く生息します。とはいえ、北海道でも漂着したこともあり、日本全国で見かける可能性はあります。(ただし北に行くほどレアですし、雑種もいます!)
タイマイの雑種については、ブラジル辺りでの研究が特に多く報告されており、あちらでは更にメジャーなようですね(交雑種が子供産んじゃったなんて報告も!)。


■絶滅寸前!?
野生では絶滅危惧リスクが最も高い「絶滅危惧ⅠA種(Critically Endangered)」に指定されているウミガメの一つです。甲羅の鱗板(ウロコ)がべっ甲の材料となるため過去に大量に乱獲されたのが、一番の減少理由です。
実は、タイマイはジュエリーのように非常に価値がある素材として紀元前から世界的にその価値が認められていたんです。記録では大航海時代頃に乱獲が始まりました。この頃は欧米列強による乱獲。
そして絶滅寸前ランクに至った追い打ちが、ワシントン条約締結直前の乱獲です。20世紀では最大の輸入国は日本でした。
これにより、世界のタイマイの数は2割くらいにまで激減してしまいました。
誤解されがちなのは、ワシントン条約は国際間の取引を制限するものです。なので現在日本で普通に販売されているべっ甲は、通常は日本がワシントン条約に批准する前に輸入した素材から作られているもので、違法なものではありません(違法輸入が問題になることもあったので100%とは断定できませんが)。
日本のべっ甲細工は日本の伝統工芸品であり、重ねの技術が特徴的です。タイマイの甲羅と水と圧力だけで作られます。現在は江戸と長崎を拠点とするべっ甲文化が残っておりますが、後継者や需要が減ったり、職人の高齢化により、職人さんは減少傾向にあります。長崎に展示されているような調度品を作れる人は少なくなっているそうです。


■アジアでは・・・
アジアではインドネシアが一番多く産卵しますが、卵が根こそぎ乱獲されて本当に絶滅寸前の状態だったので、ELNAでは1999年に卵の保護を始めました(今も卵の乱獲は続いてます)。
上記の通り、ウミガメの中でも絶滅危惧度が高いタイマイですが、世界には個体数が徐々に回復している地域も見られており、太平洋ではELNAの活動地だけ増加が報告されています(活動地4拠点とも!)。
ELNAでは現在、その拠点の回復状態を保全するための活動と、他地域のタイマイも回復させるための活動に力を入れて活動しています!
現在、活動資金が不足しており、一緒に個体数回復実現を目指してくださる資金サポーターを募集しています。サポートいただける方はコチラ(タイマイに救いの手を!保全サポーター募集中)。


■そのほか、タイマイの情報
写真は、保護した卵からふ化して海に帰るタイマイの赤ちゃん。

画像1

画像2


人が写っている下写真は、インドネシア最大のタイマイ産卵地に育った「セガマB島」で、産卵後のお母さんガメと撮影したもの(通常夜間に産卵しますが、増えて来たためか今は昼間も産卵するように)。

画像3


アジア域最大のタイマイ産卵地?セガマ島での近年のレポート(タイマイ保護島~セガマ島での活動報告2017-2019年) 
セガマ島での活動報告2020年~世界のタイマイ産卵数とも比較してみた

*タイマイについて詳しくはコチラ
https://www.iucnredlist.org/species/8005/12881238
(IUCNレッドデータのサイトに飛びます)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?