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直径1ミリの砂粒に人生を重ねた日



これは、ここ数週間で起こった実話である。


皆さんは「尿路結石症」という病気を
ご存知だろうか。ざっくり言うと、尿の通り道に
結石(尿中のシュウ酸やカルシウムが結晶化したもの)
ができ、流れを塞いでしまうことによって
炎症や痛みが起こる病気だ。


実は、ついに結石持ちデビューしてしまったのだ。
主治医によると、日本人の10%くらいは
罹患しており、特段珍しい病気ではない。


私の父も、夜中に突然背中の痛みを訴え、
救急車で運ばれたことがある。


その日の朝、起きた時からなんだか下腹が
痛かった。何の痛みだろうと思いながら、
夫のお弁当を作って送り出す。


トイレに行っても全くスッキリしない。
左の脇腹へと痛みが移動していくのがわかる。
これは、食あたりじゃないな。


とりあえず朝ごはんを食べたが、全然美味しく
なかった。すると、鈍い痛みはどんどん強さを
増して、立ち上がれなくなってしまった。


と同時に、猛烈な吐き気で戻してしまう。
私の体の中で、何かが起こっている。


えー、何?何?


これ以上続いたら、救急車を呼ぼう。


そう思って、まだ寝ている娘に
事情を説明しに行く。そうこうしているうちに
少し痛みが和らいだ。


1時間ほどですっかり気分も良くなり
「あれは何だったの?」くらい元気になったが
受診の結果、「結石ですね」と言われたのだ。


レントゲンには小さな白い粒が映っている。
「直径1〜2ミリだから、投薬と水分補給で
様子を見ましょう」となった。


1〜2ミリ。



ちっさ。



ペンケースから取り出したものさしの
目盛りを見たけど。


ちっさ。



石というより砂粒だ。


こんな小さなものが詰まっただけで、
あんなに痛いのか。
おせんべいを食べたら、もっと大きなカケラを
飲みこんでるのになーなんて、のんきに
考えてしまった(それとこれとは全然違う)。


自然に排出されるように、最低でも1日2リットル
飲んでねと言われ、お腹はチャポンチャポン。
普段、いかに摂取していないかを思い知らされた。


結石ができるメカニズムは、人生と似ている。
耳にした言葉や目にした光景は
どんどん取り込まれて栄養分となる。


不要になったもの(ゴミ)は濾し取られて流れていく。
ゴミは、日頃のささいないら立ちやわだかまりから
できている。ゴミが小さなうちは、勢いよく
流れに乗って外に出るが、流れが悪くなると
体の中に滞留する。


そして、ゴミ同士がくっついて巨大化するのだ。
そうなったら最後、体の外に出せなくなり、
自分の体が悲鳴をあげる。だから、溜め込まない
ような流れを作らないといけない。


私はかなり沸点が高い方だ。
なかなか「怒り」にならない。
大抵のことは「そんなもんでしょー」
「そういうことあるあるー」と流せてしまう。


でも、人は知らず知らずのうちに、イライラや
ムカムカの小さなゴミを育ててしまうものらしい。


心の水分補給も大事なんだなぁ。


そんなことを思った今日この頃。
結石が排出されているか再検査に行く。


どうせなら、指輪にできるような
高価で美しい石を持ちたいものだ。



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