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大陸から島国に帰ってきた雑種

大変久しぶりです。
日本に帰ってきました。

タイでの生活は短いものでしたが、確実に「私」というものに向き合う最適な機会でした。
タイ現地の日本人から一定の距離を置いていた私にもたくさんのタイ人の友人や知人ができました。(タイにいる日本人はちょっと東南アジアを見下している人もいる。イミグレなんかにいくと日本語でタイの文化や国民の容姿についてとやかく言う人をよく見かける)

タイの人と私をつなげたものは、悔しくも〈日本の〉アニメやコスプレ文化。日本とは愛し方も楽しみ方も全然違いますが、日本という国に強いあこがれを持っている。
そして彼らとて、ほとんど英語で話す妙な私のことをタイ人と認めているわけではなく〈日本人〉として受け入れてくれました。
おそらく親密になった人たち以外は私がハーフ(タイではダブルという)と知りもしなかったと思います。
信用できる人にカミングアウトするとすごくキラキラした目を向けてくれるのがうれしかった。
日本に戻ることを話したらハグしてくれた人、田舎から出てきてわざわざ手紙を手渡ししてくれた人(私のコスプレのファンの方)、空港まで送りに来てくれた人もいたし、今でも「I miss you」「Pls come back  Thai」「I love you」「I'm go to going Japan」と毎日メッセージがSNSで届く。
最近コミュニケーションの場が欲しくて始めたライブ配信にも未だにタイの方が来てくれる。
そんなかけがえのない経験を得ました。

自称親切な人々による配慮と親切

日本に帰るとやっぱり劣等感が多少なりとも襲ってきます。
なんていうか、〈ナイスレイシズム〉が当たり前のような。
日本では今、過度な多様性ブームにある。
多様性って本来、さまざまな経歴や能力や特性を持った人種などを集めてより効果的な発見や物事の促進がおこるから大事って話だったと思うんです。
アメリカのFBIかなんかの警察組織がそんなことをいっていた。
でもなんていうか日本は〈頑張って外国籍や多民族やLGBTQ+に慣れましょう。見下さないようにしましょう。変わっている人たちのために配慮しましょう〉そんな意味に聞こえる。

橘玲著「なぜ世界は地獄になるのか」ではアメリカで白人には呼び捨てするのに、有色人種には配慮して○○さんと丁寧に敬称をつけて配慮する〈ナイスレイシスト〉問題があると書いてあり、これに対して有色人種はイーブンから逸脱していると感じるようです。
それと同じようなことが日本では多様性というなんとも甘美な言葉の裏側に蔓延しています。それに対して私は閉塞感や圧迫感を感じて気持ちが悪くなるし、過剰かもしれないけど「あ、今差別された」とふと感じてしまうのです。

私は差別は絶対にしてはいけないとは言いません。
私も日々人に限らず多くのものを差別して生きてきているし、なくしたいとも思ってない。だって差や違いがあるのは当然だから。別に差別されたっていいです。変なのは事実だし、屈辱的な態度をとられるのが当然だったころに比べればずっといい。

以前雑種の生きにくさを書いたとき、同じハーフの仲間(特に東南アジア=第三ワールドと呼ばれていた国々)からは共感を、ハーフの子供を育てているお母さま方からは決意を、ハーフと親しみの薄かった日本人からは理解と悔い改めのメッセージがありました。(ツイッター等で拡散されたものの反応を少しだけ勝手に読みました)
個人的なおきもちのつもりでいたけども、興味深く読んでいただいたことはうれしかったです。(なんせ初投稿でしたし・・・)

それで思ったんです。

島国日本で雑種は生きにくい。
でも、そういうものだと。

雑種でもハーフでもダブルでも。私の生き方はこうなのかも。

以前のnoteでは自称親切でマナーがよく、他を見下している島国の日本人と揶揄しましたが、彼らは自分たちが親切で行儀がいいことが好きで、取り柄だと思っているんです。だからそういう一面は好きじゃないけど我慢する。
私たちを見下したり、有害物質と思っている一方で、向こうさんは精一杯そんな私たちと仲よくしよう気持ちよく過ごそうと思っているわけですから。(だからハーフタレントなんて言葉があるわけだし)

疎外感を感じるのも仕方ない。わかってくれって言ってるばかりのハーフもいる。以前うけたメディアのインタビューにて似たような状況で苦しんでいる人に一言くださいと言われたとき、なんも思い浮かばなくてすごく悩んだ末「自分(ハーフ)のアイディア(心・考え方・価値観・風習)は自分にしか守れないから、周りにいろんなことを言われて特別良いと思われたり、特別悪いと思われてもそれに囚われないで、周りの常識の枠から一歩出る勇気を持つのがいいと思う」と答えました。
自分のコンプレックスについてのインタビューを知らない人から受けたものですから、かなり緊張してしどろもどろだったはずなのですが
今思い返しても本当にそうだよな~と自分のそのときの考えに頷いてしまいます。

以前のnoteはこちら

今は日本で再びアニメ制作をしています。
日本で修業したらとっととタイに戻りたいと思います。笑


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