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1月11日/いつかの未来の、わたしのまちへ

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わたしが育った街は、
再開発のためにあと数年でなくなります。

春にはあちこちに
あふれるようにお花が咲き誇り、
夏には植物が育って
青々とした森のような街になり、
秋には黄金色の陽光のなかを
あざやかに紅葉した葉が舞い、
冬は落ち葉の香りの道を
山茶花や南天の赤が彩る…

そんなうつくしい街が
まるごと掘りおこされて消えてしまう、
そのことを思うたび とても悲しくなります。
(もちろん、建物の老朽化については
理解していますけれど…。)

それに、この街はわたしにとって、
こどものころの記憶そのものです。
家も、道も、登った木も、
自転車の練習をした坂も、
お気にいりの薔薇の茂みも、ぜんぶ。

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いつかわたしがもっと歳をとって、
昔を懐かしく想いだすとき
もしくは、何かの折に
さびしさが募るとき
帰りたい、と思うのは、
いつでもきっとこの街だと思うのです。

ホームタウン、と ときどきわたしは呟きます。
街そのものがいとおしくて、
木の葉っぱの一枚ずつが、
そこにおちた影さえも
わたしの魂の帰る場所のように
感じることがあります。

この絵は、近い将来には
もうどこにも存在していない
わたしのホームタウンに、
未来の夢を重ねながら描きました。

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いつかの未来の、わたしのまちへ-Ssize

「いつかの未来の、わたしのまちへ」

オイルパステル、コルク板
420x303mm

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絵に添えた詩を紹介します。

『西暦 XXXX年』

このまちには
ずっとこのまま
存在していてほしいけれど、
そうもいかなくて、

あと たった何年かで
跡形もなく
きえてしまうのだけれど、

でもほんとうは やっぱり
ずっとずっとあってほしい

いつかもし
人類が絶滅して、
家だったものは廃墟になって、
その場所の想い出を憶えているひとが
誰ひとりいなくなっても、
わたしはきっと
このまちに戻ってくるよ

春の雨のひと粒か、
あのツツジのつぼみか、
もしくは 一匹のこひつじになって

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この作品は
Gallery&Cafe AQUAさんの公募展
「AQUART2022」に出展しているのですが、
今回は、絵画だけでなく
初めて写真作品も一緒に
展示させていただいています。

はじめての 秋のにおい-Ellie*

「はじめての 秋のにおい」
FUJIFILM X-S10 + XF35mm F1.4 R
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おかあさんと-Ellie*

「おかあさんと」
Canon EOS 7D + EF50mm F1.8 STM
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だいふく-Ellie*

「だいふく」
Canon EOS 7D + EF50mm F1.8 STM
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3点の、こひつじの写真。
わたしはひつじがすきで、
絵にもよく登場しています。
灰色のねこは、今回はいません。
なぜなら、彼はすでに
この街の記憶の一部だからです。

過去を生きてきて、消えようとしている街と、
うまれたばかりで、
これから生きていくこひつじたち

その両方が交わっている
貴重な「いま」という時間を
たいせつに、愛していきたいと思いました。

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出展している展示会はこちらです。

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投票制の公募展となっており、
今回はオンラインでの投票も可能とのことです。
オンライン投票はこちらからできます↓
https://www.gc-aqua.com/vote/
会期は1月23日までとなっています。

おひとりあたり、3名の作家さんに
票を入れることができます。
わたしは「No.23 Ellie*」で参加しています。
応援していただけたらうれしいです…!
どうぞよろしくお願いいたします。

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今年は、“のこしたい いとおしいものたち”が
テーマのひとつになりそうだと感じています。

忘れたくない記憶。たいせつなもの。
それらは、ひとつひとつは
とても個人的なものだけれど、
いとおしいものを想う気持ちは
きっと響きあう、そんな気がします。

Ellie*

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