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2021年4月16日、金曜日、雨。
毎日飽きもせずに彼女が見つめる窓の外には一体何があるというのだろう。
そう毎日飽きもせずに彼女の光に照らされた黒髪を見ながら考える。
ミナセシオ。一年前突然僕に告白してきた、ただのクラスメイト。
 
2021年4月17日、土曜日、曇り。
今日は午前練だ。道場のこの張り詰めた空気感が好きだ。大会の時なんかのそれは、実際に体感したことがある人にしかわからない、なにか特別なものがある。
今日もシオの的をまっすぐに見つめる横顔はきれいだった。あの混じりけのない瞳に惹かれたのは、そう最近のことではない。

あの瞳に、映っていたいと願うのはいけないことだろうか。
 
2021年5月5日、水曜日、晴れ。
今日でコロナの感染拡大に伴う珍しい部活休みが終わってしまう。暇なのは今日まで。
暇だし、しかも今日はスマホより自分の書く下手な文字を見ていたい気分だ。
こんな気まぐれは大事だと思うから、今日は過去のことについて書き留めておこうと思う。
こんな風に、実際僕は、自分が存在していたという証拠を残したくて日記を始めたんだ。

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