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23andMeというアメリカ人のロマン

だいぶ古い話題だが、23andMeというのは、唾液サンプルを送ると遺伝子検査をして、自分のルーツや身体的特徴、遺伝子疾患の可能性などをオンラインで教えてくれるサービスだ。昨日の帰り道「人間って歳をとると半生記の出版とか、自分のルーツの調査とかしたがるよな…?」となんとなく考えていて、そういえばわたしの23andMeの結果、どうだったっけ、とものすごく久々に思い出した。

もう何年も前、夫が誕生日に23andMeの検査キットを貰ってすごく楽しかったらしく、わたしにもやってみたら!とクリスマスプレゼントにくれたのだった。アメリカ人にとってはそりゃあ楽しいと思う。祖先が世界のどこから来たのか?ネイティブアメリカンの血がどこかで入っていたりして?と、ロマンのてんこ盛り。結果が来るまでわくわくだろう。夫の結果は、イタリアが77%、その他の南ヨーロッパが7%、北ヨーロッパが7%というのがメインだった。中近東とか北アフリカもちょこっと入っていた。

プレゼントされてしまったから検査をしたものの、わたしは最初から冷めていた。ロシアの血とか入っていそうな外見でもないし、ルーツは東アジアで間違いない。で、結果は確か98%日本、残り2%が中国と韓国だったと思う。なんの驚きもなく、これに100ドル近いお金が…と思うともったいなく感じた。昨日ログインしてみたら、結果がアップデートされていて、100%日本人になっていた。他の全ての可能性に0.0%という数字が並ぶ。つ、つまらない…100%って逆にすごい!と夫は言っていたが、それは100%が珍しいこの地だからでは…

この23andMeは日本在住の人は検査できないそうだ。まあ間違いなく日本では売れない。非医療機関が遺伝子疾患の可能性などの情報を与えてしまうというグレーゾーンのサービスがある、などの問題点以外に、このわくわく感のなさが致命的だと思う。あ、そういえばアップデートされた結果に「ネアンデルタール人のDNA率」があった。わたしは23andMe顧客の上位3%に入っていることになっている。日本人は高いのか?

ネアンデルタール人って英語で「にあんだーさる」で絶対言われても分からない。

先祖情報のほかに、遺伝子疾患(グルテンアレルギー、アルツハイマーなど)、健康情報(アルコール/カフェイン摂取、睡眠の深さ、乗り物酔いなど)、身体的特徴や嗜好(髪や目の色、ケツアゴ、耳垢タイプ、甘党vs辛党など)の可能性高いですよ―低いですよーというのを細かく教えてくれる。これは占いみたいで当たっていても外れていても楽しい。ケツアゴの有無とかアイスクリームの好みとか、そういうの大事なんですね…と意外な項目を読んでいるだけでも面白い。

夫の伯父は、残り少ないヨーロッパの親族と連絡を取りながら家系図をこつこつ作っている。夫の従兄弟は、祖先の家紋(的なもの)を調べてタトゥーを入れた。半生記の出版とか、自分のルーツの調査とかしたがる気持ちは、鮭が最後に川を上ってくる衝動(衝動?)に似ている気もする。わたしがこうやってnoteを書いてしまうのも、半生記の出版に似たものがあるんじゃないか、とひやりとする。

母国にはなじめなかったというひとの目の奥にある燃えるみずうみ/毛糸




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