マガジンのカバー画像

【長編】善き羊飼いの教会

43
【完結】長編小説。— DIVE episode B 01 ― 樫緒科学捜査研究所を訪れた鈴鹿の依頼を受け、所員の柊シュリとスルガは、連絡が取れなくなっている筒鳥大の学生三人の行方…
運営しているクリエイター

#調査

善き羊飼いの教会 -Overview-

— DIVE episode B 01 ― 『あなたの罪は水の中に沈め、ただしき教会で願い求めなさい』 【…

善き羊飼いの教会 #1-3 月曜日

〈柊シュリ〉      *  わたしが調査員?  樫緒科学捜査研究所での調査を、このわた…

善き羊飼いの教会 #1-4 月曜日

〈酒坂二丁目・路上〉      * * *  酒坂二丁目は佐棟町の北東に位置しており、東…

善き羊飼いの教会 #1-5 月曜日

〈柊シュリ〉      *  驚いた。スルガさんのいったとおりだった。  国道の北に、そ…

善き羊飼いの教会 #1-6 月曜日

〈幽霊屋敷・勝手口〉      * * *  鈴鹿は周囲を見回し、柿本らのいた形跡がどこ…

善き羊飼いの教会 #2-2 火曜日

〈柊シュリ〉      *  愛猫の甘えるような鳴き声で目覚めた。  飲酒したわりに普段…

善き羊飼いの教会 #2-4 火曜日

〈柊シュリ〉      * 「ハーイ、ウィルソン」  筒鳥大学東キャンパスの食堂へは、待ちあわせ時間よりも少し早く到着した。 「ハーイ、ウィルソン」  オリバー・ウィルソンは、身長一六〇のわたしと目の高さがほぼ同じで、八の字型の眉と垂れた目が印象的な白人男性だった。出入り口そばのテーブル席に向かいあって座ったウィルソンは、完成して間もないわたしの名刺を受け取るとハイテンションで喜んでくれた。名刺をもらったのははじめてなので大事にします――そういわれてなんだか誇らしくて照れ

善き羊飼いの教会 #2-5 火曜日

〈警固町・路上〉      * * *  スルガは顔をあげて歩道を見た。茶色いジャケット…

善き羊飼いの教会 #2-6 火曜日

〈柊シュリ〉      *  幽霊屋敷で撮影してきた写真の読み込みを実行していたスルガさ…

善き羊飼いの教会 #2-7 火曜日

     * * * 『一分は経ったかな。どこからも物音は聞こえず、家鳴りもなし。家の中…

善き羊飼いの教会 #2-8 火曜日

〈柊シュリ〉      * 「もちろん、水を使う必要があったからさ」  スルガさんがモニ…

善き羊飼いの教会 #2-10 火曜日

〈柊シュリ〉      *  調査の一環なんてのは〝表向き〟の口実で、スルガさんは、のみ…

善き羊飼いの教会 #3-1 水曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * * 「くそッ、嘘だろッ!」  スルガは悪態をつ…

善き羊飼いの教会 #3-6 水曜日

〈柊シュリ〉      *  ピースマークらの乗った車は大型トラックと接触したのちに、数メートル先の電柱にぶつかってとまった。車体は大破し、電柱は大きく傾いて、以後国道は片側通行止めになった。 『近づくなッ。さがってろ。車には近づくな!』  わたしは森村刑事に怒鳴られたので事故車には近寄っていないが、乗車していたピースマークらの状態は容易に想像できた。 『柊さん、こっちへ』  息を切らしながら駆けつけた長栖さんに腕を引かれて、交差点の横断歩道あたりまで移動したとき、車のま