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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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#ミステリ

世界の終わり #0 -Overview-

— end of the world 01 ― 生物を〈生ける屍・グール〉へ変化させる感染症発生によって封鎖…

世界の終わり #1-3 プレミア

 頷いて返される。ぼくはかぶりを振る。椅子から離した手を太ももにあてて、強く擦っている荒…

世界の終わり #1-6 プレミア

          *  先月末、ぼくが働くフィギュアショップで、従業員による現金の持ち…

世界の終わり #1-7 プレミア

 三日後の深夜、ぼくらは中国州の玖波漁港から漁船に乗って海上を進み、沖合で船を二度乗りか…

世界の終わり #1-8 プレミア

「ぼくらが欲しているのは、峰岸さんが収集しているフィギュアです。フィギュアを渡してくれれ…

世界の終わり #1-10 プレミア

「レアものの点数は多くないが、個人所有にしては結構な数だよな。これだけの数を集めるのに、…

世界の終わり #1-11 プレミア

            *  携帯端末のライトがこんなに明るいとは知らなかった。時刻は午後九時。普段のぼくならテンションが最もあがっている時間帯だが、日没とともに視界が奪われる九州にきてからは、不安と空しさばかり覚える午後九時である。娯楽から乖離された空間に身を浸していると、時間の流れかたも変わって、ゆっくり進んでいるように感じられる。室内の壁には、燭台に灯る炎の揺らめきにあわせて、ぼくらの影が踊っていた。 「準備は整ったか?」  荒木に訊かれた。  端末が放つ光を周囲へ

世界の終わり #1-12 プレミア

          *  いやァぁあ、嫌ッ――と、板野は声をあげるが、身体は硬直し、壁に…

世界の終わり #1-15 プレミア

          *  峰岸氏の屋敷から運びだしたフィギュアをダンボール箱の中へ移し替…

世界の終わり #2-2 ギフト

「やぁ。おはよう」  福岡市内の動物園跡地を拠点としている、人権擁護を目的とした市民団体…

世界の終わり #2-4 ギフト

          *  陽が西に傾きはじめたころ、三枝という名の女性メンバーが、羽鳥の…

世界の終わり #2-5 ギフト

          *  西から移動してきた雲が空を覆い、雨が降りだした。陽が沈んで周囲…

世界の終わり #2-8 ギフト

 駆けつけた三枝らにはグールに関する話しか口にしなかったが、掛橋と利塚は拘束用のシートで…

世界の終わり #2-11 ギフト

          *  正門前に郡部代表の姿はなく、訪ねてきた〈九州復興フロンティア〉の者は、二〇代前半と思しき若者数名であった。 「正門前にいた彼は、そちらに戻っていないのですか? 連絡が取れないとはどういうことですか。急いで捜索にあたるべきでしょう。最近はあまり見かけませんが、この辺りは感染した野犬の群れが蔓延はびこる危険区域です。わたしたちもお手伝いします。大至急、手分けして連絡の取れない彼の捜索を行いましょう」  いらぬ腹の内を探られる前に、掛橋は捜索に協力する意