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メディアのありかたを知らなかった|さとゆみゼミ#5

「本気で書く人生は楽しい」
ライター・コラムニストの佐藤友美(さとゆみ)さんの言葉に共鳴し、「さとゆみビジネスライティングゼミ」の4期生として学び始めました。さとゆみさんが主宰する「書くことを共に考える」ゼミです。

このたび、より深く読者を知るために、企画書を考える課題が出ました。今までは読者目線だけの学びでした。今回から編集者目線を学びます。

正直、雑誌の企画の立て方は初耳のことばかりでした。脳内のメモリが一気に減る一方で、メモする手が止められません。個人的な感想や学びをまとめました。第五回目になります。

1)企画は脳内で考えるものではない

さとゆみさんは「自分の頭の中で考えるものなんて、たかがしれている」と言います。もし雑誌の企画を立てるなら、一人でもいいから毎月雑誌を読んでいる人に話を聞くこと。親和性の高い世代にリサーチすること。過去一年分バックナンバーを読み込んだり、ライバル媒体を読み込むこと。編集者に直接確認すること。

それらを通して雑誌の「差分」をつかみ、媒体の特徴を理解することが大切になります。自分一人で仕上げるのではなく、知見を総動員すること!「取材」と「観察」が基本。ここでも「相場観」の話がでてきました。難しいですね。

実際に自分で雑誌の企画を書く課題が出されましたが、何から手をつけたらいいのかわかりません。自分が書けそうなテーマと読者メリットをすり合わせて、なんとか提出しました。自由に企画を立てていいにも関わらず、アイデアが浮かばないのです。

結局、自分の関心事や守備範囲からピックアップする感じでした。年中アンテナを張って視野を広げた方がいいのかと思いきや、そうではない話が印象的でした。さとゆみさんは「企画が来てから、アンテナを張ればいい」と言います。

今後、どんな企画も自分にとって「初めての仕事」になります。依頼があってから、読者メリットを探るレンズの真ん中で企画を立てること!わずか二、三日の短期集中決戦ですね。

つねにアンテナを張らなくて良いとの言葉は救いになる一方、そもそも一朝一夕にできることではありません。

それでも、いつかは自分が書きたい企画を通すために、スキルを身につけたいと思います。よく話を聞き、手を動かし、日常の解像度を高くして世の中を観察すること。これまでの学びと、根っこの方でつながっている気がしました。

2)企画書のゴールとは、採用されること

ではなぜ、企画書を書くのでしょうか。
企画書のゴールは、企画会議で「採用されること」にあります。読者メリットが感じられるかが第一です。読者目線で「何が読みたいか」ではなく、編集者目線で「読者が何を読みたいのか」を考えること。

加えて紙面のビジュアルを提案。どんなページになるのか想像できて、はじめて投資判断がなされます。投資判断とは「ヒト・モノ・カネ」がどの程度かかるのか、に尽きます。企画書には、実現可能性を判断できる材料を盛り込むことが大切です。

紙面に誰が出てくるのか、どんな専門家を立てるのか。掲載する資料は写真かイラストか。1ページ目から4ページ目まで構成をどうするか。

これらを言葉でわかりやすく書くことすら、難しいのです。

3)なぜお金を出して雑誌を買うのか

世の中には無料で読めるサイトが無数にあるのに、なぜお金を払って雑誌を購入するのでしょうか。それは「読者メリットが突出している」点に尽きると思います。

「雑誌には、一次情報しか載せません」とさとゆみさんは言います。写真はすべて撮り下ろし、コメント一つ取材に行きます。専門家に取材したり、読者100人にアンケートを取り、現場まで行って観察してレポートします。

実際に足を運んでエビデンスをとってくること、これが「メディア」だとさとゆみさんは断言していました。信用できる情報だけを、自ら集めてくるのです。

読者メリットになりうる例として、圧倒的なビジュアルや希少性・情報の先取り・信頼できるプロの知見・信頼できるセレクション・やってみた(体験の代行)などが紹介されていました。

かといって、毎回斬新な企画を立てる必要はありません。昨年の同じ時期に取り上げられていたテーマをチェックし、今年流の切り口を考えることが大事です。2024年版にバージョンアップ!読者が知りたい、新しい情報を組み込むこと。なぜ「今」やるのか。時代のニーズを見出して、2024らしさを掛け合わせること。

気が遠くなるような工程です。ゼミを通して、一次情報だけ掲載されているのが雑誌だと学ぶことができました。雑誌のお値段に値段に納得です。安心を買うと思えば、むしろ安いのではないかと思えました。

気づいたこと・痛感したこと

1)基本はつねに取材と観察
雑誌に掲載される記事の基本は、取材と観察。ライターの基本と同じだと気づきました。ライターもまた、読者の行動変容が目的です。心してよく観察し、自分の周りに「読者メリット」のある企画のタネがあるか、探りたいと思います。

2)「取材」のハードルが下がる
よく会う友人や同僚、身近なお医者さんや美容師さんに話を聞くことも「取材」ときき、目からウロコが落ちる思いでした。聞き方一つ。最新情報や今年流の切り口は、現場で奮闘している方に聞くのがベスト。「取材」のハードルが下がり、思い込みが一つ消えた気がします。

3)一次情報を集めるためにできること
紙面の信頼度を高めるために、読者やインフルエンサーのお力を借りるお話に驚きました。単に親しみやすさを高めるだけではありません。
読者アンケート内容やインフルエンサーのセレクションそのものが、かけがえのない一次情報だからです。たしかに自分自身も、身近な知人のレビューが圧倒的に信用にあたると感じたものです。体験した人が語る言葉は、信ぴょう性が高いのですね。

まとめ

正直、初耳のことが多い回でした。雑誌づくりの工程の果てしなさにただ驚くばかりです。それでもいつか、自分の書いた企画が通って、自分が書きたいことに注力できたら何ものにも代えがたい喜びだろうな〜と妄想する時間になりました。

同時にエビデンスを取ることの大切さを学びました。人間関係も一緒です。思い起こせば、自身も信頼されるために嘘はつかないし、エビデンスにもとづいた事実だけを話すようにしています。人としてのあり方を、今さら学んだ気がします。

つづく。

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