Elisaの絵の話:AIイラストと表情について
はじめに
3月末のこの投稿、シンプルな描写でどれくらい感情表現をできるかな?とおもって作ってみたもの。顔のアップで色もほとんどないけど、例えば目線の方向とか、手のしぐさ、口元の形、そういった細かいところをしっかり作りこんでいくと、これだけ感情の表現ができるんだ、ってことをやってみたかったの。
画像生成AIの特性かわかんないけど、ちゃんと指定してあげないと多くの場合、人物は無表情になりがち。もちろん無表情が悪いということではなく、表現したい物事にもよるんだけれど、なんかあんまり考えずに無表情にしてない?とおもうことも多々あって。せっかく描写がきれいなのにもったいないなー、とおもっちゃうの。
だから、もっと表情豊かに、見てる人も感情を感じ取れるような絵づくりがもっと広がるといいな、っておもってる。
こういうことを言い出したのには背景があって。
少し前にこんな本を読んだのね。以前からストーリー作りの方法論に興味があって。マンガのお話をもっと上手につくれるようになりたいな、というのもあるんだけど、一枚の絵であっても、物語を感じさせるような作りができるともっと見てる人も楽しくなるかな、とおもったの。
そんなときに出会ったのがこの本。映画の脚本づくりに関する本なんだけど、「物語は人に感情的な体験をもたらすもの」ということを主張している。映画の脚本を分析しながら、どういう行動や場面やセリフが、どんな感情的な体験をもたらすか、を丁寧に説明してくれてるの。
この本に書かれてあることを、自分の絵づくりに生かせないかな?って考えててね。それで思いついたのが「登場人物の感情をより豊かに表現するために、表情をもっと丁寧に描けないか」ということ。
表情というともちろん顔の描写もそうなんだけど、この本に書かれていたように「感情は行動に現れる」も合わせて考えると、表情だけでなくしぐさもだいじ。特に顔をアップにして描写するなら、手の表現も重要だよね。画像生成AIはまだまだ手の描写が苦手だけれど、なるべくそこから逃げないように。
そんなことを考えながらつくっていた絵をいくつか紹介するよ。みなさんの絵づくりの参考になるとうれしいな。
制作したイラストの紹介
イラストのキャプションにプロンプトを入れておくね。感情表現につかったところを太字で強調しておくから参考にしてみて。
Nijijouneyで生成した絵をStable Diffusionで仕上げてるよ。プロンプトはNijiでつかったもので、基本的にSDでも同じプロンプトを使っているよ。
いろいろ思い出してはずかしい
ふとした拍子に前のことを思い出してはずかしくなっちゃうことって、あるよね。そんなとき、ちょっと伏し目がちになって正面を見られなくなっちゃうんじゃないかな?生成AIだとどうしても正面向きがちになるから、looking awayは多用することになるよ。
さて、この手の表情、唇にそっと指をあてているこのしぐさ、見てる人はどんなことを想起するだろう?ここでは露骨には書かないけれど、なんとなく思い当たる節はあるんじゃないかな?
この味で思い出すあれこれ
食べ物の味と思い出って連動してることがよくあるよね。何かを食べているしぐさと、どんな顔でそれを食べようとしているか、それでずいぶんと想像するものが変わってくるんじゃないかしら?
この手の感じ、特に薬指の曲がり具合は偶然に生成できたものなんだけれど、この手の表情がほんとに良い。ほどよく力が抜けて、すこしとろっとした女の子の表情ととてもマッチしてる。
この子もlooking awayで視線を正面から外してる。なにかを思い出すときってこんな風にちょっと上の方に視線を向けるよね。どんなことを考え、感じてるのか、つたわるかな?
端的にうれしい
プロンプトにはconflicting emotionsが入っているけど、heheとsmileが強くでた感じ。単純にうれしい気持ち。これはlooking awayを入れずにこちらを見るようにしてる。そう、絵をみているあなたを、この子は見ている。あなたとこの子はどんな関係にあるんだろう?どうしてこんなにうれしそうな顔をしてるんだろう?
裏腹なきもち
こっちはcoflicting emotionsがしっかり出た感じ。うれしはずかし、という感じだよね。頬に手を当てて口元がちょっと歪んじゃってるのは、それくらい力を入れちゃってるからかもしれない。いくつかの感情がこの子のなかで混ざり合って、どんな顔をしたらよいのかわからなくなってしまっているのかも。
歪めた口元
これはちょっと趣向を変えて、comtemptつまり「軽蔑」を表現してみたもの。口元をゆがめ、目を少し細めている感じはまさに「軽蔑」という感じ。
顔のパーツを大きく歪めるのは生成AIはあまり得意ではないみたい。きれいな顔は上手につくれるんだけどね。これくらい強い表情を出すと絵が崩壊しがちになる。もしかしたら学習データにもよるのかもしれないけれど。
いたずらっ子
これはlooking awayもそうなんだけど、加えて肩の動きも全体に表情をつけている。smileだけだと単ににっこり笑っているだけになりがちだけど、grinやheheを入れると、ちょっと悪だくみしているような、そんな表情になるよ。この口角の上がり具合は普通のスマイルではないよね。
こういう、ちょっとした違いで、見る人が感じ取る感情ってずいぶん変わってくるんだとおもうよ。だから、ディティールにこだわるのって大事だとおもうの。
AIイラストだといきなり完成形に近いものが出てきちゃうから、ああもうこれでいいじゃん、ってなりがち。でも、ディティールにちょっと手を加えていってあげるだけで、絵としての完成度はぐっとあげられるとワタシはおもっているよ。
もっと悪い子
この絵は手の表情がとっても気に入ってるの。grinとheheでいたずらっぽい表情を出してるけど、たぶんこの手の表情がないとありきたりな絵になっちゃうよね。それくらい、手の表情はいろんな物事を表現している。だからね、AIイラストが苦手としている手の表現から安易に逃げちゃいけないと、ワタシはおもってるの。
こっそり
このちょっととぼけた感じの表情、とってもよいよね。あえて口元は隠して顔の傾け方と視線の方向で表情を演出してるの。looking awayひとつとっても、目を大きく開いているか、すこし閉じているかによって感じ取れるものはこれだけ違う、ということもわかるとおもう。
おわりに
AIイラストというと、どうしても描き込みの多いものに目がいきがちだけど、ちょっとした表情やしぐさのディティールを作りこむだけでも、もっともっと豊かな表現ができるとワタシは思っているよ。
もっともっといろんな表現をさぐっていきたい。
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