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《Jazz The New Chapter records》イシス・ヒラルド・ポエトリー・プロジェクト / PADRE 世界初CD化

イシス・ヒラルドのことを知ったのは2015年の夏の終わりだった。経緯はよく思い出せないが、ある晩、偶然にYouTube上でイシス・ヒラルド・ポエトリー・プロジェクトのヴィデオに巡りあったのだ。どういうアーティストなのか、まったく分からなかったが、リンクを辿って、BandCampに行って、すぐにアルバムを購入した。それがこの『PADRE』だった。以来、何日も何日も僕はこのアルバムばかり聴いていた。何度聴いても捉えきれない不思議な音楽が詰まっていたからだ。今なお、このアルバムを聴き始めると、美しき迷宮に迷い込んでいくような気分に囚われる。
(高橋健太郎氏 ライナーノーツより一部抜粋)

■ISIS GIRALDO POETRY PROJECT イシス・ヒラルド・ポエトリー・プロジェクト

 PADRE / パドレ

イシス・ヒラルドは1989年コロンビア生まれ、カナダ育ち。現在もカナダで活動をしている気鋭の作曲家/ヴォーカリスト/ピアニスト。彼女が2015年にbandcampでひっそりと発表していたアルバム『PADRE』は驚異的な作品だ。カナダの大学で音楽を学び、カナダの小さなシーンで活動し、USなどの大きなシーンやレーベルとの交流を持たないこの才能を、音楽評論家の高橋健太郎氏が発見したことは2015年の大きなトピックであると言っていいだろう。
もともとセロニアス・モンクやストラヴィンスキー、バッハ、エリカ・バドゥが好きだという彼女が生み出す楽曲 は彼女がメインフィールドとしているジャズだけでは捉えきれない。そこにはブラッド・メルドーを思わせるクラシック経由の現代ジャズ的なピアノから、レディオヘッドのようなメランコリックな情感、更にはマリア・シュナイダーのような浮遊感から、ECMとも通じるような教会音楽〜聖歌のような響き、更には彼女のルーツとも言えるフォルクローレ的な要素までが聴こえてくる。そして、それらの音を同時代のインディーロックやビートミュージックと同じような質感の音響空間の中で鳴らしている。
はっきり言ってこんな音楽は今までに聴いたことがない。ジャズの素養がなければできない演奏が詰まっているが ジャズではない。音響的な配慮やリズムの解釈、個々の演奏のテクニックや作曲の手法など、ディテールはどこまでも現代的だが、時折、まるでバロック音楽、 もしくは遥か昔から歌い継がれているフォークミュージックを聴いているような瞬間さえある。ジャンルや地域性だけでなく、太古の昔から現代まで時代性をも自由に行き来する彼女の音楽は、今、アルメニアのティグラン・ハマシアンが奏でているのと同じ≪ジャズミュージシャンが奏でるまだ名前のついていない新しい音楽≫といえるだろう。
柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

■Personal

Poems- Ruben Dario Giraldo

Cello-Jane Chan

Trumpet- Simon Millerd

Clarinet / saxophone- Mike Bjella

Drums-Kai Basanta

Bass- Ben Dwyer

Compositions / piano / vocals- Isis Giraldo

Voices- Ryan Brower, Felicity Williams, Thom Gill, Ghislain Aucoin, Robin Dann,

Recorded- Mechanicland Studio

Engineer- Padraig Buttner- Schnirer

Production & mix - Hans Bernhard

Mastered by- Daniel Porter

Artwork layout & Design- Marissa Tombs & Isis Giraldo

Photos- Stephanie Blondal Johnson


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