マガジンのカバー画像

Jazz The New Chapter for Web

136
シンコーミュージックから発売される『Jazz The New Chapter 』シリーズに関する記事や誌面に載せきれなかった未公開インタビューや掲載インタビューのアウトテイクなど… もっと読む
運営しているクリエイター

#ヒップホップ

interview Jun Iida - Evergreen:日系アメリカ人トランぺッターとNujabesとの出会い(2,900字)

新譜をチェックしていたら、このアートワークが目に飛び込んできた。 和服の若者がトランペットを持っている写真なのだが、なんとなく写真の感じも含めて日本で作ったアートワークじゃない予感がした。そこで、はっと思い出した。「あ、この人、会ったことあるな…」 僕はイイダ・ジュンさんと東京で会っていた。オーブリー・ジョンソンというジャズ・ヴォーカリストが日本に来た時に彼女たちと食事をしたのだが、その時に彼女の友人のひとりとしてその場にいたのがイイダさんだった。 普通に「はじめまして

有料
300

interview Makaya McCraven:時を経て形を何度も変えた楽曲の断片を繋ぎ合わせて作る”時間を超えた”作曲法

マカヤ・マクレイヴンの『In These Time』は新たな金字塔だ。 これまで「生演奏」と「ポストプロダクション」を巧みに共存させてきたマカヤが、そこに更に「作曲」「編曲」を加え、その四つのプロセスの境界がわからなくなるほどに溶かしてしまった『In These Time』には誰もが驚いた。どこからどこまでが作編曲された楽曲を生演奏したものなのか、どこからどこまでが解体再構築されたものなのか、ちょっと聴き込んでもさっぱりわからない。すべては滑らかに混ざり合っているが、ところ

有料
250

interview Àbáse - Laroyê: カンドンブレからバイレファンキまで。ブラジルの今を捉えた音によるドキュメンタリー

Abaseは謎のプロジェクトだった。 僕は2019年にリリースされた『Invocation』で知った。アフロビートへの造詣の深さが聴こえてくるし、演奏もプロダクションもクオリティが高く、すぐに愛聴盤になった。ただ、Abaseを主宰するSzabolcs Bognárの活動拠点がUSでもUKでもなく、ハンガリーってこともあり、彼がどんなミュージシャンなのかの情報はほとんどなく、よくわからないままだった。 2021年には『Laroye』をリリースする。アフロビート系のプロジェク

有料
250

interview Andrea Motis & Stephan Kondert:about『Loopholes』

スペインのトランペット奏者でヴォーカリストのアンドレア・モティスはオーセンティックなジャズとボサノバのコンビネーションで人気を得ていました。1作目の『Emotional Dance』はジャズが多め、2作目の『Do Outro Lado Do Azul』はかなりブラジル音楽に寄った作品と言った感じ。 オーセンティックなジャズとボサノバの組み合わせの洗練されたサウンドとそのキュートな声が彼女の特徴。そんな音楽性だけにボサノバ人気が高い日本ではかなりファンも多く、何度も来日してい

有料
200

Special feature:ロバート・グラスパー Black Radio 3

◉概論:ロバート・グラスパー 知っておくべき5つのポイント◉レビュー:『Black Radio 3』前2作とは異なる制作プロセスと、シグニチャーを利用した連続性◉コラム:ロバート・グラスパーと『Black Radio』の新しくなさ◉相関図:Family Tree feat. BLACK RADIO III※相関図の印刷版は全国のジャズ喫茶、カフェ、バーなどで無料配布中 ◉インタビュー:歴史を塗り替えた『Black Radio』の普遍性(Web & Rolling Stone

ロバート・グラスパーと『Black Radio』の新しくなさ

ロバート・グラスパーと『Black Radio』シリーズは「ゲストの人選が変わってるよね?」ってずっとぼんやりとですが、思っていました。 コンセプトの面白さや演奏のすごさで新しいものっぽく聴いちゃうんですけど、ゲストは全然新しくないんです。ざっくり言うと”流行っている人を全く呼んでいない”。 2019年のミックステープ『Fuck Yo Feeling』にラプソディー、デンゼル・カリー、SiR、コーデ―、バディが入っていた時にはその並びで「珍しく割と新しいかも!?」と意外に

有料
250

Review:Robert Glasper - Black Radio 3:前2作とは異なる制作プロセスと、シグニチャーを利用した連続性

本作はロバート・グラスパーの大ヒット・シリーズ『Black Radio』の3作目。これまで2作の延長にありながら、同時にこれまでの2作とは決定的に異なる作品でもある。 なぜなら過去2作はロバート・グラスパー・エクスペリメントのメンバーのケイシー・ベンジャミン、デリック・ホッジ、クリス・デイヴ or マーク・コレンバーグの四人とともにスタジオにこもって“バンド”で作っていた。『Black Radio』が1週間くらいで一気に作られたことはよく知られている。 本作は過去の2作と

有料
150

Jazz The New Chapterオススメ来日公演リスト 2022年

JTNC読者にお勧めの来日公演です。 好きなアーティストの来日がある方、気になる来日を見つけた方、ぜひSNSでシェアしていただけると嬉しいです。 今年から全国の来日公演を管理するためにスケジュールはフリーカレンダー(Freecalend.com)というアプリで管理することにしました。月毎のページを公開してリンクを貼るようにします。ぜひこちらもご利用ください。 ■2023年3月・ビョーク  オーケストラル 3/20 東京ガーデンシアター          3/25 神戸

有料
150

BADBADNOTGOODが『Talk Memory』に辿り着くまでの10年

僕にとってBADBADNOTGOOD(以下BBNG)はよくわからないバンドだった。そもそも最初の頃はいわゆるフリー・ダウンロードみたいな文脈で語られることも多く、”センスが飛びぬけて良いインディーロック(or ラップ)・リスナー向けの生演奏ヒップホップ系バンド”みたいなイメージでだった。そんな立ち位置のバンドは他に存在しなかったのと、(カナダ出身ということも関係あるのかもしれないが)アメリカのバンドと比べるとジャズ度やゴスペル度が低くて、他ジャンルとの相性が良かったのもあり、

有料
300

HERITAGE ORCHESTRA - The Breaks:カマシ・ワシントンやスナーキー・パピー人脈が参加したブレイクビーツ・クラシックス集

The Heritage Orchestraによる『The Breaks』というアルバムが自分の中で大ヒットで、友人にも送ったらけっこう盛り上がったんで、ここでも紹介しようかなと。 ◉ヘリテイジ・オーケストラとはヘリテイジ・オーケストラはUKで結成されたオーケストラ。創設者はクリス・ウィーラーとジュール・バックリー。 まずはメトロポール・オーケストラの首席指揮者です。ジェイコブ・コリアーやスナーキー・パピー、ローラ・マヴーラ、ジェイムスズーなどなど、ジャンルを超えたコラボ

有料
150

interview THEO CROKER『BLK2LIFE || A FUTURE PAST』:過去と現在が繋がるブラックネスの円環

シオ・クローカーはずっと注目されているトランぺッターだった。ただ、そのキャリアも音楽性もあまりに独特で、よくわからないところがあった。 そもそもそのキャリアを見てみると、レジェンドのドク・チータムの孫という出自のサラブレッドだが、アメリカの大学でジャズを学んで以降、キャリアの多くを上海で過ごし、そこでディーディー・ブリッジウォーターに発見され、再びアメリカはNYに拠点を移し、近年はさらにLAへと移住したという紆余曲折がある。 しかし、アメリカへの帰国後はすぐに頭角を現し、

有料
250

interview BIGYUKI『2099』:今、こんな終末っぽい雰囲気の中でネガティブなものを出す意味はないと思った

2020年のアメリカは激動の1年だった。新型コロナウィルスによるパンデミックが起きた中で、大統領選があり、Black Lives Matterが大きくなった。トランプ政権の醜悪な新型コロナウィルス対策により世界でも類を見ない甚大な被害が発生した上に、国内情勢は常に不安定。選挙ではバイデンが勝ったが、陰謀論が蔓延し、差別も加速した。アメリカはまるで内戦のようだった。 そんな状況下でリリースされたのが『2099』だった。ATCQ『We Got It from Here... T

有料
200