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あなたのうつはどこから?

わたしは就活から!

まあ、色々原因はあるが就活が1つの引き金となったのは間違いない。それくらい私にはキツいものだった。
就活なんて誰もが辛くて、それでも我慢してやっているのに。自己をアピールするのがめっぽう苦手な私には、かなりハードルが高かった。

というか、そもそも本当は就職なんてしたくなかったのだ。本当は歌手になりたかった。バイトか派遣で働いて、それ以外の時間は音楽に費やして、歌手を目指したかった。でもそれは難しいと分かっていたし、ただの夢物語だった。だから親や他人に話すことさえもしなかった。1人で勝手に行動に移すこともしなかった。勇気も覚悟も勢いもなかった。
次点で割と現実的に希望していたのが翻訳家だった。そのために卒業後(いや、4年の途中からでも)翻訳の学校に通いたかった。字幕翻訳を中心にずっと興味があって、英文学翻訳の授業もとっていた。これは親に言ってみたことがある。却下された。その時点で学校のためにどのくらいのお金が必要かが分かっておらず本気度が高いとは思えない、就活から逃げたいだけなのでは?と言われてしまって、全く取りあってくれなかった。今思えばそこでちゃんと色々調べてもうひと粘りすればいいものを、それをする発想は全くなかった。一度ダメと言われたらもう覆すことは不可能だと思っていた。そこに加えて、院とか学校とかにはお金を出すつもりはない、やりたいことがあるなら就職してから自分のお金でやりなさいと親に言われた。とりあえず就職しなさい。まあもっともな話だった。

こうして、ちょうどコロナが流行し始めた2020年の春ごろに、就活以外の道は絶たれた。うだうだしている間にすっかり周囲から遅れをとりつつ、やる気0%焦り120%のまま遅めの就活に挑んだ。苦手な自己アピールを考える日々。自己分析は持ち前のネガティブさでいつの間に自己批判になってしまう。頭ではこう言うべき、こう動くべきだと分かっていても全く心と体がついていかない。とにかく自分がやりたくないことをウン十年やるために、今やりたくないことをやり続ける。あれ、これから一生私は幸せになれないんじゃないか…?いや、いい企業に出会えれば幸せなのか。いや、でも私には本当にやりたいことが一般的な就職以外でいくつもあるのに?それをかなぐり捨てて親の安心のためには普通に就職しなければならない。反抗すべき?いやできない。ここまで育ててくれた恩を仇で返すことになる。そもそもコロナでサークル活動ができなくなったことや生活リズムが変わったこと、卒論に追われていることで辛くなる時があったので、スクールカウンセラーさんに精神面の相談もしていた(この賢明ムーブは過去の自分を褒めたい)。あとこのころは結構毎日酒を飲んでなんとかやっていたりした。

ところが、夏の終わり頃、本当に動けなくなってしまった。もう無理だ…何もできず、絶望感しか感じられない。とにかくいっぱい酒をあおって薬を飲んでみるべきか、ベルトをドアノブにひっかけてみるべきか。ぼんやり考えつつ何もできないまま、暗い自室でベッドから出られずに3、4日飲まず食わずで過ごしていた。そのあと母に「辛いんでしょ?」と聞かれ、号泣しながら頷いた。ついでにそこでバイセクシャルだとカミングアウトもした(なぜかは私もわからない)。
それからずっと家で泣くか寝るかしかできず、スクールカウンセラーの方に病院を勧めてもらって、行き始めた。休学も一年間することに決めた。

うつっぽい傾向や症状は前から薄々感じていて、就活は原因の中でも一つの小さな要素にすぎない。そもそもの考え方のおかしさ=「認知の歪み」、コロナ禍で家に篭りっきりになり生活習慣も乱れていたこと、サークルができなくなってしまったこと、卒論に悩んでいたこと…色々なことが重なって引き起こされたものだと感じている。

また、後にカウンセラーさんと話して「気分変調症」の可能性が高いことも分かった。これは大体思春期頃から始まり長期間にわたって軽度のうつ病が続くことを言うらしい。大きなうつ病を経験して、なかなか寛解しない…なぜだろう?という人が気分変調症だったという場合が結構あるらしい。私は昔からただ暗い性格なんだと思っていたんだけど、気分変調症の本を読むと私の性格が全て「症状」として書かれていて、なんだか不思議な気持ちになった。でも、それが分かったからこそ自分だけがおかしいのではないと思えたし、他の人の体験談なども参考にしやすくなった。また気分変調症については別で書きたい。

一年休学して、なんとか卒論も書き、都内の中小企業に内定もいただいた。お薬やカウンセリングのおかげでかなりいい状態で2022年4月に卒業することができた。薬は続けつつも、社会人デビューだ!

実際はじめの約半年は結構元気に過ごせていた。しかしだんだん暗雲が立ち込め、生活習慣がしっちゃかめっちゃになり、休日は力尽きて何もできず、体調が悪くなる日が増えた。その頃にはすでに会社の悪いところばかりが目につくようになっていて、転職の必要性も感じていた。労働条件はわりとホワイトなのに、自分には合っていない場所だと毎分毎秒感じる。親にも早めに転職準備しろとか言われ始めた。結局このままじゃやばいと、体調不良ということで一度休職させていただいた。しかし別に1ヶ月では調子は良くならず…そのまま復帰の時期が来てしまった。言わずもがな、その後すぐまた心と体の調子を大きく崩した。今度はもうなんだか自分を取り巻く全てに嫌気がさしてしまっていて、会社も辞めるつもりでいた。しかし社長が時短で在宅での仕事を提案してくれたので、ありがたくしばらくはそうすることに。その間に転職活動もできたらいいな、くらいに思っていた。これが2023年の10月頃か。ちゃんと心身ともに健康になりたいと思い、運動もしたし、病院も見直したし、合うカウンセラーさん探しもした。

それで今お世話になっているカウンセラーさんに出会えた。この方のおかげで、自分の人生をまたしっかり見直すことができている。私の認知の歪みを解きほぐす作業を一緒にやってくれる、非常にありがたい存在である。自分の正直な気持ちを見つめると、色々なことが隠れていて、日々驚く。心の小さな違和感を放置せずに向き合ってみると、周りの人との関係や、将来についての考え方まで、さまざまな事が変わってきた。これがうつ病の根本的解決というやつなのかもしれない。小さな手応えを感じながら、自分が進みたい未来を見定めているところだ。
これからは、ほぼリアルタイムでうつ病の人のキャリアの旅を記していくことになりそうだ。

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