夢を追いかけてると思ったら、実は夢を諦めるために死に物狂いになっていた。

去年バイトしようとした時もそうだった。


僕の通う高校は、バイトをすることは校則の上では許されていて、生徒指導部?に申請して通れば公式にやってもいいことになっている。しかし、僕はいわゆる進学コースというやつに所属していて、親が病気など特別な理由がない限り、申請を通してもらえない。過去の進学コースの先輩に、バイトをはじめて露骨に成績を下げてしまった人もいるらしく、それも根拠になっているらしい。

僕は当時、通いたい塾があった。その塾には、中学の時にもとてもお世話になった先生がいて、その先生の教えをまた受けたいと思った。

しかし、高校に入ってから、うちはもうお金ないから、塾は無理よ、と言われ続けていたため、親には頼れなかった。お小遣いも0円になったため、お金が無いのは本当なんだな、とも思っていた。

とすると、自分で稼ぐしかないわけで。僕はその先生の授業が本当に好きで、なんとしてでも通いたいと思っていたから、バイトをしようと思い、担任に相談した。そこで、さっき書いた、うちの高校のバイトの現状を知った。

それでもしばらく担任と交渉は続けたが、成績の話や、生徒指導部の話(怖い先生が何人も頭に浮かぶ)をされる度に、だんだんと辛くなってきた。

ある日、担任から、生徒指導部の先生に何度か相談したけど、やっぱりダメだって、と言われた。

僕の中で、何かがふつりと切れた。僕は「いえ、諦める明確な理由が出来たので納得しました。ありがとうございました」と口に出していた。僕は、バイトを諦めた。



この発言を、僕は今日の今日まで忘れていた。

この発言に、自分の全てが込められていたと言うのに。



僕は、作曲が出来るようになりたい。そう思っていたはずだった。

ここ数ヶ月、色々な音楽や、作曲家の方たちを見たり、不安障害になりながら、なにか凄いものを動かしている人を見た。みんな、あんなに努力できてすごいと思う。

憧れた。

そして正直、これでもかと言うくらいに劣等感と無力感に襲われた。僕は何も出来ない。努力もしてこなかった。何も生み出さない、ゴミみたいな人間だ。

僕も、音楽が出来るようになりたいと思った。

決めてからは早かった。ギターの練習を真面目に始め、パソコンはないからスマホのGarageBandを触り始め、作曲の勉強もはじめた。自分の出来なさに何度も鬱になりながら頑張った。

スマホのゲームには興味がなくなった。全部消した。2年前からほぼ毎日ログインしていたデレステも、全く心残りも躊躇もなく消した。

あとは努力するだけ。死に物狂いになるだけ。そうやって、おれは作曲家になるんだ。売れなくても、できる所までやってみよう。


そして、1ヶ月と数日が経った。


ぼくは気がついたら、音楽を諦めるために鬱になっていた。


才能がなく人生がめちゃくちゃになり夢を諦めた漫画家の話を読んで、俺もどうせこうなるんだな、と思った。意味がわからない。その漫画家は10年も努力して精神科にまで通っていたのに、俺はまだ1mmくらいしか努力してないのになんで俺は才能のことを考えてるんだ。

作曲をしようと頑張ってた。が、全然作れなかった。音はよく分からない。曲にならない。作詞も出来ない。ノートに歌詞のテーマを書き、パラパラと連想される言葉を書き加え、そっからさらに連想して文書を書いてみた。しかし、それは歌詞じゃなかった。文ですらなかった。何を言ってるのか、よく分からなかった。何を伝えたいのかよく分からないものになってた。このブログの方が、まだ正直に言いたいことを言えてる。

気がついたらGarageBandに手を付けなくなってた。作曲本を1冊買ったのに、あまり読み進んでいない。ギターも、テスト期間だから一旦ギターおやすみにしよ、と言ってから、テストが終わってもあまり手をつけてない。

日々、自分が凡人以下だ、努力出来ないゴミだ、センスのない肉塊だ、そのくせ社会にも適合しようとしない、本物の生きる無価値だ、と考えて鬱になってる。そうやって、自分は音楽ができない、と結論づける。まだ1mmくらいしか努力してないのに。

ここで、おれは「結局おれは本気で作曲家になりたいんじゃないんだな」と思った。そしてこれも、俺が音楽できるようになるのを諦める理由だということに気づいた。


どうやら僕は、最初は本気でやろうと思ってめちゃくちゃ考えて行動するんだけど、気がついたら、諦める理由を手に入れるために死に物狂いになってしまうらしい。

そういえば昔から、何事も結局最後には諦めていた。中学の頃には、部活も、友達も、恋愛も、最後は諦めていたんだっけ。いま考えれば、僕は今までの人生で、何かを成し遂げた記憶もない。努力は辛いものだったから、「これだけ努力しても出来ないなら、才能がないんだな。」と言って最後は諦めていた。

きっと、努力したくないだけだ。辛いから。どんな壮大な夢よりも、目先の辛さが勝ってしまうのが俺だ。本当は、何も出来ずに惨めに死ぬのか1番辛いはずなのに。



こうやって文を書いてる時間も、本当は作曲に使えばいいのに使ってない。考えること行動すること全てが、本当に、本当に全てが、音楽を諦める努力になっている。逃げられない。逃げ道がない。どうしようもない。

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