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誰もが年を取る、わけではない。


誰もが年を取る、だから年金は必要だ。
そうでなくとも、障害を負って働けなくなれば年金は必要だ。
老後の生活を支えるために、勤労世代が負担を引き受けるべきだ。

この文章に異議を唱えようと思う。

まず、誰もが年を取る、というのは真実ではない。

亡くなってから年を取ることはない。


長生きできない人口集団がいるが、その要因は病気とみなされていない。

独身男性の平均寿命は67.2歳だ。彼らは支払ってきた年金の恩恵をほとんど受けることはない。
独身や男性であることは、年金の受給資格には含まれていない。

独身男性は少数派だ、と考えるかもしれない。1980年には男性の生涯未婚率は40人に1人で、確かに少数派と言えた。しかし2020年時点で、4人に1人に増加している。
 
 いわゆる氷河期世代=団塊ジュニア世代が就職氷河期に陥ったのは、彼らが選挙権を得る前の世代が不動産バブルを膨らませ、不良債権を作り出したからだ。その世代の賃金の安さによって不良債権処理が可能になった。

彼らは努力が足りなかったのではなく、生まれた時代が悪かった。どのような時代に就職するかで、生涯賃金はかなり変わる。もし前の世代が不動産バブルを過熱させずに対処できていれば、もっと良い暮らしができていたかもしれないし、結婚できていたかもしれない。

ただ、過去を変えることはできない。
2020年に平均年齢50歳(45歳-55歳)の集団の生涯未婚率が28.25%である。
2037年に67歳を迎えることができるのは、独身男性の平均寿命が67歳であることから推測すると、2人に1人である。生存期間の短さゆえに、彼らが支払った社会保障費の多くは、彼ら自身に使われることはない。

そうなるまでまだ、13年はある。現実を言葉に変えて、広めていく時間がある。
2024年現在、約78歳である団塊世代も13年後には、91歳となる。この世代も2037年には、40%ほどが亡くなる予定だ。

平均的に言えば、団塊ジュニア世代の独身男性は、年金をもらえる頃に亡くなり、団塊世代は少し遅れて亡くなる。


親よりも早く子供が亡くなるのは悲劇だ。それは子供が幼いころだけの話ではないだろう。
91歳の母より67歳の息子のほうが先に亡くなるのは、間違いなく悲劇だろう。でもそれは統計的から見ればありふれた悲劇になる。


今蔓延している、新型コロナウイルス感染症はこの悲劇が起きるのを早めるかもしれない。
新型コロナウイルス感染は、感染後も死亡率を1年ほど高めることが知られている。カナダの研究では、2回感染すれば4人に1人が新型コロナウイルス感染症後遺症を発症すると報告されている。感染回数が増えるほど、後遺症を発症しやすくなるわけだ。
現行のワクチンは後遺症の発症率を半減する程度で、後遺症に対して有効性が確かめられている薬剤はない。ウイルスは変異を繰り返し、免疫回避能を高めている。いまだに感染が終息する兆しはなく、弱毒化の兆候もない。ただ、少なくとも血管内皮細胞を障害し、ミトコンドリア機能障害を引き起こし、神経細胞を癒合させ、免疫系を老化させることはわかっている。その結果として老化する。認知機能と身体機能が衰える。軽症であっても、10か月後に評価された大脳白質の変化は、7年の老化に相当する。2019年から2021年の間に、世界の平均寿命は1.6年短くなった。寿命が短くなる影響は、時間がたてばたつほど明らかになってくる。


新型コロナウイルスに感染する回数は、若い世代の方が多い。彼らは子育てをしたり、仕事をしなければならないから。

新型コロナウイルスの存在下で、今までと同じくらい長生きできると考えるのはあまりにも無邪気だ。
1973年に作り出した高齢者医療と年金の拡大が維持され続けたことが、国債の増大による財政政策の制限と、高額な社会保障費負担を生み出し、今の僕たちの生活を貧しくし、結婚を難しくした。
ついでに言えば、結婚できたとしても、より少ない子供しか作れない。

こんな状態で社会保障を維持することができるとは思えない。
社会主義国家の歴史を思い出すと、充実した社会保障は徐々に縮小する、ということはあまりない。それは突然に崩壊する。

年金の運用に目を向けてみると、2001年には、日本国債が68.8%、国内株式17.7%、外国債券 3.5%、外国株式 9.9%と、低リスク資産を中心に運用されていたが、今や国内債券25%、外国債券25%、国内株25%、海外株25%になっている。運用益の期待値は高まるが、世界的な不況に伴って年金が支払えなくなってしまう可能性は高まっている。

年金基金のリスク選好は、年金基金の支払いが増加しているために高い運用益が期待されるからであるように思える。
何もしなければどこかで資産のリスクや変動が許容可能な範囲を超えて、社会保障が強制的な縮小を迫られるだろう。

だから今のうちに、年金基金がリスクのある投資をしないで済むような、持続可能な社会保障制度の見直しが必要なんだ。


まとめ


・独身男性の平均死亡年齢は67歳
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/afc7fac67c5e9a7cf41f0c1096096c5851c25872
・団塊ジュニア世代の独身男性と、団塊世代が亡くなる年代は近い

・その時代は、13年後くらいに来ることが予測できる。

・親よりも早く子供が亡くなるのは悲劇

・新型コロナウイルスは老化を早める

・新型コロナウイルス感染症は、世界の平均寿命を1.6年短くした。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)00476-8/fulltext
・2回新型コロナウイルスに感染すると、4人に1人が後遺症を発症する。
https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/75-006-x/2023001/article/00015-eng.htm

・社会保障制度は、突然崩壊する。

・年金基金の資産運用における、リスク資産の割合が増加している。

・リスク資産が多ければ、持続不可能な損害を被る可能性が高い。

・身の丈に合った社会保障制度の縮小が必要である。

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