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絵本のシュールな世界観 さむがりやのサンタ*トマトさん

 最近、娘と本屋に行って、一冊だけ買ってあげるから選んでごらんという遊びをしている。今まで絵本は私が独断で選んでいたのだが、そろそろ本人の好みもあるかもしれないと思い、自主性に任せてみることにした。児童文学の世界は、私も子どもが生まれるまでは、全く外様だったので、たくさんの本の中で、何を選んだらいいのかいつもよく分からず、何となくで選んでいたからだ。ただ、何か教訓めいた絵本はあまり好きではなく、図鑑に逃げたり、私が子どものころに読んだ記憶のあるノンタン、過去に取材させて頂き、感慨深かったやなせたかしさんのアンパンマンなどを集めていたのだが…。

先日は「これ保育園で読んでるの、けっこう好きだね」とまず手にしたのは、「トマトさん」
トマトさん|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)

ある暑い夏の日、真っ赤に熟れたトマトさんが、地面に、どったと落ちてしまいます。ミニトマトたちは小川へ「ころころぽっちゃん」と飛びこんでいきますが、トマトさんは体が重くて転がっていけません。太陽に照らされているうちに、トマトさんは、どんどんあつくなってきて……。大胆かつ繊細な銅版画で描かれた、トマトさんの迫力満点の表情をお楽しみください。

副音館書店HPより

これはぜひ、手に入れてみて感じてほしいのだが、トマトさんの表情…とてもシュールで、なんというか不条理系である。とりわけ何か教訓があるわけではなく、ただただトマトさんの顔が面白い。熱い。そして最後には…けっこう残酷な笑いの世界が待っている。

きょうのチョイスは「さむがりやのサンタ」。
さむがりやのサンタ|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)

もうこの季節には、クリスマスの絵本コーナーが特設されている。
「もうそろそろサンタさん来るからね」と娘。
まちは早くもクリスマスモードのため、子ども心にもすでに盛り上がってきているようだ。

ちなみに3歳の娘はこの前、「サンタさんはダディ」と口走り、私たちをどきっとさせた。「どうして?」と聞くと、去年来たサンタさんはダディに似ていたとのことだった。夫がひげなんかも付けてサンタの格好を一生懸命しているのだが、もう駄目かもしれない…と私たちを驚愕させた。今年はどうしようか、まだ結論は出ていない。

「やれやれまたクリスマスか! 」面倒くさそうに目を覚ましたのは、サンタクロース。寒さに愚痴をいい、煙突に文句をいいながら町の子どもたちにプレゼントを配ります。南の島に憧れながら、一日の仕事をおえると、お風呂にはいり、ビールを一杯飲んで、ごちそうを楽しみます。トナカイたちにおいしいえさをあげることも忘れていません。皮肉屋だけど実はやさしい、人間味あふれるサンタクロースを描いたクリスマスにぴったりの絵本です。

複音館書店HPより

皮肉屋でお酒好きのサンタさん。とても面白い。
絵もすてきだ。作者のレイモンド・ブリッグズさんは、今年お亡くなりになっていた。なかなか味わい深い作品で、他の作品もぜひ手にとってみたい。

娘に早速、お昼寝前に読んであげると、
「ママもビール好きだよね」と満面の笑みの娘。
「そこかい」と私。

「ママもいつも寒くて嫌だと言っているね」と娘。
確かに…。私もめっきり寒くなってきた北海道の気候に
毎朝、愚痴っている。
「なんて寒い。暖房代が高い。不経済」とつぶやくと、
娘は「不経済ってなに?ふふふふふ」と、笑っている。
あたたかい場所がほんとうは好きだ。

シュールな絵本の世界、
もう少し探求してみようと思う。

ちなみに、娘は、最近、塾で習ったという寺山修司の俳句もなぜか好きで、たまに私の蔵書の中から、適当に選んで読んであげるのだが、
音がいいのか、言葉が面白いのか、よく分からないが、
とりあえず、文学に早い遅いはないので良しとする。

ただ、娘のチョイスはけっこうなかなか渋いかもしれない…
と面白くなってきている。

何か良い絵本があれば、ぜひ教えてほしい。


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