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no.7 着想 - コネクト(理解する)

この段階に必要な能力 – 理解力 (共感、観察、調査)


このテキストは、ビジネス向けのプロデュースに関するものになっているが、その中でプロデュースの8段階それぞれに必要な能力についても触れたいと思う。
 
プロデュースの第一ステージである「着想」の始まり、 「コネクト」において最も重要な能力は理解力、物事の本質を捉える力である。そして、この理解は3つの側面で説明できる。
共感、観察、調査である。
 
共感力とは、人の期待や悩みを、その人の立場から理解する能力だ。
 
「人の心の痛みを理解する」ことが優しさのカギである。ハードボイルド・ミステリーのアメリカ人小説家、レイモンド・チャンドラーはこう言っている。 – (「タフじゃないと生きていけない。でも優しくないと生きる資格がない」)
共感力は優しい人の能力の一つである。 (⑩)
 
ビジネスにおいても、企業がターゲットとする顧客(消費者)のニーズの本質を知ることは、テーマづくりやビジネスプロデュースの発想に欠かせない。
 
「消費者はボス」と言う、先ほどのP&Gは、消費者を理解するために、さまざまな仕組みを活用して投資を行っている。観察力の基本は、頭で考える前に、人間の五感すべてで素直に感じる能力だ。それは、何の思い込みもなく、心を開いて、見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、嗅いだりする力である。
 
ノンフィクション作家の沢木耕太郎は、有名な「ミッドナイト・エクスプレス」旅行記で、マカオのカジノで「ビッグ アンド スモール」のギャンブルに興味を持ったと書いている。彼が勝つシーンがある。沢木ならではの観察力に関するエピソードなので面白い。ディーラーの声、機械の音、周囲のすべてを見、聞く能力、ルポルタージュライターとして、状況を客観的に観察する視点を持っている彼は、その時ゲームを全体的に理解し、それらから意味を読み取り、最終的に勝った。 (⑪)
 
調査力とは、 (自分が見つけたい/好ましいものだけではなく)真実を探求し、さまざまな角度から適切な質問を準備して市場から情報を収集する力である。そして、質問に対するすべての回答と反応をここでは主観を交えず、客観的に分析する。
また、単にデータを収集するだけではなく、分析の際、知っていること <事実/Facts> とまだ知らないこと <推測/Guess> を混同しないこと。
本質を見極める必要がある。調査を現象だけにとどめるのではなく、それらの現象を引き起こしている原因を突き止めるために調査を試みるべきだ。調査力とは究極のところ、可能な限り単純な法則を探求する力。数学的一貫性を求める力である。
 
このように、心、直感、理性を総動員して、あなたはテーマとつながることができる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
参考文献:
⑩ 「プレイバック」 レイモンド・チャンドラー((株)早川書房)
⑪ 「深夜特急 台湾・マカオ」 沢木耕太郎著((株)新潮社)