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no.35 実現 ― コーディネート(適応)

六角堂(京都六角通り、聖徳太子建立) モデル

 

身近なモノやコトをイメージして、プロデュースを実現するための機能を分かりやすく説明しよう。(下図)に、建物の骨格がある。これを例として使用する。

ここでいう建物は「六角堂」と呼ばれる構造で、建物の外側に6本の柱が立っている。

日本では、実際の六角堂は京都市の六角通りにあり、六世紀と七世紀に生きた聖徳太子によって建てられた仏教建築だと言われている。この六角堂の住職は華道で有名な池坊家の当主である。

 

プロデュースの説明に使用される六角形の御堂は、特に宗教や生け花とは関係がない。しかし、一つの建物としては、添付の図のように土台と中央の大きな柱、6つの三角形でできた屋根を持っている。周囲の6本の柱も重要だ。

土台、屋根、中央の柱、周囲の6本の柱の4つの部分は、プロデュースを実行するための重要な要素を表している。

 

土台;ミッション

 

六角形の御堂の基礎には、2つの三角形が重なり合う大小2つの六角形がある。あなたは既にこのフォームに精通しているはずだ。これがプロデュースの目的であり、善・真・美の価値観と、それに至るプロデュースの目的を語るストーリーである。

もう少し詳しく言うと、2つの形状は同じだが、プロデュースの目的は、屋根を支える中央の柱の土台、小さい方のダビデの星だ。組織を構成する6つの要素が、外側の6つの柱を表す。

 

この6つの柱については後ほど説明する。

 

屋根; OSSGAM (ビジネスの経営戦略および財務面)

 

建物の屋根は、この6つの三角形で構成されている。これらは OSSGAM の頭字語で表され、それぞれが

 


 

 

O --- オブジェクティブ(目的)

S --- インベストメント・ストラテジー(投資戦略)

S --- アドミニストラティブ・ストラテジー(管理戦略)

G --- ゴール(目標)

A --- アクション・ストラテジー(実行戦略)

M --- メジャー (測定規準)

 

で、

 

最初のOSSGについては、すでに説明した。そして、この実現段階では、<A>必要なアクションの具体的な詳細と、これらのアクションが望ましい方法で行われたかどうかを測定するための規準<M>を設計することが重要になる。

 

この屋根はプロデュースの司令塔として戦略を執行し、財務を健全に保つよう機能する。

 

ここで利益の重要性についてもう一度説明しよう。 何度も説明してきたように、プロデュースの目的は、この建物の土台であるダビデの星に代表されるビジネスの信条を守り、目的を達成することだ。

しかし、現実の世界では、この信条を永久に守るためには利益が絶対に必要となる。ビジネスでの利益は人体の血液のようなもので、血液が十分に循環しないと人間も生きていけないし、ビジネスも生きていけない。 リスクに対処できるように、毎年、将来のビジネスのために利益のかなりの部分を貯蓄・維持する必要がある。

もしあなたが利益を貯蓄せず不安定な状態で組織を運営していると、何か問題が起こるとすぐに、利益を確保するために右往左往するはめになり、最も重要な目的をおろそかにしてしまう。

 

松下幸之助は、この利益を積み上げる経営を「ダム式経営」と呼んでおり、この考え方は、本稿で紹介した近代のカリスマ実業家・稲盛和夫にも大きな影響を与えたと言われている。

 

つまり、目的が重要であることは事実だが、その目的を健全に遂行し、組織を維持するためには、利益を獲得し、維持し、蓄積することが絶対に必要になるのだ。

また、利益は、プロデューサー、ステークホルダーや従業員の成長のためであり、重要な顧客を維持し、プロデュースに協力するビジネスパートナーに貢献するためのものだ。また、資本をプロデュースに投じた資本家は、この利益からの配当によって報われるべきである。

 

OSSGのG; の中でも利益を得るというこの重要な目標なしには、目標について語ることはできない。

 

利益を作るためには、まずコスト・経費を合理化の努力で引き下げることだ。

しかしプロデュースの目的を達成するには、一定のコストと経費は免れない。

だから、より大きな収入(収益)でコストと経費をカバーする必要がある。また、収益を生み出すためには、製品やサービス、そしてそれらを購入・使用する顧客が必要だ。安定して購入してくれるファンを作ることが利益確保の必須条件になるだろう。

利益を確保するためのこれらの重要な要件のそれぞれを目標として設定し、それを達成するための実行戦略を策定する。

 

六角堂の屋根は、企業の戦略とそれを健全に遂行するための財務の側面を表している。

 

心柱(大黒柱); マーケティング

 

六角堂の屋根を支える中央の大きな柱はマーケティング機能を表す。 ビジネスプロデュースにおいて、利益の拡大のための顧客の獲得と収益の確保は、この「マーケティング」活動にかかっている。

 

ビジネスにとって必須の収益は商品やサービスの販売によるものであり、それを購入してくれる顧客がいて初めて実現する。

 

マーケティングには、製品/サービスの開発と、顧客の獲得、維持、および育成の両方をつかさどる働きがある。プロデュースの流れで、商品・サービスの開発についてお話ししてきたので、ここでは顧客の購買の側からマーケティングを説明しておこう。

 

ビジネスの強みと弱みは、顧客がどこでどのようにそのビジネスに対し行動するかという合計11のタッチポイント (うち2つが重複しているため、9つのポイントとも言える) にあり、これらを理解することはマーケティングにおいて不可欠だ。

 

顧客がビジネス (製品またはサービス) とやり取りする接点は大きく7つに分類される。 <認知> <検索> <最初の購入> <使い方/使用体験> <(使用の)記憶> <再購入> <ファン化> これら7つの相互作用で顧客の行動が進化し、進化が継続するにつれてビジネスの収益が増加する。そして、その購入量は、個々の顧客が提供された製品またはサービスを <初回購入><再購入><購入頻度><購入量> の面からどのように活用するかによって変わる。この11のポイントのどこに事業の強みや弱みがあり、逆にその中で将来のチャンスや課題がどこにあるのかを理解することがマーケティングの重要な課題だ。

すでに述べたようにマーケティングにおいては、製品・サービスの「開発」と、顧客・消費者に関わる「プロモーション」の2つが主な仕事となる。

 

また顧客・消費者の行動に関係するプロモーションの最初の重要課題は次の2つだ。

1つは、

●プロデュースされた商品/サービスに関する顧客/消費者の「認知(認識)」を促進する

 

もう1つは、

●顧客・消費者の「検索」における製品・サービスとの接点を改善・拡大する。たとえば、製品/サービスをより多くのより大きな小売スペースに配置したり、販売員やインターネットなどを通じて簡単にアクセスできるようにしたりする.

 

ということ。これら2つの行動がうまく実行されなければ、収益の第一歩<初回購入>は起こらない。つまり誰も知らない、認知できないものを買うことはできないし、買う方法や場所が見つからなければ入手できない、ということだ。

 

こうした認知と検索の促進活動を通じて、顧客・消費者を獲得するための第一歩、つまり<初回購入>が可能になるのだ。

 

もちろん、プロモーションは、顧客/消費者の購入における「再購入」「購買頻度」および「購入量(の拡大)」の加速にも関係している。

初回購入、および、これら3つの加速のためには、もともとの製品開発とプロモーションの両方がうまく絡み合う必要がある。

この製品/サービスと、プロモーションの両面からのマーケティングにおいては、昔から4Pの重要性があげられてきた。4Pとは、Product(製品、サービス)、Price(製品、サービスの価格)、Place(流通、販売のルート、売り場づくり)、およびPromotion(プロモーション)である。

 

ここで私はこの4つにPeople(人)の要素を加えて、5Pの重要性としておきたい。これは後ほどマーケティングの詳細(第41週目)で再度説明しよう。そこではマーケティングの柱のメインアクティビティ、5つのPの相乗効果でプロデュースの真の価値を創り上げる“ブランドビルディング”と、その活動の時系列的連携“戦略フロー(戦略マップ)”の2つの側面からマーケティングをより詳しく検討していく。

 

6つの柱;タスク、人、情報、意思決定、報酬、組織のマネジメント

 

最後に、六角堂を囲む6本の柱は、

  • タスク  必要な結果の実現のために実行される個々の業務

  •  これらの業務を担当・監督する社内外の

  •  情報 それは、担当者によってタスクがどの程度完了しているか、結果が期待通りなのか、何か問題があるのか、をおしえてくれる。

  •  この情報に基づき、プロデュースを調整または加速するために必要な行動をおこなうための意思決定。

  •  この決定に基づいて担当者に与えられる報酬(賞または罰) 。

  •  組織 どこで、どのような環境でこれら5つの要素が扱われるべきかを表す

上記6つで構成されている。

これらの6つの要素については、この実現のステージの最後にあるコラボレーションのセクションで詳しく説明する。

 

マネジメントとは、第一に実行戦略の結果を分析し、合理的にコスト、経費を減少させること、もうひとつは実現した結果がスムーズに生まれない場合に、問題の本質(原因)を探り、この6つの要素を調整して、その原因を取り除く機能である。