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第一部最終話「しろがねの姫を討て」あらすじ/キャンペーンデザイナーズノート

タイトルコール

かつて魔神王を倒すために造られた”忘れられた都市”タージの復活を巡り、

“太陽石”のアスタローシェ=アスランを中心とする蛮族たちは再びいにしえの禁域を訪れる。

最果ての街、”白銀の槍”ダイケホーンをさらに超え、荒風吹きすさぶ霊峰にて

悪夢の先駈けが運命に翻弄される人間を迎え撃つ。

“導きの王”ヴァイス=ハーヴェスの号令の下、

いま、決戦の火蓋は斬って落とされようとしていた…!

ソード・ワールドRPG「しろがねの姫を討て」

冒険者たちよ、剣の加護は汝と共に。


ストーリーライン

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“東の魔女”ヴァンデルケン=マグヌス大公の知見により、”最果ての街”ダイケホーンを見下ろす霊峰ルコッツの奥地に、”忘れられた都市”タージの封印を解くための遺跡があるという情報を得た”導きの王”ヴァイス=ハーヴェスは、使節団の帰国後に様々な手を打った。

元々ハーヴェス王国は、ブルライト地方中原に位置するラージャハ帝国と、ランドール地方から渡ってくる蛮族から軍事的圧力を受け続けており、対策を必要としていた。
“忘れられた都市”タージの正体が、空に浮かび地を討つ巨大な戦略都市であるならば、蛮族の手に渡るような事態は必ず阻止しなければならない。それと同時に、タージを国土防衛のために利用することが可能であれば、それに越したことはない。
そう考えたヴァイス王は、腹心の騎士団長シン=シャイターン伯爵を秘密裏にドーデン地方に派遣することにした。ドーデン地方にあるキングスレイ鉄鋼共和国は大陸最大の国家であり、魔動機文明の遺産を利用して空飛ぶ船・飛空艇を利用した兵団を活用している。キングスレイの技術とノウハウは、タージ探索に必要不可欠であろう。

問題は霊峰ルコッツを訪れるであろう蛮族の軍団を如何に阻止するか。騎士団長抜きの騎士団は遠征能力に大きな疑問が残る。やはり最適は熟練の冒険者。しかし、最も名高い”疾風の巨人”デューイら”星光の塔”は、既に新たな探索の旅を始めブルライト地方を去っている。

斯様なプロセスを経て、賽は投げられた。一度アスタローシェ一味との交戦経験がある”星月巡り”一行を、王国のバックアップの下で送り込む。それが結論であった。

“星月巡り”一行は王城に呼ばれ、ハーヴェス国王・ヴァイスから直接依頼を請ける。依頼内容は、グランゼール経由で最果ての街ダイケホーンに急行し、そこで予め派遣している斥候と合流。
その上で奥地にそびえる霊峰ルコッツにある、”忘れられた都市”タージを起動させるための魔動機文明時代のの遺跡を探索し、そこを訪れるであろう”しろがねの姫”アスタローシェ=アスランから竜玉のオーブを奪還すること。

兵站や行軍の面でヴァイス王のバックアップを受けながら、一行は”冒険の国”グランゼールで、ランドール地方側からディガッド山脈を横断する蛮族の一団の情報を受け取る。
そこから北上し辿り着いた”白銀の槍”ダイケホーンの冒険者の店で合流したシアン=ノウフェイスから、霊峰ルコッツの登頂ルートや遺跡の大まかな位置のレクチャーを受けた上で、一行は作戦を練る。

霊峰へのアタックルートは複数の候補があり、それぞれ一長一短であったが、熟慮の末、一行は蛮族の軍団のベースキャンプを襲撃して補給を絶った上で、険しく危険な野生動物がいるが比較的距離が短い西方のルートを選ぶ決断をした。

下級の蛮族を蹴散らし、グリズリーやディノスを退けて、薄らと雪の積もる山を登頂していく”星月巡り”一行。やがて山頂近くにある遺跡を発見し、突入する。
遺跡を守るガーディアンが配置されていたようだが、それは既に破壊され、”しろがねの姫”アスタローシェを筆頭とする蛮族の軍団は、既に隠れ里から奪った竜玉のオーブを起動装置に捧げているところであった。

「なんだ、お前たちは…修験者ではないようだ。だが、この場のことを見られたからには生かしてはおけないな…」
「いや、お前たちの顔、見覚えがあるぞ…そうか、あの時の冒険者どもか」
「まさか、あの時の意趣返しのつもりか、それともハーヴェスの差し金か…笑わせる」
「世界の理を知らぬ愚かな人族ども。地を這うが良いぞ!」
                                                                       ―”しろがねの姫”アスタローシェ

***ボス戦闘***
ドレイク
トロール
ケパラウラ
ケンタウロスインペイラー
アンドロスコルピオ

***イメージ戦闘BGM

遺跡内での激しい戦闘となるが、幾つもの試練を乗り越え”星月巡り”一行の実力が上がっていること、そして補給がない中のガーディアンとの戦闘で蛮族側が多少消耗していたこともあり、戦況は冒険者側に徐々に傾く。

「二刀流か……そこの剣士、前からそのような剣だったか?」
「お前を倒すために、身につけてきたんだ!」
                                                           ―ライエルとアスタローシェの戦闘より

戦況が不利と見るや、”しろがねの姫”アスタローシェは、白いドラゴンへとその姿を変える。

光のブレスによる攻撃など、さらに激しくなる攻勢に”星月巡り”一行は苦戦する。

しかし遺跡内の変化であったことが仇となり、剣などの白兵攻撃は届くまま正面からの対決となった結果、”星月巡り”一行の死力を尽くした戦いに、とうとうアスタローシェとその一団は膝をついた。

勝利した”星月巡り”一行の下に、魔獣グリフィンに騎乗した蛮族・ディアブロが救援に現れる。

「吾輩は”黄鉄鉱の”ビュリ=ルテギア。どうやら、我々の行動は漏れていたようだな…ニコルが逃げ帰るわけだ」
「さて、我々としては命乞いをするほかないな…アストは我々より強い。そのアストを倒した君たちには、吾輩でも勝てはしないだろう」
「だが、アストとの戦いで消耗している君たちであれば、勝てないまでも1人や2人は道連れに出来るかもしれない…」
「見逃してもらえるならば我々はおとなしく去ろう…竜玉のオーブと、遺跡で見つけた財宝も差し上げる。君たち勝者には当然の権利だ」

意外なほど冷静な蛮族の交渉に”星月巡り”一行は面食らうが、余力がなかったこともあり”黄鉄鉱の”ビュリの申し出を受けた。全ての財宝と竜玉のオーブを引き換えに、傷付いた蛮族の一行は魔獣グリフィンの背中に乗せられ下山する。

奪還した竜玉のオーブを手にした時、一行の前に黒い毛並みをしたタビットの幻影が現れる。”賢者”オーブレイと名乗るそのタビットは、星々の海の彼方より”忘れられた都市”タージを呼び戻したことを宣言し、世界の平和のために正しく扱うことを求めた。空に浮かぶ黒い月の裏側に、それはあるという。

その日、夜空を眺めた人は気が付いたかもしれない。
星月の一部をも覆い隠す、”黒い月”が戻ってきたことを。
その日、人々は思い出したかもしれない。
天空に浮かぶ”黒い月”は、人族の叡智の結晶であると。
その日、人々は忘れていた。
"黒い月"が人々に何をもたらしたかを…

ハーヴェス王国に帰還した”星月巡り”一行を、国王ヴァイス=ハーヴェスは称賛と歓待を以って迎えた。そして、宴の席では自然と今後のタージを巡る話題となった。

”忘れられた都市”タージは黒い月の裏側にあるということだが、どうやって行けばいいのか?
飛空艇を持つキングスレイ鉄鋼共和国であれば、辿り着く方法が見つかるかもしれない。
既に国王の腹心たる騎士団長がキングスレイ鉄鋼共和国に派遣されていることもあり、
ヴァイス王の遠縁にあたる神官、リカントのルーヴ・デルタ・ヴォランティスを新たな仲間として伴い、”星月巡り”一行は遠くドーデン地方にタージの探索方法を見出す旅に出ることを求められた。

妹姫のアイリス=ハーヴェスのカリスマ性に中てられ、すっかり忠誠を誓っていたライエル=クラージュはその申し出を受ける。ドーデン地方に縁のあるセルゲイ=ゲラシモアやシガレット=カルカンスキーの微妙な表情には気付かないまま…

現地に派遣されている騎士団長・シン=シャイターン伯爵は王室議会書記官レイラの夫だが、

レイラ「私の夫は…ヴァイス王の詔で、ドーデン地方に派遣されています。それも、冒険者に身分をやつして」
レイラ「もし、会うことがあったら…そうね。『私に咎が及ばない内に死ぬといい』とでも伝えてもらえるかしら」
そううそぶくレイラの表情はどこか辛く、儚げに見えます。
                       ―セッション内描写より

という彼女や、宴に参加する貴族の態度にやや不穏なものを感じながらも、

彼らは遠く、キングスレイ鉄鋼共和国を目指して旅立つ。

冒険の舞台はブルライト地方からドーデン地方へ。

第一部完、第二部へ続く。

今回の登場人物

“導きの王”ヴァイス=ハーヴェス (※公式NPC)
種族:人間 性別:男性 年齢:26歳
ハーヴェス王国の若き国王。人間とリカントのハーフ。国王即位から3年弱と短いが、幾多の戦場で培った鋭い勘を活かして北方のラージャハ帝国からの圧力などに悩むハーヴェス王国を取り仕切っている。
戦術にも戦略にも聡い優秀な軍略家で、英邁で即断即決を旨とする優れたリーダーだが、個の能力が高すぎるあまり妥協や根回しといった地味な政治的プロセスを厭う傾向があり、強引な政治手法が反国王派と呼ばれる派閥を形成させてしまうなど、政治的基盤には必ずしも恵まれていない。
王宮内にも信用できる仲間は少ないと噂されているなか、腹心の騎士団長や冒険者を使って、大陸最大の国家であるキングスレイ鉄鋼共和国とタージ探索に関する協力関係を築こうと目論む。



“しろがねの姫”アスタローシェ=アスラン (※ヴァイス王の呼び名により二つ名変更)

アスタローシェ


種族:ドレイク 性別:女性
“忘れられた都市”タージを封印から解放し、蛮族の支配下に置こうと野心を巡らせる蛮族連合軍の指揮官。蛮族の王ムーレイズの娘。
”黄鉄鉱の”ビュリ=ルテギア(ディアブロ)、”金剛石の”ゼイド=トーラズ(トロール)、”蛇目石の”ギリアム=グエン(ケパラウラ)らを伴い、霊峰ルコッツの奥地にある魔動機文明時代の遺跡を探索し、タージを復活させるための魔法装置を竜玉のオーブを使い起動させるが、直後に”星月巡り”一行との戦いとなり、敗北。
ビュリの命乞いにより辛うじて敗走する屈辱的な結果となる。人族を「世界の理を知らぬ愚か者ども」と見下していた。



レイラ=シャイターン伯爵夫人
種族:人間 性別:女性 年齢:25歳
ハーヴェス王国の貴族。王室議会書記官を務める才媛。有力な公爵家に生まれ一時は王妃候補にも挙がったエリートであったが、人間からの差別意識が残る種族・リカントとのハーフであるヴァイスが国王に即位した影響で縁談が流れ、幼馴染であったシャイターン伯爵家当主との婚姻を自ら選んだ。
夫のことを心から愛し彼を支えることを望んでいたが、自らの実家であるブロフィード公爵家と、自らが嫁いだシャイターン伯爵家がヴァイス国王を巡って政治的に対立するようになる中、ヴァイス王の命でドーデン地方に派遣された夫が自分を置いて一人で行ってしまったことに対して、理解と否定が混ざりあった屈折した感情を抱いている。

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